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電気施設管理の学習帳

2022年8月31日

電力需給

 電気は発生と消費とが同時的であるため、不断の供給を使命とする電気事業においては、常に変動する需要に対処しうる供給力を準備しなければならない。
しかし、発電設備は事故発生の可能性があり、また、水力発電所の供給力は河川流量の豊渇水による影響で変化する。一方、太陽光発電、風力発電などの供給力は天候により変化する。さらに、原子力発電所や火力発電所も定期検査などの補修作業のため一定期間の停止を必要とする。このように供給力は変動する要因が多い。他方、需要も予想と異なるおそれもある。
したがって、不断の供給を維持するためには、想定される最大電力
に見合う供給力を保有することに加え、常に適量の供給予備力を保持しなければならない。

電力系統の周波数調整

  1.  周波数の変動は、次のような問題が発生する恐れがあるため、周波数を一定の範囲内に調整する必要があり、電気事業法においても周波数の維持について一般送配電事業者の努力義務が規定されている。【電気事業法 第二十六条(電圧及び周波数)】
    1.  電気使用者側の問題の例
      • 工場の精密機械の誤動作
      • 高速度電動機を使用する紡績・製紙工場等での製品品質の低下
      • 周波数低下による電動機の効率の低下
      • 電気時計の誤差の増大
    2.  電力系統管理者側の問題の例
      • 火力発電設備のタービンの振動
      • 発電機補機の出力減退
      • 電力会社間連系線の潮流の制御の困難化
  2.  電力系統の周波数は需給バランスの影響を受け、負荷が発電を上回る場合には周波数は低下する。
    周波数変動に応じて出力調整を行う発電所を周波数制御用発電所という。我が国では、揚水発電所、貯水池式又は調整池式水力発電所と火力発電所の一部が周波数制御用発電所として利用されている。

デマンドレスポンス

 電力システムにおいて、需要と供給の間に不均衡が生じると、周波数が変動する。これを防止するため、需要と供給の均衡を常に確保する必要がある。
従来は、電力需要にあわせて電力供給を調整してきた。
しかし、近年、\(\fbox{電力供給}\)状況に応じ、スマートに\(\fbox{消費}\)パターンを変化させること、いわゆるディマンドリスポンス(「デマンドレスポンス」ともいう。以下同じ。)の重要性が強く認識されるようになっている。この取組の一つとして、電気事業者(小売電気事業者及び系統運用者をいう。以下同じ。)やアグリゲーター(複数の\(\fbox{需要家}\)を束ねて、ディマンドリスポンスによる\(\fbox{需要}\)削減量を電気事業者と取引する事業者)と\(\fbox{需要家}\)の間の契約に基づき、電力の\(\fbox{需要}\)削減の量や容量を取引する取組(要請による\(\fbox{需要}\)の削減量に応じて、\(\fbox{需要家}\)がアグリゲーターを介し電気事業者から報酬を得る。)、いわゆるネガワット取引の活用が進められている。

日負荷曲線・負荷持続曲線

 横軸に時間を、縦軸に需要電力をとって表示した曲線を、日負荷曲線という。

 この他に、日・週・旬・月・年を対象とする期間の電力需要について、その発生した時間とは無関係に大きい順に並び替えた曲線のことを負荷持続曲線という。負荷の特性を分析・調査するために使用される。

負荷率、需要率、不等率、設備利用率

\(\displaystyle 需要率=\frac{最大電力}{設備容量}\)

\(\displaystyle 負荷率=\frac{平均電力}{最大電力}\)

\(\displaystyle 不等率=\frac{各最大電力の和}{合成最大需要電力}\)

\(\displaystyle 設備利用率=\frac{平均電力}{設備容量}\)
すなわち、
\(\displaystyle 設備利用率=需要率\times負荷率\)

保護協調

  1. 受電設備を含む配電系統において、過負荷又は短絡あるいは地絡が生じたとき、供給支障の拡大を防ぐため、事故点直近上位の遮断器のみが動作し、他の遮断器は動作しないとき、これらの遮断器の間では保護協調がとられているという。
  2. 地絡の発生個所が零相変流器より負荷側か電源側かを判別するため地絡方向継電器の使用が推奨されている。

計器用変成器

(1)変流器は、一次電流から生じる磁束によって二次電流を発生させる計器用変成器である。

(2)変流器は、二次側に開閉器やヒューズを設置してはいけない。

(3)変流器は、通電中に二次側が解放されると変流器に異常電圧が発生し、絶縁が破壊される危険性がある。

(4)変流器は、一次電流が一定でも貫通ターン数により変流比は変化するので、電流計の選択には注意が必要になる。

(5)変流器の通電中に、電流計をやむを得ず交換する場合は、二次側端子を短絡して交換し、その後に短絡を外す。

調相設備

過去問題:電験3種過去問【2019年法規 問12】(進相コンデンサの計算)

