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電験2種過去問【2018年電力 問7】

2022年6月1日

【送電】送電電圧と送電電力《空所問題》

 次の文章は、送電電圧と送電電力に関する記述である。文中の\(\fbox{空所欄}\)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。
 三相3線式送電線路で、高い電圧が採用される理由を考察する。送電線は単導体一回線とし、送電線端線間電圧をV、線路電流をI、送電端力率をcosφ、送電端送電電力をP、Pに対する線路の電力損失の割合である送電損失率をλ、送電距離をL、電線1条の抵抗と断面積をRとA、全電線合計の質量をG、その質量密度をσ、その体積抵抗率をρとする。また、線路は抵抗とリアクタンスのみで表現され、三相が平衡しており、表皮効果を無視すると次式が成立する。なお、単位系はすべてSI単位系で表示されているものとする。
 \(P=\fbox{(1)}\) …①
 \(\displaystyle\lambda=\frac{3RI^2}{P}\)  …②
 \(R=\fbox{(2)}\) …③
 \(G=\fbox{(3)}\) …④
式①と④より、
 \(\displaystyle\frac{P}{G}=\frac{VI\cos\varphi}{\sqrt3\sigma AL}\) …⑤
であるから、式⑤を二乗し、式②、③を代入すると、
 \(\displaystyle\frac{P^2}{G^2}=\frac{V^2\lambda P\cos^2\varphi}{\fbox{(4)}}\) …⑥
さらに、式⑥に式④を代入すると、式⑦が得られる。
 \(P=V^2G\lambda\fbox{(5)}\) …⑦
 よって、距離、質量及び電力損失率が同じ送電線を利用すると、送電電力は線間電圧の二乗に比例することになる。

[問7の解答群]

\(\small{\begin{array}{ccc}
(イ)&\displaystyle\frac{\cos\varphi}{3\sigma\rho L}&(ロ)&\sqrt3\sigma AL&(ハ)&\displaystyle\frac{\rho L}{A}\\
(ニ)&3VI\cos\varphi&(ホ)&\sqrt3\sigma AL^2&(ヘ)&\displaystyle\frac{\cos\varphi}{3\sigma\rho L^{3/2}}\\
(ト)&3\sigma\rho AL^3&(チ)&3\sigma AL&(リ)&3\sigma\rho AL^2\\
(ヌ)&\displaystyle\frac{\rho L^2}{A}&(ル)&\rho AL&(ヲ)&\sqrt3VI\cos\varphi\\
(ワ)&VI\cos\varphi&(カ)&\displaystyle\frac{\cos^2\varphi}{3\sigma\rho L^2}&(ヨ)&9\sigma^2\rho AL^3\\
\end{array}}\)

解答と解説はこちら

解答

\(\small{\begin{array}{cc}
\hline(1)&(ヲ)&\sqrt3VI\cos\varphi\\
\hline(2)&(ハ)&\displaystyle\frac{\rho L}{A}\\
\hline(3)&(チ)&3\sigma AL\\
\hline(4)&(ヨ)&9\sigma^2\rho AL^3\\
\hline(5)&(カ)&\displaystyle\frac{\cos^2\varphi}{3\sigma\rho L^2}\\
\hline\end{array}}\)

解説

 三相3線式送電線路で、高い電圧が採用される理由を考察する。送電線は単導体一回線とし、送電線端線間電圧をV、線路電流をI、送電端力率をcosφ、送電端送電電力をP、Pに対する線路の電力損失の割合である送電損失率をλ、送電距離をL、電線1条の抵抗と断面積をRとA、全電線合計の質量をG、その質量密度をσ、その体積抵抗率をρとする。また、線路は抵抗とリアクタンスのみで表現され、三相が平衡しており、表皮効果を無視すると次式が成立する。なお、単位系はすべてSI単位系で表示されているものとする。
 \(P=\sqrt3VI\cos\varphi\) …①
 \(\displaystyle\lambda=\frac{3RI^2}{P}\)  …②
 \(\displaystyle R=\frac{\rho L}{A}\) …③
 \(G=3\sigma AL\) …④
式①と④より、
 \(\displaystyle\frac{P}{G}=\frac{VI\cos\varphi}{\sqrt3\sigma AL}\) …⑤
であるから、式⑤を二乗し、式②、③を代入すると、
 \(\displaystyle\frac{P^2}{G^2}=\frac{V^2\lambda P\cos^2\varphi}{9\sigma^2\rho AL^3}\) …⑥
さらに、式⑥に式④を代入すると、式⑦が得られる。
 \(\displaystyle P=V^2G\lambda\frac{\cos^2\varphi}{3\sigma\rho L^2}\) …⑦
 よって、距離、質量及び電力損失率が同じ送電線を利用すると、送電電力は線間電圧の二乗に比例することになる。