電験2種過去問【2021年理論 問6】

2021年10月15日

【電磁気】静電界中の電子の運動《空所問題》

 次の文章は、静電界による電子の運動に関する記述である。文中の\(\fbox{空白個所}\)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。
 図にように、真空中を電子(質量m、電荷量‐e、e>0)がx軸上をx<0の領域から一定速度\(\displaystyle v_{x0}(>0)\)で運動している。領域\(\displaystyle 0≦x≦a\)には、図に示すようにy軸の負の方向に均一な電界\(\displaystyle E(>0)\)がかかっており、それ以外の領域では電界がないものとする。電子のx座標がx=0からx=aに達するまでにかかる時間は\(\fbox{(1)}\)である。領域\(\displaystyle 0≦x≦a\)では、電子は電界から力F=\(\fbox{(2)}\)を受けてy方向に偏向する。運動の第2法則からy方向の運動方程式は\(\displaystyle m\frac{dv_y}{dt}= \)\(\fbox{(2)}\)と表される。ただし、\(\displaystyle v_y\)は速度のy方向成分を表す。微分方程式を解くことにより、電子のx座標がx=aに到達したときの\(\displaystyle v_y\)は\(\fbox{(3)}\)となり、そのときの電子のy座標は\(\fbox{(4)}\)となる。領域x>aでは、電子の運動はx,y方向共に等速運動となることから、電子が\(\displaystyle x=L(>a)\)に到達した際のy座標をdとすると、d=\(\fbox{(5)}\)となる。

[問6の解答群]
(イ)\(\displaystyle \frac{eE}{m}\left(\frac{a}{v_{x0}}\right)^2\)  (ロ)\(\displaystyle \frac{eE}{2m}\frac{a(2L-a)}{v_{x0}^2}\) (ハ)\(\displaystyle \frac{eE}{m}\frac{a}{v_{x0}}\)

(ニ)\(\displaystyle \frac{eE}{2m}\frac{a(L-a)}{v_{x0}^2}\) (ホ)\(\displaystyle \frac{m}{eE}\frac{L-a}{v_{x0}}\)     (ヘ)\(\displaystyle eE\)

(ト)\(\displaystyle \frac{eE}{m}\frac{v_{x0}}{a}\)     (チ)\(\displaystyle \frac{eE}{m}\)       (リ)\(\displaystyle \frac{a}{v_{x0}}\)

(ヌ)\(\displaystyle \frac{L}{v_{x0}}\)       (ル)\(\displaystyle \frac{eE}{2m}\left(\frac{a}{v_{x0}}\right)^2\)   (ヲ)\(\displaystyle \frac{eE}{m}\frac{a(2L-a)}{v_{x0}^2}\)

(ワ)\(\displaystyle aE\)       (カ)\(\displaystyle \frac{L-a}{v_{x0}}\)      (ヨ)\(\displaystyle \frac{E}{R}\frac{eE}{2m}\left(\frac{L}{v_{x0}}\right)^2\)

解答と解説はこちら

解答

(1):(リ)
(2):(ヘ)
(3):(ハ)
(4):(ル)
(5):(ロ)

解説

 図にように、真空中を電子(質量m、電荷量‐e、e>0)がx軸上をx<0の領域から一定速度\(\displaystyle v_{x0}(>0)\)で運動している。領域\(\displaystyle 0≦x≦a\)には、図に示すようにy軸の負の方向に均一な電界\(\displaystyle E(>0)\)がかかっており、それ以外の領域では電界がないものとする。

電子のx座標がx=0からx=aに達するまでにかかる時間は\(\displaystyle \frac{距離}{速さ}=\frac{a}{v_{x0}}\)である。

領域\(\displaystyle 0≦x≦a\)では、電子は電界から力F=\(\fbox{eE}\)を受けてy方向に偏向する。運動の第2法則からy方向の運動方程式は

\(\displaystyle F=ma=m\frac{dv_y}{dt}= \)\(\fbox{eE}\)

と表される。ただし、\(\displaystyle v_y\)は速度のy方向成分、aは加速度のy方向成分を表す。

微分方程式を解くことにより、電子のx座標がx=aに到達したときの\(\displaystyle v_y\)を求める。

\(\displaystyle m\frac{dv_y}{dt}=eE \)

\(\displaystyle \frac{dv_y}{dt}=\frac{eE}{m} \)

両辺を積分して、一般解を求めると

\(\displaystyle v_y=\int\frac{dv_y}{dt}dt=\int\frac{eE}{m}dt=\frac{eE}{m}t+v_{y0} \) …①

t=0における、初速度\(\displaystyle v_{y0}=0 \)であるので、

\(\displaystyle v_y=\frac{eE}{m}t \)

x=0(t=0)からx=aに達するまでの時間\(\displaystyle t=\frac{a}{v_{x0}}\)を代入すると

\(\displaystyle v_y=\frac{eE}{m}\frac{a}{v_{x0}} \)

つまり、\(\displaystyle v_y=\frac{eE}{m}\frac{a}{v_{x0}}\)となる。

次に、電子のx座標がx=aに到達したときの電子のy座標を求める。

①式より、

\(\displaystyle v_y=\frac{eE}{m}t+v_{y0} \)

y座標と速度\(\displaystyle v_y \)の関係は、

\(\displaystyle v_y=\frac{dy}{dt}=\frac{eE}{m}t+v_{y0} \)

両辺を積分して、一般解を求めると

\(\displaystyle y=\int\frac{dy}{dt}dt=\int\left(\frac{eE}{m}t+v_{y0}\right)dt \)

\(\displaystyle =\frac{1}{2}\frac{eE}{m}t^2+v_{y0}t+y_0 \)

t=0における、初速度及び初期座標は\(\displaystyle v_{y0}=0, y_0=0 \)であるので、

\(\displaystyle y=\frac{1}{2}\frac{eE}{m}t^2 \)

x=0(t=0)からx=aに達するまでの時間\(\displaystyle t=\frac{a}{v_{x0}}\)を代入すると

\(\displaystyle y=\frac{1}{2}\frac{eE}{m}\left(\frac{a}{v_{x0}}\right)^2 \)

つまり、\(\displaystyle y=\frac{eE}{2m}\left(\frac{a}{v_{x0}}\right)^2\)となる。

領域x>aでは、電子の運動はx,y方向共に等速運動となることから、電子が\(\displaystyle x=L(>a)\)に到達した際のy座標をdとすると、

\(\displaystyle d=y+v_y\frac{(L-a)}{v_{x0}} \)

\(\displaystyle =\frac{eE}{2m}\left(\frac{a}{v_{x0}}\right)^2+\frac{eE}{m}\frac{a}{v_{x0}}\frac{(L-a)}{v_{x0}} \)

\(\displaystyle =\frac{eE}{2m}\frac{(2aL-a^2)}{v_{x0}^2} \)

\(\displaystyle =\frac{eE}{2m}\frac{a(2L-a)}{v_{x0}^2} \)

よって、\(\displaystyle d=\frac{eE}{2m}\frac{a(2L-a)}{v_{x0}^2} \)となる。