火力発電の学習帳

2021年6月9日

タービン発電機

火力発電所に用いられるタービン発電機は原動機である蒸気タービンと直結し、回転速度が水車に比べ非常に高速なため2極機又は4極機が用いられ、大きな遠心力に耐えるように、直径が小さく軸方向に長い横軸形の円筒機を採用し、その回転子の軸及び鉄心は一体の鍛造軸材で作られる。

タービン発電機は、上述の構造のため界磁巻線を施す場所が制約され、大きな出力を得るためには電機子巻線の導体数が多い、すなわち銅量が多い、いわゆる銅機械となる。

汽力発電所のタービン発電機は、水車発電機に比べ回転速度が高くなるため、機械的強度を要求されることから、回転子の構造は円筒形にし、水車発電機よりも直径を小さくしなければならない。このため、水車発電機と同出力を得るためには横軸方向に長くすることが必要となる。

過去問題:
電験3種過去問【2012年電力 問2】(タービン発電機の特徴)
電験3種過去問【2016年電力 問2】(水車発電機とタービン発電機の特徴)

火力発電所の熱サイクル

(1)A→B:給水が給水ポンプによりボイラ圧力まで高められる断熱圧縮の過程である。

(2)B→C:給水がボイラ内で熱を受けて飽和蒸気になる等圧受熱の過程である。

(3)C→D:飽和蒸気がボイラの過熱器により過熱蒸気になる等圧受熱の過程である。

(4)D→E:過熱蒸気が蒸気タービンに入り復水器内の圧力まで断熱膨張する過程である。

(5)E→A:蒸気が復水器内で海水などにより冷やされ凝縮した水となる等圧放熱の過程である。

再生再熱サイクル

(1)再生サイクルは、タービン内の蒸気の一部を抽出して、ボイラの給水加熱を行う熱サイクルである。

(2)再生サイクルは、復水器で失う熱量が減少するため、熱効率を向上させることができる。

(3)再生サイクルによる熱効率向上効果は、抽出する蒸気の圧力、温度が高いほど大きい。

(4)再熱サイクルは、タービンで膨張した湿り蒸気をボイラの再熱器で加熱し、再びタービンに送って膨張させる熱サイクルである。

(5)再生サイクルと再熱サイクルを組み合わせた再熱再生サイクルは、ほとんどの大容量汽力発電所で採用されている。

過去問題:
電験3種過去問【2014年電力 問2】(火力発電所の熱サイクル)
電験3種過去問【2015年電力 問2】(火力発電所の再熱再生サイクル)

タービン

(1)復水タービンは、タービンの排気を復水器で復水させて高真空とすることにより、タービンに流入した蒸気をごく低圧まで膨張させるタービンである。

(2)背圧タービンは、タービンで仕事をした蒸気を復水器に導かず、工場用蒸気及び必要箇所に送気するタービンである。

(3)反動タービンは、固定羽根(静翼)で蒸気圧力を膨張・減圧させ、蒸気が回転羽根に衝突する力と回転羽根(動翼)から排気するときの力を利用して回転させるタービンである。

(4)衝動タービンとは、蒸気が回転羽根(動翼)に衝突するときに生じる力によって回転させるタービンである。

(5)再生タービンは、ボイラ給水を加熱するため、タービン中間段から一部の蒸気を取り出すようにしたタービンである。

過去問題:
電験3種過去問【2013年電力 問3】(汽力発電所のタービン)

ボイラ設備

(1)ドラムとは、水分と飽和蒸気を分離するほか、蒸発管への送水などをする装置である。

(2)過熱器とは、ドラムなどで発生した飽和水蒸気を乾燥した蒸気にするものである。

(3)再熱器とは、熱効率の向上のため、一度高圧タービンで仕事をした蒸気をボイラに戻して加熱するためのものである。

節炭器とは、煙道を通る燃焼ガスの余熱を利用して、ボイラ給水を加熱し、熱回収することによって、ボイラ全体の効率を高めるための熱交換器でである。

空気予熱器とは、火炉に吹き込む燃焼用空気を、煙道を通る燃焼ガスの排熱によって加熱し、ボイラ効率を高めるための熱交換器である。

(1)蒸気ドラムは、内部に蒸気部と水部をもち、気水分離器によって蒸発管からの気水を分離させるものであり、自然循環ボイラ、強制循環ボイラに用いられるが貫流ボイラでは必要としない。