絶縁耐力試験

電気工作物の保全

電気工作物の保全目的

電気工作物の事故等の発生により、公共の安全や電力の安定供給等が脅かされるので、常に法令で定める技術基準に適合するよう、その性能等を維持すると共に、事故の未然防止を図ることが必要であり、それが保全の目的となる。

事後保全(CM:Corrective Maintenance)

故障停止又は著しい性能低下に至ってから修理を行う保全方式であり、通常事後保全と緊急保全とに管理上、分類できる。

予防保全(PM:Preventive Maintenance)

定期保全方式

従来の経験又は、その電気工作物の特性から一定期間の周期を定めて点検を行い、定期的に分解・清掃又は部品交換や補修を行い、突発事故を未然に防ぐ保全方式をいう。

予知保全(状態監視保全)方式

① 機器・設備の劣化状態を把握できるので、無駄な交換が不要となり、保全費用を低減できる。
② 機器・設備の異常兆候の早期発見や予測などが可能であり、機器の故障やシステム停止を未然に防止できる。
③ 機器の劣化による機能低下を検知することができ、システムの機能及び性能の低下を防止できる。

高圧受電設備の保守管理

  1.  高圧受電設備の場合、電力会社の変電所からの配線線に複数の需要家が連なっており、自己の事故によって、配電線路の上位の変電所で遮断することになると他の需要家に影響を及ぼすことになる。このような事故を波及事故というが、受電設備の主遮断装置から見て負荷側の事故に対しては、十分な遮断容量と保護リレーの保護協調が重要であり、主遮断装置から電源側に対しては、入念な点検による故障要因の事前発見、予防が大切になる。
  2.  波及事故の発生個所は主遮断装置及びその電源側に多く、具体的なものとしては、主遮断装置の他、高圧開閉器、高圧引込ケーブル、断路器などがある。
  3.  なお、PF・S形は、主遮断装置として高圧限流ヒューズと高圧交流負荷開閉器を組み合わせて保護するものである。

変圧器の絶縁油

  1.  自家用需要家が絶縁油の保守、点検のために行う試験には、絶縁耐力試験及び酸価度試験が一般に実施されている。
  2.  絶縁油、特に変圧器油は、使用中に次第に劣化して酸価が上がり、抵抗率や耐圧が下がるなどの諸性能が低下し、ついには泥状のスラッジができるようになる。
  3.  変圧器油劣化の主原因は、油と接触する空気が油中に溶け込み、その中の酸素による酸化であって、この酸化反応は変圧器の運転による温度の上昇によって特に促進される。そのほか、金属、絶縁ワニス、光線なども酸化を促進し、劣化生成物のうちにも反応を促進するものが数多くある。

 

  1.  絶縁油は、油入変圧器や油入コンデンサなどの電気機器に広く使用されており、その主な役割は機器の絶縁と\(\fbox{冷却}\)である。油入機器の内部で異常過熱や絶縁劣化が生じると、絶縁油から発生した分解ガスや絶縁物の劣化生成物が絶縁油に溶け込み、絶縁油の化学的特性に変化が生じてくる。絶縁油の保守管理は、油入機器の絶縁状態を把握するとともに機器の性能を長く維持するために重要なことである。
  2.  油入変圧器を運転すると温度が変化し外気との間で\(\fbox{呼吸}\)作用が行われる。その際、ブリーザ不良、パッキング劣化、シール部の締付不良、外装タンクの腐食などによる気密不良があると、絶縁油に空気中の酸素や水分が混入する。絶縁油は油中に酸素や水分が存在すると、変圧器内部の鉄や銅の裸金属に接触している状態で運転中の温度上昇により、酸化反応が促進され酸性有機物質の総量(酸価)が増大する。酸価が増大すると絶縁油と金属やコイル絶縁物が化合し\(\fbox{スラッジ}\)(絶縁油の劣化によって生じる泥状物質)が生成される。これがコイル絶縁物、鉄心、放熱面に付着すると放熱機能が低下し、温度上昇が著しくなり絶縁物の熱劣化が加速される。
  3.  絶縁劣化した状態で油入変圧器の運転を続けいていると、過電圧などによって部分放電が発生し、外部からのサージや\(\fbox{外部短絡}\)時の電気的又は機械的ストレスで絶縁破壊に至るおそれがある。また、絶縁油自体も劣化生成物の溶解によって吸水性を増し、絶縁抵抗の低下やtanδの増加などの絶縁特性が低下する。
  4.  絶縁油は定期的に試験を行って劣化状況を確認する必要があり、試験項目としては、絶縁破壊電圧試験、酸価試験、\(\fbox{水分試験}\)などがある。

