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電子回路の学習帳

2024年4月24日

電子回路の学習

電子回路について、基本的な知識をできるだけわかりやすくまとめていきます。

電子の運動

電子eは電界から力F=eE[N]を受ける  磁束密度B(>0)の一様な磁界に直角に速度\(v_0(>0)\)で電子(質量m、電荷-e、e>0)が運動している。このとき電子は磁界からローレンツ力を受ける。その力の向きは電子の進行方向に直角でフレミングの左手の法則に従う方向(電子の進行方向の逆向きが電流の方向)であり、その大きさは\(F=ev_0B\)である。
電荷q[C]をもつ荷電粒子が磁束密度B[T]の中を速度v[m/s]で運動するとき受ける電磁力はローレンツ力と呼ばれ、次のように導出できる。まず、荷電粒子を微小な長さΔl[m]をもつ線分とみなせると仮定すれば、単位長さ当たりの電荷(線電荷密度という。)はq/Δl[C/m]となる。 次に、この線分が長さ方向に速度vで動くとき、線分には電流I=vq/Δl[A]が流れていると考えられる。そして、この微小な線電流が受ける電磁力はF=BIΔlsinθ[N]であるから、ローレンツ力の式F=qvBsinθ[N]が得られる。ただし、θはvとBとの方向がなす角である。FはvとBの両方に直交し、Fの向きはフレミングの左手の法則に従う。
では、真空中でローレンツ力を受ける電子の運動はどうなるだろうか。鉛直下向きの平等な磁束密度Bが存在する空間に、負の電荷をもつ電子を速度vで水平方向に放つと、電子はその進行方向を前方とすれば右方向のローレンツ力を受けて円運動をする。 ただし、重力の影響は無視できるものとする。 電子はこの力を向心力として半径rの円運動をすることから、遠心力\(\displaystyle F’=\frac{mv_0^2}{r}\)と釣り合うので、 \(\displaystyle F=F’\) \(\displaystyle ev_0B=\frac{mv_0^2}{r}\) \(\displaystyle r=\frac{mv_0}{eB}\) となる。また、電子が回転する角周波数\(\omega\)は \(\displaystyle\omega=\frac{v_0}{2\pi r}\times2\pi=\frac{v_0}{r}\)であるので、 \(\displaystyle\omega=\frac{v_0}{\frac{mv_0}{eB}}\) \(\displaystyle\omega=\frac{eB}{m}\)

半導体とは

シリコン(Si)やゲルマニウム(Ge)の真性半導体においては、キャリヤの電子と正孔の数は同じである。ゲルマニウム(Ge)やシリコン(Si)は単元素の半導体であり、インジウムリン(InP)やガリウムヒ素(GaAs)は化合物半導体である。 真性半導体に微量のⅢ族又はⅤ族の元素を不純物として加えた半導体を不純物半導体といい、電気伝導度が真性半導体に比べて大きくなる。不純物半導体の導電率は金属よりも小さいが、真性半導体よりも大きい。

半導体内でキャリヤの濃度が一様でない場合、拡散電流の大きさはそのキャリヤの濃度勾配にほぼ比例する。 真性半導体に不純物を加えるとキャリヤの濃度が変わり、抵抗率は変化する

極めて高い純度に精製されたケイ素(Si)やゲルマニウム(Ge)などの真性半導体に、微量のリン(P)、ヒ素(As)などの5価の元素(Ⅴ族の元素)を不純物として微量だけ加えたものをn形半導体といい、このとき加えた不純物をドナーという。n形半導体のキャリアは正孔より自由電子のほうが多い。 同様に、真性半導体に、価電子の数が3個の原子(Ⅲ族の元素)、例えばホウ素(B)を不純物として微量だけ加えるとp形半導体になる。 ただし、Si、P、Asの原子番号は、それぞれ14,15,33である。

真性半導体に光を当てたり熱を加えたりしても電子や正孔は発生する。真性半導体に外部から熱や光などのエネルギーを加えると電流が流れ、その向きは正孔の移動する向きと同じである。 真性半導体に外部から熱を与えると、その抵抗率は温度の上昇とともに減少する。言い換えれば、熱を与えると、その導電率は温度の上昇とともに上昇する。これは、熱エネルギーにより価電子帯からバンドギャップ帯を超えて、導電帯に電子が励起されるためである。 半導体に電界を加えると流れる電流はドリフト電流と呼ばれ、その大きさは電界の大きさに比例する。

半導体内部の電子の移動

ダイオード

pn接合ダイオードは、それに順電圧を加えると電子が素子中をカソードからアノードへ移動する2端子素子である。pn接合のダイオードは整流作用があり、p形→n形へしか電流が流れない。これを整流作用という。 ダイオードにp形が負、n形が正となる電圧を加えたとき、p形、n形それぞれの領域の少数キャリアに対しては、順電圧と考えられるので、この少数キャリアが移動することによって、極めてわずかな電流がながれる。

ツェナーダイオード

定電圧ダイオード(ツェナーダイオード)はダイオードにみられる逆電圧・電流特性の急激な降伏現象を利用したものである。

発光ダイオード(LED)

