// google adsence用 電験1種過去問【2012年電力管理 問4】 | 電気主任技術者のいろは

電験1種過去問【2012年電力管理 問4】

2024年2月17日

【施設管理】大容量変電機器の信頼性確保《論説問題》

 大容量変電機器の信頼性確保に関して大容量変圧器及び大容量 GIS を例にとり、次の問に答えよ。

  1. 大容量変電機器の品質を確保するために、輸送及び現地据付けに関して、設計時に配慮する事項を説明せよ。
    • 大容量変圧器及び大容量 GIS に共通して配慮する事項
    • 大容量変圧器及び大容量 GIS に個別に配慮する事項
  2. 現地据付けにおいて品質管理に必要な事項を、➀作業環境、➁絶縁物の吸湿防止、➂異物混入防止に関して、機器ごとにそれぞれ説明せよ。
解答と解説はこちら

解答

公式標準解答

  1. 大容量変電機器の品質を確保するために、輸送及び現地据付けに関して、設計時に配慮する事項を説明せよ。
    • 大容量変圧器及び大容量 GIS に共通して配慮する事項
       工場で試験を終えた変電機器は、必要に応じて輸送のための分解、梱包を行ってから、現地へ輸送される。そして現地ではこれらの分解された機器を組み立て、絶縁媒体の封入を行い、正規状態となる。大容量変電機器の設計に際して、輸送においては、輸送単位が機器一体輸送、又は分解数を極小化するように配慮されており、品質向上に役立っている。また、現地据付けにおいては、現地作業の範囲を極小化、単純化し、施工不良の発生を防止するように設計されている。
    • 大容量変圧器及び大容量 GIS に個別に配慮する事項
      ➀変圧器では、リードの接続においては、工場製造時に取り付けた羽子板端子構造によるボルト締結として、現地でのリード切断などを行わない構造としていること、冷却部取り付け部の接続では、取り付け部のバルブを本体側のフランジに取り付けたまま、冷却器を取り外せる構造により分解、輸送時の防水、防塵効果を高めることが上げられる。
      ➁ GIS では、通電部の通電接触子を用い、導体部に、はめあい構造、ボルト締結といった簡易な接続方法を採用し、複雑な作業を伴わず、確実な接続ができるように配慮されている。一方、タンク接続においては、フランジ部の防水構造化、吸着剤取り付けによる防湿対策がなされている。また金属異物の発生しにくいはめ合い構造による異物対策がなされている場合もある。
  2. 現地据付けにおいて品質管理に必要な事項を、➀作業環境、➁絶縁物の吸湿防止、➂異物混入防止に関して、機器ごとにそれぞれ説明せよ。
    • 大容量変圧器
      ➀作業環境:タンク内に塵埃や異物が混入しないために周囲に隔壁や蓋いを設置するなどの防塵措置を施すと共に、作業場周辺に散水を行うなどの作業環境を整備し、場合により粉塵計を使用して防塵管理を行う。
      ➁吸湿防止:タンク内作業時における絶縁物の吸湿を防止するために、絶縁物の露出時間を管理すると共に、作業に使用する乾燥空気の湿度とタンクの内部湿度を管理する。現地作業中に吸湿した水分を熱湯噴霧循環により乾燥させ、絶縁物表面部分の水分量を基準値以下にする。高真空下(0.1 から 3 [Torr] )で脱気装置を通して脱気ろ過した絶縁油を注油する。
      ➂異物混入防止:真空脱気注油後、さらに絶縁油中の微小な塵埃を除去し、脱気度を向上させるために、タンク内の絶縁油を真空脱気装置を通して脱気ろ過循環する。
    • 大容量GIS
      ➀作業環境:現地接続部の組み立て後の品質は、作業環境の影響を受けやすい。雨天時の作業を回避すると共に、湿度、風速 及び塵埃を基準値以下に確保する必要がある。(湿度 80[%] 以下、風速 5 [m/s] 以下、塵埃は 20 [カウント/min] 以下)
      ➁吸湿防止:組み立て中では、所定の防水処理を行い、吸着剤の放置時間は30分以内とする。
      ➂異物混入防止:作業中はフランジ面への保護カバー取り付けや、Oリングの傷、異物のないことの確認に留意し、防塵フェンスや防塵ハウスを適用し、防塵に配慮して接続作業を行う。ガス処理を行う前に導体接続部の目視確認を行い、真空掃除機などを用いて、タンク内部を清掃後、吸着剤を取り付ける。

解説

 大容量電力機器据付時の品質管理に関する問題です。標準解答のように細かく記述できないまでも、一般的な事項はしっかり記述したいです。


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