// google adsence用 電験1種過去問【2011年電力管理 問2】 | 電気主任技術者のいろは

電験1種過去問【2011年電力管理 問2】

2024年2月17日

火力発電】コンバインドサイクル発電の特徴《論説問題》

 天然ガスを燃料とする一軸形コンバインドサイクル(排熱回収サイクル)発電を複数台組み合わせた発電プラントについて、同容量の汽力発電プラントと比較した場合の特徴とその理由を以下の3点について述べよ。

  1. 起動時間
  2. 温排水量
  3. 大気温度と最大出力との関係
解答と解説はこちら

解答

公式標準解答

  1. 起動時間
     ガスタービンを使用した小容量機の組合せのため負荷変化率が大きくとれ、また、蒸気タービンの分担出力がプラント全体の\(\displaystyle\frac{1}{3}\)と小さく汽力発電と比べて蒸気タービンが小形となるため、短時間での起動が可能である。8 時間停止後の起動時間は、例えば 1 000 [MW] 級汽力発電プラントで約 3 時間であるが、一軸形コンバインドサイクル発電プラントの場合は1軸当たり約1時間である。
  2. 温排水量
     コンバインドサイクル発電プラントの蒸気タービンの入口蒸気条件は、汽力発電プラントに比べて圧力・温度ともに低くなり、分担出力はプラント全体の\(\displaystyle\frac{1}{3}\)と小さいため、温排水量は汽力発電プラントの 6 割程度となる。
  3. 大気温度と最大出力との関係
     コンバインドサイクル発電プラントはガスタービンを主体に構成されるため、最大出力は大気温度により大きく変化し、大気温度が低いほど出力が大きくなる。
     ガスタービンは、高温域における耐久性の観点から、第一段動翼入口ガス温度の上限を定めて運転される。一方、ガスタービンの圧縮機の吸込空気体積流量は大気温度に関係なくほぼ一定であるため、大気温度が下がって空気密度が増加すると、吸込空気質量流量は増加する。また、大気温度の低下により圧縮機の燃焼用空気の温度が低下するため、ガスタービン入口ガス温度の上限値までの加熱代が大きくなり、吸込質量流量の増加とあいまって、より多くの燃料が投入可能となり、ガスタービン最大出力が増加する。
     蒸気タービンについては、ガスタービン最大出力の増加による排ガス量及び熱量の増大により、排熱回収ボイラでの蒸気発生量が増加し、出力が若干増加する。

解説

 コンバインドサイクル発電プラントに関する問題です。類題も多く一種としては易しい部類の問題です。比較するときの主要な数値(タービン出力分担比など)はしっかりと覚えておきましょう。


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