LEDは、pn接合型ダイオードで、pn接合領域に順電圧を加えたときに発光する素子である。電力として順電流を与え、電子を励起させそのエネルギーを、光として取り出す。LEDの順方向電圧は約2Vである。 発光ダイオードのpn接合領域に順電圧を加えると、pn接合領域でキャリヤの再結合が起こる。再結合によって、そのエネルギーに相当する波長の光が接合部付近から放出される。

可変容量ダイオード

空乏層の静電容量が、逆電圧によって変化する性質を利用したダイオードを可変容量ダイオード又はバラクタダイオードという。逆電圧の大きさを小さくしていくと、静電容量は大きくなる。 可変容量ダイオード(バリキャップ)は、加えた逆電圧の値が大きくなるとその静電容量が小さくなる2端子素子である。ダイオードに逆方向電圧を加えると空乏層の領域の幅が変化することを利用して、静電容量を変化させている。 静電容量C=εS/d[F](ε:誘電率でここでは空乏層の誘電率、S:電極板の面積でここでは空乏層断面積、d:誘電体の距離でここでは空乏層の領域の幅)で与えられる。 このため逆方向電圧を大きくすると空乏層の領域の幅dは大きくなるため、上述の静電容量Cは小さくなる。この、電圧信号で静電容量を変化させることができる特性は無線通信の同調回路(FM変調等)に利用されている。

太陽電池

太陽光のエネルギーを電気エネルギーに直接変換するものとして、半導体を用いた太陽電池がある。p形半導体とn形半導体によるpn接合を用いているため、構造としてはダイオードと同じである。 太陽電池に太陽光を照射すると、半導体の中で負の電気をもつ電子と正の電気をもつ正孔が対になって生成され、電子はn形半導体の側に、正孔はp形半導体の側に、それぞれ引き寄せられる。その結果、p形半導体に付けられた電極がプラス極、n形半導体につけられた電極がマイナス極となるように起電力が生じる。両電極間に負荷抵抗を接続すると太陽電池から取り出された電力が負荷抵抗で消費される。その結果、負荷抵抗を接続する前に比べて太陽電池の温度は低くなる。 無負荷状態の太陽電池は飽和電圧以上のエネルギーは熱となって放出される。このため負荷抵抗を接続すれば太陽電池の温度は下がる。(下がった温度分のエネルギーは負荷抵抗で消費されていると考えることができる。)

サイリスタ

サイリスタは、p形半導体とn形半導体の4層構造からなる3端子素子である。

トランジスタ

(1)エミッタ接地増幅回路における電流帰還バイアス方式は、エミッタ接地との間に抵抗を挿入するので、自己バイアス方式に比べて温度変化に対する動作点の安定性がよい。

(2)エミッタ接地増幅回路では、出力交流電圧の位相は入力交流電圧の位相に対して逆位相となる。

(3)コレクタ接地増幅回路は、電圧増幅度がほぼ1で、入力インピーダンスが大きく、出力インピーダンスが小さい。エミッタホロワ増幅回路とも呼ばれる。

(4)ベース接地増幅回路は、電流増幅度がほぼ1である。 (5)CR結合増幅回路では、周波数の低い領域と高い領域とで信号増幅度が低下する。中域からの増幅度低下が3[dB]以内となる周波数領域をその回路の帯域幅という。増幅度低下が3[dB]以内となる周波数の境界をカットオフ周波数といい、3[dB]の減衰と定義される。3[dB]の減衰は電圧・電流利得では1/√2(0.707倍)となる点であり、電力利得では1/2(0.5倍)で半分となる点である。 コレクタ損失は、コレクタ電流ICとコレクタエミッタ間電圧VCEの積となる電力。この電力は、電力が熱になって失われてしまうことからコレクタ損失と呼ばれる。 A級電力増幅回路は、入力と相似の出力が得られる方式であるが、B級やC級と比べて最が最も効率が低く、最大効率は50%となる。効率はA級<B級<C級の順となる。 B級電力増幅回路は、交流の入力信号のうち片側の極性のみが増幅される。無信号時にはコレクタ電流は流れない。 C級電力増幅回路は、入力信号の電圧が十分に高い場合にのみ出力電圧が得られる。帯域が広い場合、目的の周波数帯を効率よく増幅できるので、高周波の電力増幅に使用される。

FET

MOSFETは、ゲートに加える電圧によってドレーン電流を制御できる電圧制御形の素子である。

オペアンプ(演算増幅器)

演算増幅器には電源が必要である。 演算増幅器の入力インピーダンスは、非常に大きい。 演算増幅器は、負帰還増幅回路(出力端子を-の反転入力端子に接続)としない場合、比較器として用いることができる。 図1の回路は正相増幅回路、図2の回路は逆相増幅回路である。 図1の回路は、抵抗RSを∞Ωに(開放)し、抵抗RFを0Ωに(短絡)すると、ボルテージホロワである。ボルテージホロワは入力電圧=出力電圧となり、ゲイン1倍の非反転増幅回路である。高入力インピーダンス、低出力インピーダンスとなる理想的な信号増幅が可能となる。