油中ガス分析

変圧器の異常診断手法として油中ガス分析が用いられている。油中ガス分析は可燃性ガスの量や組成比などから内部異常の有無・様相を診断する手法である。油中ガス分析による異常診断方法及び最終的な処置を決定するための総合診断について以下に述べる。

(1)過熱時に発生する特徴的なガスと、その発生ガスの組成比などから推定できる過熱の様相。

過熱時に発生する特徴的なガスとしてエチレン\((C_2H_4)\)とエタン\((C_2H_6)\)が挙げられる。
過熱レベル(高温過熱・低温過熱)により発生ガスの成分が変化し、高温過熱ではエチレンが、低温過熱ではエタンが多く発生する。また、組成比などから過熱部位(巻線部・金属部)の推定を行うことができる。
過熱時発生するガスに、メタン\((CH_4)\)、一酸化炭素\((CO)\)、二酸化炭素\((CO_2)\)などもある。

(2)放電を伴う内部異常時に発生する特徴的なガス、内部異常時以外にもこのガスが発生する原因。

放電時に発生する特徴的なガスとしてアセチレン\((C_2H_2)\)、水素\((H_2)\)が挙げられる。アセチレンは絶縁油から発生する分解ガスのうち、アーク放電など特に高温時に発生するものである。
水素は経年劣化でも発生する一方、アセチレンは微量であっても検出された場合は内部異常の可能性が高い。
アセチレンはLTC(負荷時タップ切替器)動作時に切換開閉器室内の絶縁油が分解することでも発生することから、LTC内の絶縁油が変圧器本体タンクへ混入すると内部異常と誤診断されるおそれがあるため、注意が必要である。

(3)油中ガス分析で内部異常と診断された場合、総合診断を行うために実施すべき試験・点検・調査事項並びに、最終的に決定する処置内容。

電気的試験(巻線抵抗、部分放電測定など)、外部一般点検(放圧管の動作、タンクの変形など)、運転履歴・改修履歴の調査(過負荷運転など)などの項目を総合して、変圧器の運転継続可否、内部点検・改修の要否などの最終的な処置を決定する。

高調波対策

高調波抑制対策ガイドライン

「高圧又は特別高圧で受電する需要家の高調波抑制対策ガイドライン」では需要家から系統に流出する高調波電流の上限値が示されており、6.6kV系統への第5次高調波の流出電流上限値は契約電力1kW当たり3.5mAとなっている。

過去問題:電験3種過去問【2020年法規 問13】(高調波電流の計算)

 ダイオード及びサイリスタを用いた\(\fbox{非線形}\)負荷は、各種次数の高調波電流を発生する。電気設備及び機器に及ぼす高調波の影響は、以下のように分類される。

  • 機器への高調波電流の流入による異音、過熱、振動、焼損など
  • 機器への高調波電圧の印加による誤制御、誤動作など

 このような影響が生じる場合があることから、配電系統の6.6kV母線における高調波電圧総合ひずみ率の管理目標値を5%、特別高圧系統の高調波電圧総合ひずみ率の管理目標値を\(\fbox{3%}\)とし、これを維持するため、「高圧又は特別高圧で受電する需要家の高調波抑制対策ガイドライン」による高調波電流抑制のための技術要件が定められている。
 高調波電流の抑制対策は、機器から発生する高調波電流そのものを低減する方法と、機器から発生した高調波電流を需要家内の設備に\(\fbox{分流}\)させ、外部に流出する量を低減する方法の2種類がある。
 具体的には、前者においては高調波発生源である電力変換装置の\(\fbox{多パルス化}\)、後者においては需要家内への受動\(\fbox{フィルタ}\)などの設置といった方法がある。

 

