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がいし(碍子)について

がいしは、架空送電線の構成部品のひとつ。その他の構成部品については送電の学習帳にあります。

がいし

がいしは、電線を鉄塔などの支持物から絶縁して保持する装置。

送電用がいしの種類

懸垂がいし

 送電用としては、高電圧送電線では笠状の懸垂がいしが広く用いられ、所要の絶縁レベルに応じた個数だけ連結して用いられる。
 懸垂がいしにおいて、絶縁強化を図るには、がいしを直列に連結する個数を増やす方法や、がいしの表面漏れ距離を長くする方法が用いられる。

 架空送電線路の耐汚損設計において、がいしの連結個数を決定する場合には、送電線路が通過する地域の汚損区分と電圧階級を加味する必要がある。

長幹がいし

 また、懸垂がいしと異なり、棒状磁器の両端に連結用金具を取り付けた形状(棒状)の長幹がいしは、雨洗効果が高く、塩害に対し絶縁性が高い。

その他のがいし

 表面漏れ距離の長い耐霧がいしや耐塩がいしも用いられる。

がいしの塩害対策

 風雨などによって、がいし表面に塩分等の導電性物質が付着することを、がいしの塩害という。
 がいしの塩害が発生した場合、がいしの絶縁が低下して漏れ電流の発生により、可聴雑音や電波障害が発生する場合があり、最悪の場合フラッシオーバが生じ、送電線故障を引き起こすことがある。

 がいしの塩害対策として、塩害の少ない送電ルートの選定、がいしの絶縁強化、がいしの洗浄、がいし表面へのはっ水性物質の塗布の採用が挙げられる。

 がいし表面へのはっ水性物質の塗布の具体策として、絶縁性に優れたシリコンコンパウンドをがいし類に塗布する方策がある。絶縁性以外に、シリコンコンパウンドが有する塩害対策として以下がある。

  • がいし類の表面に降りかかる水分をはじく、優れたはっ水性
  • がいし類に付着した塩分を包み込むアメーバ作用

保守上注意すべき点としては、シリコンコンパウンドの寿命が1~2年と短く、通常の点検よりも多頻度で設備を停止して、清浄再塗布する必要があることである。

がいしの塩害汚損指標

 変電所のがいし類の塩害汚損の管理指標として、等価塩分付着密度[mg/cm²]が用いられている。等価塩分の意味を含めてこの管理指標が用いられる。等価塩分とは、実際の汚損物による水の導電率と同一の値を示す食塩(塩化ナトリウム)の量であり、管理指標として用いられるのは、がいし類の汚損時の絶縁耐力が等価塩分付着密度ごとに決められているからである。

懸垂がいしの不良検出方法

 送電線に使用されている懸垂がいしについて、送電線が課電された状態で、不良がいしを検出する方法は、目視点検は除き以下のようなものがある。

測定項目:各がいしの分担電圧
検出方法:分担電圧を測定し、その低下を検出する方法。その方式にはネオン管(ネオンランプ)式、音響(ギャップ)式、音響パルス式、自走式、光パルス式などがある。

測定項目:各がいしの絶縁抵抗値
検出方法:静電容量の大きなコンデンサをがいしに並列に接続し、がいしの交流分担電圧を零にしてから、直流電圧を印加して絶縁抵抗値を測定し、その低下を検出する方法で、主に275kV・500kVに用いられる。その方式には自走式不良がいし検出器を用いる方式がある。

測定項目:各がいしからの漏れ電流
検出方法:漏れ電流を測定し、送電線からの漏れ電流に対する比率から不良がいしを検出する方法で主に33kV以下に用いられる。その方式にはKD式がある。

測定項目:がいし近傍の電界
検出方法:電界を測定し、その変化から不良がいしを検出する方法。その方式には電界測定式不良がいし検出器、MG管式不良がいし検出器などをもちいる方式がある。

測定項目:各がいしの振動周波数
検出方法:音波を発信してがいしを振動させた状態でこれを用いて振動周波数を測定し、その低下から不良がいしを検出する方法。その方式にはドップラー振動計を用いる方式がある。