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配電の学習帳

2022年5月26日

配電系統

6.6kV配電系統

従来からの6.6kV高圧配電方式には、放射状方式(樹枝状方式)、ループ方式(環状方式)などがある。

6.6kV高圧配電線路は、60kV以上の送電線路や送電用変圧器に比べ、電線路や変圧器の絶縁が容易であるため、故障時に健全相の電圧上昇が大きくなっても特に問題にならない。また、通信設備等への電磁誘導障害を低減させるため、1線地絡電流をが小さい非接地方式が採用されている。

ループ方式は結合開閉器を設置して線路を構成するので、放射状方式よりも建設費は高くなるものの、高い信頼度が得られるため負荷密度の高い地域に用いられる。

通常、6.6[kV]の三相3線式を用いるが、都市周辺などのビル・工場が密集した地域の一部では、電力需要が多いため、さらに電圧階級が上の22[kV]や33[kV]の三相3線式が用いられることもある。

放射状方式(樹枝状方式)

放射状方式は、配電用変圧器ごとに低圧幹線を引き出す方式で、構成が簡単で保守が容易なことから我が国では最も多く用いられている。樹枝状方式の高圧配電線で事故が生じた場合、事故が発生した箇所の変電所側直近及び変電所から離れた側の区分開閉器を開放することにより、事故が発生した箇所を高圧配電線系統から切り離す。

低圧バンキング方式

バンキング方式は、同一の特別高圧又は高圧幹線に接続されている2台以上の配電用変圧器の二次側を低圧幹線で並列に接続する方式で、低圧幹線の電圧降下、電力損失を減少でき、需要の増加に対し融通性がある。しかし、低圧側に事故が生じ、1台の変圧器が使用できなくなった場合、他の変圧器が過負荷となりヒューズが次々と切れ広範囲に停電を引き起こすカスケーディングという現象を起こす可能性がある。この現象を防止するためには、連系個所に設ける区分ヒューズの動作時間が変圧器の一次側に設けられる高圧カットアウトヒューズの動作時間より短くなるよう保護協調をとる必要がある。

20kV級地中配電方式

電力需要の拡大に対処するため、最近の配電方式は20kV級地中配電方式と20kV級架空配電方式が採用される。

地中配電系統で使用するパッドマウント変圧器(地上用変圧器)には、変圧器と共に開閉器などの機器が収納されている。

スポットネットワーク方式

スポットネットワーク方式は、負荷密度が極めて高い大都市中心部の高層ビルなど大口需要家への供給に適している。

この方式は、一つの需要家に回線で供給されるのが一般的である。
機器の構成は、特別高圧配電線から断路器、ネットワーク変圧器及びネットワークプロテクタを通じて、ネットワーク母線に並列に接続されている。
また、ネットワークプロテクタは、プロテクタヒューズ、プロテクタ遮断器、電力方向継電器で構成されている。
スポットネットワーク方式は、供給信頼度の高い方式であり、ネットワーク変圧器一次側の単一母線故障時でも無停電で電力を供給することができる。ただし、ネットワーク変圧器二次側のネットワーク母線で故障が発生したときは受電は不可能となる。

低圧ネットワーク方式(レギュラーネットワーク方式)

低圧ネットワーク方式は、複数の特別高圧又は高圧幹線から、ネットワーク変圧器及びネットワークプロテクタを通じて低圧幹線に供給する方式である。特別高圧又は高圧幹線側が1回線停電しても、低圧の需要家側に無停電で供給できる信頼度の高い方式であり、大都市中心部で実用化されている。

スポットネットワーク方式が一つの大口需要家に供給しているのに対して、低圧ネットワーク方式は一般需要家を含めた複数の需要家に供給するものである。

低圧ネットワーク方式では、供給信頼度を高めるために低圧配電線を格子状に連系している。

20kV級架空配電方式

1000V以下の配電方式

単相2線式

単線2線式は、一般住宅や商店などに配電するのに用いられ、低圧側の1線を接地する。

単相3線式

単相3線式は、変圧器の低圧巻線の両端と中点から合計3本の線を引き出して低圧巻線の中点から引き出した線のを接地する。変圧器の低圧巻線の両端と中点から3本の線で2種類の電圧を供給できる。

