// google adsence用 電験3種過去問【2020年理論 問18】 | 電気主任技術者のいろは

電験3種過去問【2020年理論 問18】

2022年4月24日

【電子回路】トランジスタ増幅回路の計算《計算問題》

 図1に示すエミッタ接地トランジスタ増幅回路について、次の(a)及び(b)の問に答えよ。
 ただし、IB[μA]、IC[mA]はそれぞれベースとコレクタの直流電流であり、ib[μA]、ic[mA]はそれぞれの信号分である。また、VBE[V]、VCE[V]はそれぞれベース-エミッタ間とコレクタ-エミッタ間の直流電圧であり、vbe[V]、vce[V]はそれぞれの信号分である。さらに、vi[V]、v0[V]はそれぞれ信号の入力電圧と出力電圧、VCC[V]はバイアス電圧の直流電圧、R1[kΩ]とR2[kΩ]は抵抗、C1[F]とC2[F]はコンデンサである。なお、R2=1kΩであり、使用する信号周波数においてC1、C2のインピーダンスは無視できるほど十分小さいものとする。

 (a)図2はトランジスタの出力特性である。トランジスタの動作点VCE=(1/2)VCC=6Vに選ぶとき、動作点でのベース電流IBの値[μA]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1)20 (2)25 (3)30 (4)35 (5)40

(b)小問(a)の動作点において、図1の回路に交流信号電圧viを入力すると、最大値10μAの交流信号電流ibと小問(a)の直流電流IBの和がベース(B)に流れた。このとき、図2の出力特性を使って求められる出力交流信号電圧v0(=vce)の最大値[V]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
 ただし、動作点付近においてトランジスタの出力特性は直線で近似でき、信号波形はひずまないものとする。

(1)1.0 (2)1.5 (3)2.0 (4)2.5 (5)3.0

解答と解説はこちら

解答 

(a)の解答は(3) (b)の解答は(3)

解説

(a)VCE=6Vであるから、R2=1kΩの抵抗にかかる電圧VR2=VCC-VCE=12-6=6[V]である。R2の抵抗に流れる電流がコレクタ電流IC[A]あるので、この時のコレクタ電流は

 IC=VCE/R2=6/(1×103)=6×10-3[A]

つまりコレクタ電流IC=6[mA]となる。図2のトランジスタの出力特性をみると、VCE=6VかつIC=6mAとなるときの、ベース電流IBの動作点は30[μA]であることが分かる。

 

(b)ベース(B)には、最大値10μAの交流信号電流ibと30μAの直流電流IBの和が流れる。つまり、IB+ibは30μA±10μAで変化することなるので、IB+ibの値は20μA~40μAの間を変化する。

図2のトランジスタの出力特性をみると、VCE=6VかつICB=20μA~40μAの間を変化するとき、コレクタ電流ICは4mA~8mAの間を変化することが分かる。

ここで、R2=1kΩの抵抗にかかる電圧VR2=IC×R2であるので、VR2は4V~8Vの間で変化する。つまりVCE+vce=VCC-VR2なので、VCE+vceも4V~8Vで変化することが分かる。

VCE+vceの4V~8Vは、VCE=6Vの直流信号電圧にvceの±2V(振幅2Vの交流信号電圧)が重ねられているので、出力交流信号電圧v0(=vce)の最大値は2[V]となる。