(4)通風装置は、燃焼に必要な空気をボイラに供給するとともに発生した燃焼ガスをボイラから排出するものである。通風方式には、煙道だけによる自然通風と、送風機を用いた強制通風とがある。

(5)安全弁は、ボイラの使用圧力を制限する装置としてドラム、過熱器、再熱器などに設置され、蒸気圧力が所定の値を超えたときに弁体が開く。

過去問題:
電験3種過去問【2011年電力 問2】(火力発電所のボイラ設備)
電験3種過去問【2016年電力 問3】(火力発電所のボイラ設備と付属設備)

制御・保護装置

(1)負荷の緊急遮断等によって、ボイラ内の蒸気圧力が一定限度を超えたとき、蒸気を放出させ機器の破損を防ぐ安全弁が設置されている。

(2)ボイラの水の循環が円滑に行われないとき、水管の焼損事故を防止するため、燃料を遮断してバーナを消火させる燃料遮断装置が設置されている。

(3)蒸気タービンの回転速度が定格を超える一定値以上(定格の110%超)に上昇すると、自動的に蒸気止弁を閉じて、タービンを停止する非常調速機が設置されている。

(4)蒸気タービンの軸受け圧力が低下したとき、タービンを停止させるトリップ装置が設置されている。

(5)発電機固定子巻線の内部短絡を検出・保護するために、比率差動継電器が設置されている。

(3)ターニング装置は、タービン停止中に高温のロータが曲がることを防止するため、ロータを低速で回転させる装置である。

(2)調速装置は、蒸気加減弁駆動装置に信号を送り、蒸気流量を調整することで、タービンの回転速度制御を行う装置である。

過去問題:
電験3種過去問【2012年電力 問3】(汽力発電所の保護装置)
電験3種過去問【2018年電力 問3】(火力発電所の蒸気タービン)
電験3種過去問【2020年電力 問3】(汽力発電所の保護装置)

復水器

復水器は蒸気タービン等で仕事を取り出した後の排気蒸気を冷却して凝縮させる装置である。

(1)汽力発電所で最も大きな損失は、復水器の冷却水に持ち去られる熱量である。復水器によるエネルギー損失は熱サイクルの中で最も大きい。

(2)復水器の冷却水の温度が低くなるほど、復水器の真空度は高くなる。

(3)汽力発電所では一般的に表面復水器が多く用いられている。

(4)復水器の真空度を高く保持してタービンの排気圧力を低下させることにより、発電所の熱効率が向上する。

(5)復水器の補機として、復水器内の空気を排出する装置がある。

過去問題:
電験3種過去問【2011年電力 問3】(汽力発電所の復水器)
電験3種過去問【2020年電力 問2】(復水器の機能)

汽力発電所の熱効率

汽力発電所における、熱効率の向上を図る方法として、

(1)タービン入口の蒸気として、高温・高圧のものを採用する。

(2)復水器の真空度を高くすることで蒸気はタービン内で十分に膨張して、タービンの羽根車に大きな回転力を与える。

(3)節炭器を設置し、排ガスエネルギーを回収する。

(4)高圧タービンから出た湿り飽和蒸気をボイラで再熱し、再び高温の乾き飽和蒸気として低圧タービンに用いる。

(5)高圧及び低圧のタービンから蒸気を一部取り出し、給水加熱器に導いて給水を加熱する。

過去問題:
電験3種過去問【2009年電力 問3】(汽力発電所の熱効率向上)
電験3種過去問【2019年電力 問3】(火力発電所の熱効率向上)