(1)単相100V及び単相200Vの2種類の負荷に同時に供給することができる。

上図のように、100V/200Vの2種類の負荷に電源を供給できる。

(2)許容電流の大きさが等しい電線を使用した場合、電線1線当たりの供給可能な電力は、単相2線式よりも大きい。

上図のように、単相3線式と単相2線式の抵抗R[Ω]に、1線あたりの許容電流を流し、I2R[W]となる電力を供給する場合を考える。ただし、1線の許容電流I[A]であるとする。

単相2線式では、電線1線当たりの供給電力P2[W]は

\(\displaystyle P_{2}=\frac{I^2R}{2}\)[W]

単相3線式では、電線1線当たりの供給電力P3[W]は

\(\displaystyle P_{3}=\frac{2I^2R}{3}\)[W]

つまり、単相3線式での電線1線当たりの供給電力P3[W]は、単相2線式での電線1線当たりの供給電力P2[W]より大きい。

(3)電線1線当たりの抵抗が等しい場合、中性線と各電圧線の間に負荷を分散させることにより、単相2線式と比べて配電線の電圧降下を小さくすることができる。

上図のように、単相3線式と単相2線式の抵抗R[Ω]に、I2R[W]となる同じ電力を供給する場合を考える。

単相2線式では、電線1線当たりの抵抗r[Ω]であるとき、全電圧降下Vr2[V]は

\(\displaystyle V_{r2}=2\times2I\times r=4Ir\)[V]

単相3線式では、電線1線当たりの抵抗r[Ω]であるとき、全電圧降下Vr3[V]は

\(\displaystyle V_{r3}=2\times I\times r=2Ir\)[V](中性線に電流は流れない)

つまり、単相3線式での電線による電圧降下Vr3[V]は、単相2線式での電線による電圧降下Vr2[V]より小さい。

中性線と各電圧線の間に接続する各負荷の容量が不平衡であると、平衡している場合に比べて電力損失が増加する。これは、中性線の電流が増加するためである。

(4)中性線と各電圧線の間に接続する各負荷の容量が不平衡な状態で中性線が切断されると、容量が大きい側の負荷にかかる電圧は低下し、反対に容量が小さい側の負荷にかかる電圧は高くなる。

上図のように、単相3線式配電方式で不平衡負荷が接続されていたとする。

中性線を切り離すと、ac間の200Vが不平衡負荷に印加され、容量の小さい側の負荷に100Vを超える大きな電圧が印加され、容量の小さい負荷には100Vに満たない電圧が印加される。

このような危険な状態となることを避けるため、不平衡負荷とならないように考慮する必要がある。

三相3線式

三相3線式は、高圧配電線と低圧配電線のいずれにも用いられる方式で、電源用変圧器の結線には一般的にΔ結線とV結線のいずれかが用いられる。

三相4線式

三相4線式は、電圧線の3線と接地した中性線の4本の線を用いる方式である。

配電設備

配電用変電所

高圧配電線路の短絡保護と地絡保護のために、配電用変電所には過電流継電器と地絡方向継電器が設けられている。

6.6kV高圧配電線に短絡や地絡などの事故が生じたとき、直ちに事故の発生した高圧配電線を切り離すために、遮断器と保護継電器が配電用変電所の高圧配電引込口に設置されている。

電線

電線は、一般に銅又はアルミが使用され、感電死傷事故防止の観点から、原則として絶縁電線である。

避雷器

落雷などによる外部異常電圧から保護するために、避雷器を保護対象機器対して並列に設置する。特性要素を内蔵した構造が一般的で、保護対象機器にできるだけ接近して取り付けると有効である。

区分開閉器

通常の負荷電流の開閉を行うもので、短絡電流は開路できない。主に配電線路の事故時の事故区間を切り離すためと、作業時の作業区間を区分するために使用される。区分開閉器として一般にもちいられていたものは油入開閉器であるが、雷撃時に油が飛散するなどの危険があるため、現在は使用されていない。オイルレス開閉器として、真空開閉器、気中開閉器、ガス開閉器などが使用されている。操作方法は、手動操作による手動式と制御器による自動式がある。

樹枝状方式で事故が発生した箇所を高圧配電線系統から切り離すのに使われる。

鋼板組立柱

山間部や狭あい場所など搬入困難な場所などに使用されている。

柱上変圧器

柱上変圧器には、変圧器内部及び低圧配電系統内での短絡事故による過電流保護のために高圧カットアウトが設けられているほか落雷などによる外部異常電圧から保護するために、避雷器を変圧器に対して並列に設置する。