配電系統における電気の品質確保の一環として、電圧を適正に管理する必要がある。管理の対象としては、以下に示す電圧の値、フリッカ、高周波などが挙げられる。

  1.  供給電圧の値は、需要家で使用する機器の性能に大きな影響を与えるため、電気事業法施行規則で供給地点での電圧を次のように定めている。
    電気事業法施行規則 第三十八条(電圧及び周波数の値)
     ・標準電圧100Vの場合:101±6V
     ・標準電圧200Vの場合:202±\(\fbox{(ト)20}\)V
     全ての需要家に対しこの範囲で供給するための対策として、変電所の送り出し電圧の調整や、配電線途中での\(\fbox{(ル)線路電圧調整器}\)の設置などが挙げられる。
  2.  配電線に\(\fbox{(ヨ)アーク炉}\)、溶接機、太陽光発電用パワーコンディショナ(PCS)などが接続されると、\(\fbox{(カ)起動}\)時や運転中の負荷変動時、PCSの単独運転検出機能動作時などに線路電圧が変動し、照明の明るさにちらつき(フリッカ)が生じることがある。この抑制対策は基本的に発生源である機器側で行われるが、系統側での対策としては、電圧降下を低減するような電線サイズの設定、変圧器・配電線の専用化などが考えられる。
  3.  整流器、\(\fbox{(ヨ)アーク炉}\)などの、非線形特性をもった負荷に電力を供給した場合、それらの機器から高調波が発生し、通信線への誘導障害、\(\fbox{(ホ)コンデンサ}\)への過電流、電気機器の誤動作などが発生するおそれがある。これらを防止するために、我が国では、系統電圧の総合ひずみ率が高調波環境目標レベル(6.6kV配電系統で5%、特別高圧系統で3%)を超えないよう、「高圧又は特別高圧で受電する需要家の高調波抑制対策ガイドライン」によって、発生源である機器側における高調波電流の限度値が定められている。

 

  1.  送電線路の相互連系を容易にすることや、機器の規格化などを考慮し、送電電圧は数種類の標準電圧に統一されている。我が国の標準電圧は電気学会・電気規格調査会(JEC)で定められており、\(\fbox{公称電圧}\)と最高電圧の2種類がある。例えば、\(\fbox{公称電圧}\)が66kVの場合は、最高電圧は69kVとなっている。なお、送電線路の電圧としてこの標準電圧を採用する場合、\(\fbox{公称電圧}\)が電気設備技術基準の「使用電圧」となる。
  2.  交流送電線の送電容量は、電線の許容最高温度に対する許容電流だけでは決まらず、こう長が長いと送電容量が小さくなる。送電線のこう長が長くなると\(\fbox{安定度}\)から送電容量が制限されるためである。
  3.  架空送電線路の電力損失の主なものに、抵抗損と\(\fbox{コロナ損}\)がある。\(\fbox{コロナ損}\)は、送電線に高電圧を加えたとき、周囲の空気に対する電線表面の電位の傾きがある程度以上になると発生する局部放電によるものである。
  4.  架空送電線の事故は、\(\fbox{雷によるアーク事故}\)が多く、設備の損壊を伴う永久故障は少ない。このため線路の両端を開いて短時間無電圧の状態におき、その後再び両端を閉路すれば元通り送電できることが多い。このことを利用して自動再閉路方式が多く採用されている。
  5.  配電方式のうち、都市部などで採用されることがあるものに、次の方式がある。
    複数の22kV配電線から分岐線をT分岐で引き込み、それぞれ受電用断路器を経てネットワーク変圧器に接続し、各低圧二次側はネットワークプロテクタを経て並列に接続してネットワーク母線を構成する。本方式では、低圧側は同一ビル内の母線に限定される。
    この方式は\(\fbox{スポットネットワーク方式}\)と呼ばれている。

分散型電源との連系

電力品質確保に係る系統連系技術要件ガイドライン(資源エネルギー庁)

架空電線路

架空送電線の保守

架空送電線は、山間地の水力発電所、沿岸部の火力・原子力発電所から需要地点に至るまで、山岳部、平野部、沿岸部と様々な立地条件の中を経過しており、雨や風、雪や雷等自然現象に起因する\(\fbox{事故}\)が多いだけではなく、鳥獣や樹木の接触、架空送電線付近で行われる工事用の重機や他工作物の接近等による障害も多い。
 架空送電線の保守の目的は、基本的には、電力の\(\fbox{安定供給}\)と設備の合理的な維持であり、目的達成のために必要な業務は、大別すると、巡視、\(\fbox{点検}\)、補修作業、事故処理、渉外業務に分類できる。
巡視は、保守の目的を達成するために必要な業務の一つであり、架空送電線の状況を常に的確に把握するため、設備の外観等を見回り、\(\fbox{事故}\)の原因となる障害箇所を事前に発見し、その
\(\fbox{未然防止}\)を図るとともに、設備の補修に必要なデータその他の資料を集めるための業務である。
 巡視には幾つかの種類があるが、一般的に定期巡視のうち特定巡視と呼ばれるものは、市街地やその周辺など架空送電線の経過地の状況変化が著しく、架空送電線に障害を及ぼすおそれのある工作物の新増設や土地造成に伴う異常等を早期に発見するため、\(\fbox{区間}\)を定めて行う巡視をいう。