半導体集積回路(IC)

(1)MOS ICは、MOSFETを中心としてつくられたICである。

(2)ICを構造から分類すると、モノリシックICとハイブリッドICに分けられる。

(3)CMOS (Complementary Metal Oxide Semiconductor) ICは回路の主要部分がPチャネルとNチャネルのMOSFETを組み合わせたCMOSで構成される。幅広い電源電圧で動作する。

(4)アナログICには、演算増幅器やリニアICなどがある。

(5)ハイブリッドICでは、絶縁基板上に、ICチップや抵抗、コンデンサなどの回路素子が組み込まれている。

各種効果

金属の電子放出

熱電子放出

タンタル(Ta)などの金属を熱すると、電子がその表面から放出される。この現象は熱電子放出と呼ばれる。

電界放出

タングステン(W)などの金属表面の電界強度を十分に大きくすると、常温でもその表面から電子が放出される。この現象は電界放出と呼ばれる。

アーク放電や真空形の電子装置において、(熱電子放出と対比して)冷たい陰極から電子が放出されることを冷陰極放出という。グロー放電の冷陰極動作または冷陰極放電とは区別される。冷陰極放出の機構についてはかならずしも明らかでないが、一般に強力な電界により電子が引き出される電界放出であるとされている。

二次電子放出

電子を金属又はその酸化物・ハロゲン化物などに衝突させると、その表面から新たな電子が放出される。この現象は二次電子放出と呼ばれる。

光電効果

物質に光を照射すると、光と電子の相互作用によって、光のもつエネルギーが電子に与えられ、電子(光電子)が物質の表面から放出される。この現象を外部光電効果、または単に光電効果と言う。光電子放出は光電効果の一つである。

光の計測・検出には、光電効果が用いられる。

ゼーベック効果

熱電対の二つの接合点に温度差を与えると、起電力が発生する。この現象をゼーベック効果といい、この時発生する起電力を起電力という。熱電対の接合点の温度の高いほうを接点、低い方を接点という。 ゼーベック効果は、物体の温度差が電圧に直接変換される現象で、熱電効果の一種。

圧電効果

圧電効果は、物質(特に水晶や特定のセラミックス)に圧力(力)を加えると、圧力に比例した分極(表面電荷)が現れる現象。超音波は圧力として検出できる。 また、逆に電界を印加すると物質が変形する現象を逆圧電効果と言い、これらの現象をまとめて圧電効果と呼ぶ場合もある。

ピエゾ抵抗効果

ピエゾ抵抗効果は、半導体や金属に機械的なひずみを加えたときにその電気抵抗が変化する現象である。

    ホール効果

    ホール効果は、電流の流れているものに対し、電流に垂直に磁場をかけると、電流と磁場の両方に直交する方向に起電力が現れる現象。 金属ではキャリア密度が大きく、ホール電圧が微小な値となるため、この現象を利用した物性測定は主に半導体素子で応用される。

     図1に示すように、p 形半導体に直流電流 I [A]を流し、半導体の表面に対して垂直に下から上向きに磁束密度 B [T]の平等磁界を半導体にかけると、半導体内の正孔は進路を曲げられ、電極➀には正電荷、電極➁には負電荷が分布し、半導体の内部に電界が生じる。これは、フレミングの左手の法則に従って p 形半導体の多数キャリアである正孔に、電極➀の方向へ力が加わるためである。
     また、図2の n 形半導体の場合は、電界の方向は p 形半導体の方向と反対である。これは、n 形半導体の多数キャリアは電子であるため電極➀の方向に電子が集まり、つまり負電荷が分布するためである。

    この電界により、電極➀-➁間にホール電圧 VH = RH ×\(\frac{BI}{d}\) [V]が発生する。ただし、d [m]は半導体の厚さを示し、RH は比例定数[m³/C]である。

    超伝導現象

    特定の金属や化合物などの物質を非常に低い温度へ冷却したときに、電気抵抗が急激にゼロになる現象で同時に、マイスナー効果により外部からの磁力線が遮断される。

    表皮効果

     交流電流が導体を流れるとき、電流密度が導体の表面で高く、表面から離れると低くなる現象。周波数が高くなるほど電流が表面へ集中するので、導体の交流抵抗は高くなる。

    紫外線ランプ

     冷陰極管はガラス管の内部にアルゴン・ネオンの不活性ガス、及び水銀を充填し、その電極間に電圧を印加すると、ランプ内の電子が加速され、不活性ガスの原子や水銀原子にぶつかり合い、ガラス管内部でこれらが激しく移動する。この動きにより水銀原子の周囲にある電子が原子から離れ、陽イオンとなった原子が陰極側に引かれる。 陽イオンとなった水銀原子が陰極に接触すると、電極から電子を受け取り、陽イオンとなった水位銀原子は安定した水銀原子となるが、アルゴン原子と接触し、水銀原子はさらに不安定な軌道となる。安定状態に戻ろうとしている水銀原子は、紫外線を放出しながら戻り、ガラスの内管に塗布された蛍光物質にぶつかり、明るく光って見える。