柱上変圧器は、鉄心に低損失材料の方向性けい素鋼板やアモルファス材を使用したものが実用化されている。

高圧カットアウト

柱上変圧器には、過電流保護のために高圧カットアウトが設けられ、柱上変圧器内部及び低圧配電系統内での短絡事故を高圧系統側に波及させないようにしている。通常は、柱上変圧器の一次側に取り付けられる。

その形状から、磁器製のふたにヒューズ管を取り付け、ふたの開閉により電路の開閉ができる箱形カットアウトや、磁器製の円筒内にヒューズ管を収納してその取り付け取り外しによって開閉ができる円筒形カットアウトがある。

高圧ヒューズは、電動機の始動電流や雷サージなどの短時間過大電流によって溶断しない、放出形ヒューズが一般に使用される。

低圧配電線路

低圧配電線路では、電灯線には単線3線式を用いている。また、単相3線式の電灯と三相3線式の動力を共有する方式として、V結線三相4線式も用いている。

低圧引込線

低圧配電線から低圧引込線への接続点には、低圧引込線で生じた短絡事故等の過電流保護のために、ケッチヒューズ(電線ヒューズ)が設けられる。一般的には低圧引込線の電柱側に設けられる。

配電系統の絶縁協調

 配電用機器は線路開閉時の内部異常電圧(内雷)には機器の絶縁強度で十分に耐えられるように選定されているが、全ての雷に耐えるようにすることは経済的にも不可能に近い。すなわち、配電線や配電用機器の絶縁を外雷の衝撃性過電圧に耐える程度に高めることは経済的に困難なため、避雷器のような保護装置を設置して、衝撃性過電圧の波高値を各機器の絶縁強度以下に抑制するような方策がとられている。この避雷器の制限電圧に対し、線路及び各機器の絶縁強度が適切な余裕を持つよう絶縁設計を行うことで配電系統の絶縁協調を図っている。
 一方で、避雷器には保護範囲があるため、避雷器の有効設置及び架空地線の架設が効果的となる。架空地線に雷電圧が誘導されると、接地点で雷電圧と逆位相の反射波が発生し、この反射波が架空地線との電気的結合により電線に誘導されて、電線に発生した雷電圧を低減することが可能となる。

ケーブルの種類

OFケーブル

OFケーブルは、絶縁体として粘度の低い絶縁油を油通路に通すという特徴がある。給油設備を用いて絶縁油に大気圧以上の油圧を加えることでボイドの発生を抑制して絶縁強度を確保している。

POFケーブル

POFケーブルは、油浸紙絶縁の線心3条をあらかじめ布設された防食鋼管内に引き入れた後に、絶縁油を高い油圧で充てんしたケーブルである。地盤沈下や外傷に対する強度に優れ、電磁遮蔽効果が高いという特徴がある。

OFケーブルやPOFケーブルは、油圧の常時監視によって金属シースや鋼管の欠陥、外傷などに起因する漏油を検知できるので、油圧の異常低下による絶縁破壊事故の未然防止を図ることができる。

CVケーブル

CVケーブルは、絶縁体に架橋ポリエチレンを使用したケーブルであり、OFケーブルと比較して絶縁体の誘電率、熱抵抗率が小さく、常時導体最高許容温度が高いため、送電容量の面で有利である。

CVTケーブル

CVTケーブルは、ビニルシースを施した単心CVケーブルを3条より合わせたトリプレックス形CVケーブルであり、3心共通シース形CVケーブルと比較してケーブルの熱抵抗が小さいため電流容量を大きくできるとともに、ケーブルの接続作業性がよい。

地中ケーブルの特徴

地中配電線路は、架空配電線路と比較して、都市の景観が良くなる、台風等の自然災害発生時において他物接触による事故が少ない等の利点がある。
一方で、架空配電線路と比較して、地中配電線路は高額の建設費を必要とするほか、掘削工事を要することから需要増加に対する設備増強が容易ではなく、またケーブルの対地静電容量によるフェランチ効果の影響が大きい等の欠点がある。

地中ケーブルの布設方式

地中ケーブルの布設方式は、直接埋設式、暗きょ式管路式などがある。直接埋設式は暗きょ式管路式と比較すると、工事期間が短く、工事費が安い。一方で将来的な電力ケーブルの増設・引替え・ケーブル線路内での事故復旧が困難であるという特徴がある。
暗きょ式管路式は我が国では主流の布設方式であり、直接埋設式と比較するとケーブルの引き替えが容易であり、電力ケーブル条数が多い場合に適している。暗きょ式と直接埋設式は、管路式と比較するとケーブルの熱放散が一般に良好で、許容電流を高くとれる特徴がある。一方、管路式では、電力ケーブルを多条数布設すると送電容量が著しく低下する場合があり、その場合には電力ケーブルの熱放散が良好な暗きょ式が採用される。管路式ではケーブルの接続を一般にマンホールで行うことから、布設設計や工事の自由度に制約が生じる場合がある。