火力発電所の各種計算

発電端熱効率の計算

発電端熱効率ηは、発電機の発電端電力量の熱量QGと使用燃料の発生熱量QFとの比で表され、

\(\displaystyle η=\frac{Q_G}{Q_F}\times100[%]\)

また、ボイラ効率ηB、タービン効率ηT、発電機効率ηGとすると、発電端効率ηは、

\(\displaystyle η=η_B\timesη_T\timesη_G\)

燃料の発熱量H[kJ/kg]、燃料消費量B[kg]とすると、使用燃料の発生熱量QF

\(\displaystyle Q_F=B\times H\)[kJ]

燃料消費量と化学反応量の計算

燃料の重油の化学成分を炭素85.0[%]、水素15.0[%]とすると、燃料消費量B[kg]のとき、

消費した燃料中の、炭素の量は0.85×B[kg]、水素の量は0.15×B[kg]

燃料が完全燃焼したときの、化学反応式は下記で与えられる。

\(\displaystyle C+O_2→CO_2\)

\(\displaystyle 2H_2+O_2→2H_2O\)

水素の原子量を1、炭素の原子量を12、空気の酸素濃度を21[%]としたときの、

燃焼に必要な空気量[m3]を問われる。

1molの標準状態の気体が22.4Lであることを利用して計算を行う。

二酸化炭素量の計算

炭素Cの原子量は12、酸素Oの原子量は16であるので、二酸化炭素CO2の原子量は

\(\displaystyle 12+2\times16=44\)

原子の質量は、原子量に比例するので、

炭素Cの原子量12に対して、二酸化炭素CO2の原子量44が発生する。

1日の炭素消費量MC[kg]とすると、二酸化炭素の重量の値MCO2[kg]は

\(\displaystyle M_{CO_2}=M_C\times\frac{44}{12}\)[kg]

タービン効率

タービン効率ηT[%]は、タービンに供給されるエネルギーWTi[kJ]とタービン出力エネルギーWTo[kJ]の比で表される。

\(\displaystyle η_T=\frac{W_{To}}{W_{Ti}}\times100\text{[%]}\)

タービン熱消費率

タービン熱消費率は単位発電端電力量WG[kW・h]当たりに、タービンに供給されるエネルギーWTi[kJ]で表される。

\(\displaystyle η_T=\frac{W_{Ti}}{W_{G}}\times100\text{[kJ/(kW・h)]}\)

発電機効率

発電機効率ηG[%]は、タービン出力PT[MW]に対する発電端出力PG[MW]の比であるので、

\(\displaystyle η_G=\frac{P_{G}}{P_{T}}\times100\text{[%]}\)

送電端電力量

送電端電力量W[MW・h]は、発電端電力量WG[MW・h]から所内率x[%]を差し引いたものであるので、

\(\displaystyle W=W_{G}\times(1-\frac{x}{100})\text{[MW・h]}\)

復水器冷却水流量

復水器冷却水の流量Q[m3/s]のとき、海水の比熱容量をC[kJ/(kg・K)]、海水の密度をρ[kg/m3]とすると、冷却水の温度がθ[K]上昇したとき、1秒間あたりに冷却水が奪う熱量Wは以下となる。

\(\displaystyle W=QθCρ\text{[kJ/s]}\)

過去問題:
電験3種過去問【2009年電力 問15】(火力発電所の発電端効率とCO2排出量の計算)
電験3種過去問【2010年電力 問15】(火力発電所の発電端熱効率とボイラ効率の計算)
電験3種過去問【2011年電力 問15】(火力発電所の燃料消費量と酸素消費量の計算)
電験3種過去問【2012年電力 問15】(火力発電所の送電端電力量と発電端熱効率の計算)
電験3種過去問【2013年電力 問15】(火力発電所の発電端電力量と復水器流量の計算)
電験3種過去問【2014年電力 問17】(火力発電所の燃料使用量と二酸化炭素量の計算)
電験3種過去問【2015年電力 問3】(火力発電所のボイラ効率の計算)
電験3種過去問【2016年電力 問15】(火力発電所のボイラ効率と発電機効率の計算)
電験3種過去問【2017年電力 問15】(火力発電所の燃料消費量と酸素消費量の計算)
電験3種過去問【2019年電力 問15】(火力発電所のタービン出力と復水器温度の計算)

