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電験1種過去問【2018年電力管理 問2】

2024年2月17日

【施設管理】事故波及防止リレーシステムの概要《論説問題》

 電力系統に発生した事故を事故除去リレーの働きによって高速で除去することで、通常は事故点を含む最小限の範囲の設備が停止することとなるが、系統及び事故の様相によっては、系統全体に事故の影響が波及拡大し、広範囲な停電を起こす場合があることから、事故波及防止リレーシステムが導入されている。事故によって次の 1. ~3. の事象が発生した場合に、どのような事故波及が発生する可能性があるのか、また、その事故波及を防止するために、事故波及防止リレーシステムによってどのような制御を行うかについて、1.~ 3. のそれぞれに対し、 100 ~ 300 文字程度で簡潔に述べよ。

  1. 送電線等の過負荷
  2. 周波数低下
  3. 発電機の脱調
解答と解説はこちら

解答

公式標準解答

事故によって次の 1. ~3. の事象が発生した場合に、どのような事故波及が発生する可能性があるのか、また、その事故波及を防止するために、事故波及防止リレーシステムによってどのような制御を行うか。

  1. 送電線等の過負荷
     事故により送電線や変圧器が停止し、他の健全設備の過負荷が発生した場合、過負荷になった設備の破損等による事故の発生、又は、破損等を回避するための設備停止によって、大規模な停電に至る可能性がある。また、ループ状やメッシュ状の系統では、過負荷になった設備の停止により、他の設備が過負荷となり、次々と設備停止を余儀なくされる可能性もある。
     このような事故波及を防止するため、発電機出力又は負荷の抑制や遮断によって、送電線や変圧器を通過する電流を抑制する。
  2. 周波数低下
     系統事故(及びその波及)により大量の電源が脱落し、大幅な需給アンバランスが生じた場合には、通常の制御では対処できない急激かつ大幅な周波数低下が発生し、これが発電プラントの安定運転限界を超過すると、連鎖的な発電機の脱落に繋がる可能性がある。
     このような事故波及を防止するため、一部の負荷を遮断することで周波数の維持を図る。さらに、この対策によっても周波数の回復が困難で周波数低下状態が継続する場合には、連系系統を分離したり、適当な近傍負荷を有する局地火力系統を分離して単独系統として安定運転を維持させたりするなどにより、事故の影響による停電等が電力系統全体に及ぶことを回避する対策も採用されている。
  3. 発電機の脱調
     事故除去の遅延や失敗によって発電機が脱調に至った場合、脱調の電気的中心付近の電圧が大きく低下することから、これを放置すると、他の発電機の電気出力の低下により次なる脱調が起こるという連鎖的な脱調現象が発生する可能性がある。
     このような事故波及を防止するため、発電機の脱調が予測される場合に一部の電源の遮断を行って脱調現象の発生を防止する、又は、発電機の脱調が発生した後にこれを速やかに検出して脱調の電気的中心の両端で系統を分離することでそれ以上の進展を防止するといった制御を行う。

解説

 事故波及防止リレーシステムに関する問題です。専門的な内容となり、明確な解答を得るのは難しいかもしれませんが、どのような波及事故が起こるのか考え、その対策を述べていけば、合格点を狙うことも可能かもしれません。


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