直接埋設式

直接埋設式には、掘削した地面の溝に、コンクリート製トラフなどの防護物を敷き並べて、防護物内にケーブルを引き入れてから埋設する方式がある。

暗きょ式

暗きょ式には、地中に洞道を構築し、床上や棚上あるいはトラフ内に電力ケーブルを引き入れて布設する方式がある。電力、電話、ガス、上下水道などの地下埋設物を共同で収容するための共同溝にに電力ケーブルを布設する方式も暗きょ式に含まれる。

管路式

管路式には、あらかじめ管路及びマンホールを埋設しておき、電力ケーブルをマンホールから管路に引き入れ、マンホール内で電力ケーブルを接続して布設する方式がある。

地中配電線路に用いられる機器

現在使用されている高圧ケーブルの主体は、架橋ポリエチレンケーブルである。

終端接続材料のがい管は、磁器製のほか、EPゴムやエポキシなど樹脂製のものもある。

直埋変圧器(地中変圧器)は、変圧器孔を地下に設置する必要があり、設置コストが大きい。

高圧需要家への供給用に使用される供給用配電箱には、負荷開閉器と地絡継電装置がセットで収納されている。開閉器はガス絶縁方式である。

地中電線の許容電流と損失

電力ケーブルの許容電流は、ケーブル導体温度がケーブル絶縁体の最高許容温度を超えない上限の電流であり、電力ケーブル内での発生損失による発熱量や、ケーブル周囲環境の熱抵抗、温度などによって決まる。

熱抵抗損

電力ケーブルの絶縁体やシースの熱抵抗、電力ケーブル周囲の熱抵抗といった各部の熱抵抗を小さくすることにより、ケーブル導体の発熱に対する導体温度上昇量を低減することができるため、許容電流を大きくすることができる。

電力ケーブルの敷設条数(回線数)を少なくすることにより、電力ケーブル相互間の発熱の影響を低減することができるため、1条当たりの許容電流を大きくすることができる。

誘電体損

交流電圧を印加した電力ケーブルでは、電圧に対して同位相の電流成分がケーブル絶縁体に流れることにより誘電体損が発生する。この誘電体損は、ケーブル絶縁体の誘電率と誘電正接との積に比例して大きくなるため、誘電率及び誘電正接の小さい絶縁体の採用が望まれる。絶縁体が劣化している場合には、一般に誘電体損は大きくなる傾向がある。

誘電率、誘電正接の小さい絶縁体を採用することにより、絶縁体での発熱の影響を抑制することができるため、許容電流を大きくすることができる。

シース損

シース損は、ケーブルの金属シースに誘導される電流による発生損失である。シース損には、ケーブルの長手方向に金属シースを流れる電流によって発生するシース回路損と、金属シース内の渦電流によって発生する渦電流損とがある。クロスボンド接地方式の採用はシース回路損の低減に効果があり、電気抵抗の高い金属シース材の採用は渦電流損の低減に効果がある。

電気抵抗率の高い金属シース材を採用することにより、金属シースに流れる電流による発熱の影響を低減することができるため、許容電流を大きくすることができる。

抵抗損

抵抗損は、ケーブルの導体に電流が流れることにより発生する損失であり、単位長当たりの抵抗値が同じ場合、導体電流の2乗に比例して大きくなる。電力ケーブルで発生する損失のうち、最も大きい損失は抵抗損である。抵抗損の低減には、導体断面積の大サイズ化のほかに分割導体、素線絶縁導体の採用などの対策が有効である。

交流電流が流れるケーブル導体内の電流分布は、表皮効果や近接効果によって偏りが生じる。そのため、電力ケーブルの抵抗損では、ケーブルの交流導体抵抗が直流導体抵抗よりも増大することを考慮する必要がある。

表皮効果が小さいケーブル導体を採用することにより、導体表面側での電流を流れやすくして導体全体での電気抵抗を低減することができるため、許容電流を大きくすることができる。

地中送電線路の故障点位置標定

地中送電線路の故障点位置を標定するための方法は、いくつかある。その測定原理から、マーレーループ法は地絡事故に、静電容量測定法は断線事故に、パルスレーダ法は地絡事故と断線事故の双方に適用可能である。

