電験2種過去問【2010年電力管理 問2】
2022年11月20日
【配電】特別高圧の地中ケーブル送電《記述問題》
特別高圧[154[kV]~66[kV]]の地中ケーブルを用いて送電を行うときの設計上の留意点を充電容量、放熱及び地中ケーブルの絶縁の観点から、架空線で同様の送電を行うときと比較して記述すると共に、その対策を述べよ。
特別高圧[154[kV]~66[kV]]の地中ケーブルを用いて送電を行うときの設計上の留意点を充電容量、放熱及び地中ケーブルの絶縁の観点から、架空線で同様の送電を行うときと比較して記述すると共に、その対策を述べよ。 1.充電容量 2.放熱 3.地中ケーブルの絶縁 なし解答
(1)留意点
地中ケーブルでは架空送電線に比較して作用静電容量が20倍程度となる。このため、ケーブルが長くなると無効電力が増加し、有効電力の送電に限界が生じる。また、ケーブル両端における軽負荷時の電圧上昇(フェランチ効果)も顕著となる。
(2)対策
①ケーブル両端などに必要に応じて分路リアクトルを挿入し、静電容量による無効電力を補償する。
②絶縁に用いる誘電体に誘電率の小さい物を用いる。
(1)留意点
地中ケーブルでは地中に設置されることや、導体周囲を絶縁物で覆うこと等の構造上の問題から、周囲の空気が自由に対流できる架空送電線に比べ、放熱が悪くなる。このため、架空送電線に比べ、温度上昇限界による送電量の制限が厳しい。
(2)対策
①絶縁物の耐熱性を向上させ、最高許容温度を高くする。
②放熱性を向上させる。(ケーブル冷却用流体による強制冷却、他)
③絶縁物の誘電損による温度上昇を低減させる。
④導体の抵抗を減少させる。
(1)留意点
架空送電線の絶縁が大気により保たれているのに対して、地中ケーブルの絶縁は絶縁物によって保たれている。このため、次のような点に留意する必要がある。
①地中ケーブルでは絶縁破壊による放電は絶縁物の損傷を伴い、ケーブルの交換を伴う。このため、絶縁破壊による故障個所の除去に時間がかかる。このことは空気中の放電が送電を停止することで取り除ける架空送電線との大きな違いとなる。このため、より厳密なサージ解析の実施などの厳密な過電圧対策が求められる。
また、この際、ケーブルのサージインピーダンスが架空送電線に比較して小さい点を考慮する必要がある。
②架空送電線の大気は常に入れ替わるが、地中ケーブルの絶縁物はそのようにはならない。このため、絶縁物の劣化に注意する必要がある。
(2)対策
①過電圧保護装置(避雷器等)の設置。
②絶縁協調における考慮。解説
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