環境対策

(1)燃料として天然ガス(LNG)を使用することは、硫黄酸化物による大気汚染防止に有効である。

(2)排煙脱硫装置は、硫黄酸化物を粉状の石灰と水との混合液に吸収させ除去する。湿式石灰石(石灰)ー石こう法は、石灰と水との混合液で排ガス中の硫黄酸化物を吸収・除去し、副生品として石こうを回収する。

(4)電気集じん器は、電極に高電圧をかけ、ガス中の粒子をコロナ放電で放電電極から放出される負イオンによって帯電させ、分離・除去する。

(5)排煙脱硝装置は、窒素酸化物をアンモニアにより除去する。接触還元法は、排ガス中にアンモニアを注入し、触媒上で窒素酸化物を窒素と水に分解する。

(3)二段燃焼法は、燃焼用空気を二段階に分けて供給し、燃料過剰で一次燃焼させ、二次燃焼域で不足分の空気を供給し燃焼させ、窒素酸化物の生成を抑制する。

(5)排ガス混合(再循環)法は、燃焼用空気に排ガスの一部を再循環、混合して酸素濃度を下げ、窒素酸化物の生成を抑制する。ボイラにおける酸素濃度の低下を図ることは、窒素酸化物低減に有効である。

過去問題:
電験3種過去問【2010年電力 問2】(火力発電所の環境対策)
電験3種過去問【2017年電力 問3】(火力発電所の環境対策)

コンバインドサイクル発電の特徴

(1)熱効率が高い。ガスタービン入口温度が高いほど熱効率が高い。

(2)起動停止時間が短い。ガスタービンを用いない同容量の汽力発電に比べて、起動停止時間が短く、負荷追従性が高い。

(3)部分負荷に対応するため、運転する発電機数を変えるので、熱効率の低下が少ない。部分負荷に対応するための、単位ユニット運転台数の増減が可能なため、部分負荷時の熱効率の低下が小さい。

(4)最大出力が外気温度の影響を受けやすい。

(5)蒸気タービンの出力負担が少ないので、その分復水器の冷却水量が少なく、温排水量も少なくなる。ガスタービンを用いない同容量の汽力発電に比べて、復水器の冷却水量が少ない。

(1)燃焼用空気は、空気圧縮機、燃焼器、ガスタービン、排熱回収ボイラを経て、排ガスとして煙突から排出される。

コンバインドサイクル発電の熱効率向上

コンバインドサイクル発電の出力増大や熱効率向上を図るためにはガスタービンの高効率化が重要である。

高効率化の方法には、ガスタービンの入口ガス温度を高くすることや空気圧縮機の出口と入口の圧力比を増加させることなどがある。このためには、燃焼器やタービン翼などに用いられる耐熱材料の開発や部品の冷却技術の向上が重要であり、同時に窒素酸化物の低減が必要となる。

コンバインドサイクル発電の熱効率

コンバインドサイクル発電の熱効率をηC
ガスタービン発電の熱効率をηGT
ガスタービン発電の排気が保有する熱量に対する蒸気タービン発電の熱効率をηVTとすると、

\(\displaystyle η_C=η_{GT}+(1-η_{GT})\times η_{VT}\)

過去問題:
電験3種過去問【2010年電力 問3】(コンバインドサイクル発電の特徴)
電験3種過去問【2013年電力 問2】(コンバインドサイクル発電所の熱効率計算)
電験3種過去問【2014年電力 問3】(コンバインドサイクル発電の熱効率向上)
電験3種過去問【2019年電力 問5】(コンバインドサイクル発電の記述)