マーレーループ法

マーレーループ法は、並行する健全相と故障相の2本のケーブルにおける一方の導体端部間にマーレーループ装置を接続し、他方の導体端部間を短絡してブリッジ回路を構成することで、ブリッジ回路の平衡条件から故障点を標定する方法である。

パルスレーダ法

パルスレーダ法は、故障相のケーブルにおける健全部と故障点でのサージインピーダンスの違いを利用して、故障相のケーブル一端からパルス電圧を入力し、同位置で故障点からの反射パルスが返ってくる時間を測定することで故障点を標定する方法である。

静電容量測定法

静電容量測定法は、ケーブルの静電容量と長さが比例することを利用し、健全相と故障相のケーブルの静電容量をそれぞれ測定することで故障点を標定する方法である。

配電線の電気特性

配線線の電圧降下

電圧降下等価抵抗

実際の配電線の電圧降下は、線路上に負荷が分散しており複雑であるが、簡単のため線路末端に負荷が集中しているものとして考える。

送電端電圧をEs[V]、受電端電圧をEr[V]とし、単位長[km]当たりの抵抗とリアクタンスをそれぞれR,Xとする。線路長L[km]に電流I[A]が流れたとき、ベクトル図は下のようになる。

ベクトル図より、

\(E_s=E_r+IRL\cos\theta+IXL\sin\theta+j(IXL\cos \theta-IRL\sin\theta)\)[V]

一般的に、αは小さいので、上式の虚数部を無視でき、次式が得られる。

\(E_s=E_r+IRL\cos\theta+IXL\sin\theta\)

\(=E_r+IL(R\cos\theta+X\sin\theta)\)

\(=E_r+ILS\)[V]

ここで、\(\displaystyle S=R\cos\theta+X\sin\theta\) [Ω]を電圧降下等価抵抗と呼ぶ。

電圧降下率

線路の電圧降下の度合いを示す、電圧降下率εは、電圧降下を受電端電圧に対する百分率で表す。

\(\displaystyle ε=\frac{E_s-E_r}{E_r}\times 100=\frac{ILS}{E_r}\times 100\) [%]

過去問題:
電験3種過去問【2021年電力 問17】(単相2線配電線路の電圧降下等価抵抗)

配電線路の電圧調整

配電線のこう長が長くて負荷の端子電圧が低くなる場合、配電線路に昇圧器を設置することは電圧調整に効果がある。

電圧調整には、高圧自動電圧調整器(SVR)のように電圧を直接調整するもののほか、電力用コンデンサや分路リアクトル、静止形無効電力補償装置(SVC)などのように線路の無効電力潮流を変化させて行うものもある。

電力用コンデンサを配電線路に設置して、力率を改善することは電圧調整に効果がある。低圧配電線路の力率改善をより効果的に実施するためには、より上流である高圧配電線路に電力用コンデンサを接続するよりも、低圧配線路ごとに電力用コンデンサを接続するほうがよい。

配電用変電所においては、高圧配電線路の電圧調整のため、負荷時電圧調整器(LRA)や負荷時タップ切換装置付変圧器(LRT)などが用いられる。

配電線の電圧降下が大きい場合は、電線を太い電線に張り替えたり、隣接する配電線との開閉器操作により、配電系統を変更することは電圧調整に効果がある。

高負荷により配電線路の電圧降下が大きい場合、電線を太くすることで電圧降下を抑えることができる。

低圧配電線における電圧調整に関して、柱上変圧器のタップ位置を変更することや、柱上変圧器の設置地点を変更することは効果がある。

太陽電池発電設備を系統連系させたときの逆潮流による配電線路の電圧上昇を抑制するため、パワーコンディショナーには、電圧調整機能をもたせているものがある。

電路の保護

 電路の保護には一般に過負荷保護、短絡保護、地絡保護がる。
過負荷保護の場合は、導体の
許容温度に達するまでに電流を遮断することが求められるが、あらゆる状況下で自動遮断することは困難なため、施設場所の危険度に応じて、適切な場所に過電流遮断器を設置する。
短絡保護の場合は、故障点から最も
近い電源側の遮断器で故障点を速やかに切り離すことが基本である。
地絡保護は
時限協調が不十分であると、末端における故障でも直ちに広範囲の停電となることがある。

