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電験1種過去問【2021年電力管理 問6】

2024年4月14日

【施設管理】力率改善コンデンサ接続点による高調波電流の違い《計算問題》

 図は、6.6kV 受電設備の単線接続図の一部である。変圧器の二次側 440V 母線には高調波を発生する負荷が接続され、6.6kV 母線には力率改善用コンデンサ設備が設置されている。このとき次の問に答えよ。なお、力率改善用コンデンサ設備容量は、コンデンサと直列リアクトルを組み合わせた設備の定格電圧及び定格周波数(基本波)における無効電力とする。また、回路のインピーダンスは抵抗分を無視してリアクタンス分のみで計算せよ。

(1)この負荷から発生する第5高調波電流の大きさを440V 基準で 20A とすると、6.6kV の電源側に流出する第5高調波電流は何 A か。

(2)力率改善用コンデンサ設備を6.6kV 母線から切り離し、定格電圧を 440V に変更した上で、図の点線で示すように 440V 母線に設置した場合、6.6kV 電源側に流出する第5高調波電流は何 A か。
 ただし、力率改善用コンデンサ設備のコンデンサ容量及び直列リアクトル容量は変えないものとする。

解答と解説はこちら

解答

公式標準解答

(1)この負荷から発生する第5高調波電流の大きさを440V 基準で 20A とすると、6.6kV の電源側に流出する第5高調波電流は何 A か。

 10MV・A基準で、回路各部の%リアクタンスを単位法[p.u.]で表すと、電源側のリアクタンスは、
 \(\displaystyle X_S=\frac{j20%}{100%}=j0.2p.u.\)
 力率改善コンデンサの設備リアクタンスは、
 \(\displaystyle X_{SC}=-j\frac{10MV・A}{0.2Mvar}=-j50p.u.\)
 コンデンサ単体のリアクタンスは、
 \(\displaystyle X_C=X_{SC}×\frac{Q_C}{Q}=-j50×\frac{213kvar}{200kvar}=-j53.25p.u.\)
 直列リアクトル単体のリアクタンスは、
 \(\displaystyle X_R=-X_{SC}×\frac{Q_R}{Q}=j50×\frac{13kvar}{200kvar}=j3.25p.u.\)
 よって、電源側に流出する第5高調波電流は、
 \(\displaystyle I_{S5}=20×\frac{0.44}{6.6}×\frac{5X_R+\frac{X_C}{5}}{5X_S+5X_R+\frac{X_C}{5}}\)
  \(\displaystyle =20×\frac{0.44}{6.6}×\frac{5×j3.25-j\frac{53.25}{5}}{5×j0.2+5×j3.25-j\frac{53.25}{5}}\)
  \(\displaystyle =20×\frac{0.44}{6.6}×\frac{5.6}{6.6}=1.1313A\)
 1.13A…(答)

(2)力率改善用コンデンサ設備を6.6kV 母線から切り離し、定格電圧を 440V に変更した上で、図の点線で示すように 440V 母線に設置した場合、6.6kV 電源側に流出する第5高調波電流は何 A か。
 ただし、力率改善用コンデンサ設備のコンデンサ容量及び直列リアクトル容量は変えないものとする。

 10MV・A基準で、変圧器のリアクタンスは、
 \(\displaystyle X_T=j5%×\frac{10MV・A}{0.5MV・A}=j1p.u.\)
 よって、電源側に流出する第5高調波電流は、
 \(\displaystyle I_{SS5}=20×\frac{0.44}{6.6}×\frac{5X_R+\frac{X_C}{5}}{5X_S+5X_R+\frac{X_C}{5}+5X_T}\)
  \(\displaystyle =20×\frac{0.44}{6.6}×\frac{5×j3.25-j\frac{53.25}{5}}{5×j0.2+5×j3.25-j\frac{53.25}{5}+5×j1}\)
  \(\displaystyle =20×\frac{0.44}{6.6}×\frac{5.6}{11.6}=0.64368A\)
 0.644A…(答)

解説

 力率改善コンデンサ接続時の高調波電流値を求める問題で、過去の類題も多く解答しやすい問題です。一種の問題としては易しい部類なので確実に得点源としたい問題です。


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