故障区間分離方式

高圧配電線路に短絡故障又は地絡故障が発生すると、配電用変電所に設置された保護継電器により故障を検出して、遮断器にて送電を停止する。
この際、配電線路に設置された区分用開閉器は開放する。その後に配電用変電所からの送電を再開すると、配電線路に設置された区分開閉器は電源側からの送電を検出し、一定時間後に動作する。その結果、電源側から順番に区分用開閉器は投入される。
また、配電線路の故障が継続している場合は、故障区間直前の区分用開閉器が動作した直後に、配電用変電所に設置された保護継電器により故障を検出して、遮断器にて送電を再度停止する。
この送電再開から送電を再度停止するまでの時間を計測することにより、配電線路の故障区間を判別することができ、この方式は時限順送方式と呼ばれている。

 配電系統の場合、配電線を適当な区間に区分し、故障時に故障区間の電源側自動区分開閉器を開放して、故障区間以降を切り離す故障区間分離方式がとられている。この方式の制御方法には、自動区分開閉器の時限協調による時限順送方式と、制御信号を使用した信号方式とがあるが、前者が一般的に使用されており、配電用変電所の再閉路、再々閉路等における自動開閉器の動作状況により故障区間と健全区間を自動的に切り分けている。

高圧配電線の事故要因

我が国の配電線は架空線が多く、年度により若干の差異はあるものの雷、風水害、氷雪、塩害などの自然災害の影響を大きく受けることが多く、約半数を占める。その他の事故の要因としては、設備不備、保守不備や自動車の衝突、クレーン車接触などの故意過失、樹木鳥獣の接触が主な原因としてあげられる。
一方で、地中線は都市の美観、防災上の観点などから都市部を中心に増加しており、主な事故の原因は道路工事における故意過失や設備不備、保守不備があげられる。
下表は、高圧配電線の事故の種類、事故時に動作する保護装置、事故の主な原因についてまとめたものである。

表 高圧配電線の事故

事故の種類 動作する保護装置 事故の内容 主な事故の原因
短絡事故 過電流リレー 線間短絡
  • 自然災害
  • 自動車衝突による短絡
  • 機器内不良による接触(高圧線に接続されているもの)
  • 支持物の倒壊による短絡
  • 道路工事による損傷(地中線)
  • その他
異相地絡事故 過電流リレー 線間短絡
  • 自然災害のうち特に雷による碍子の亀裂
地絡リレー 地絡
地絡事故 地絡リレー 地絡
  • 自然災害
  • 自動車衝突による断線
  • 機器内不良による接触(高圧線に接続されているもの)
  • 樹木鳥獣の接触
  • テレビアンテナ、看板接触による損傷
  • 道路工事による損傷(地中線)
  • クレーン車誤操作による接触
  • その他
過去問題:
電験2種過去問【2021年電力 問7】(配電線の事故要因)
過去問題:
電験3種過去問【2021年電力 問13】(高低圧配線系統の保護)
電験3種過去問【2021年電力 問12】(単相3線式の特徴)
電験3種過去問【2021年電力 問11】(地中ケーブルの許容電流)
電験3種過去問【2021年電力 問9】(変圧器の過負荷運転)
電験3種過去問【2019年電力 問11】(電力ケーブルの布設方式)
電験3種過去問【2019年電力 問12】(配電線路の電気方式)
電験3種過去問【2018年電力 問11】(地中送電線路の各種ケーブル)
電験3種過去問【2017年電力 問10】(電力ケーブルの損失)
電験3種過去問【2017年電力 問12】(高圧配電系統の保護)
電験3種過去問【2017年電力 問13】(配電線路の電圧調整)
電験3種過去問【2016年電力 問10】(地中送電線路の故障点位置標定)
電験3種過去問【2016年電力 問11】(地中配電線路に用いられる機器)
電験3種過去問【2016年電力 問12】(低圧配電系統の構成)
電験3種過去問【2015年電力 問11】(地中配電線路の得失)
電験3種過去問【2015年電力 問12】(二次ネットワーク方式)
電験3種過去問【2014年電力 問13】(高圧架空配電系統の構成機材)
電験3種過去問【2014年電力 問10】(地中送電線の布設方式)
電験3種過去問【2013年電力 問10】(地中電線の損失)
電験3種過去問【2013年電力 問11】(配電系統の特徴)
電験3種過去問【2013年電力 問12】(故障区間分離方式)
電験3種過去問【2011年電力 問12】(スポットネットワーク方式)
電験3種過去問【2011年電力 問13】(配電線路の電圧調整)
電験3種過去問【2010年電力 問12】(配電線路の開閉器)