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同期機の学習帳

2022年8月9日

同期発電機

同期発電機の励磁方式

小型の同期発電機では界磁に永久磁石を使用することもあるが、中型から大型の同期発電機(以下、主発電機と呼ぶ)では界磁巻線に直流電流を通電して励磁する方法が適用される。
この直流電流(界磁電流)を供給する装置を励磁装置と呼び、近年では交流励磁機方式、又は静止形励磁方式が一般的である。また、この界磁電流の大きさを調整して主発電機の\(\fbox{無効電力}\)や端子電圧を調整することを励磁制御という。
交流励磁機方式は、励磁電源として同期発電機を使用しており、この発電機を交流励磁機と呼ぶ。交流励磁機方式では、主発電機の界磁電流の増減は、交流励磁機の界磁電流の調整によって行われる。交流励磁機にも励磁が必要であるが、その電源としてさらに小型の発電機をもう一台使用する場合は、この小型の発電機を\(\fbox{副励磁機}\)と呼ぶ。
交流励磁機方式の一つにブラシレス励磁方式がある。ブラシレス励磁方式の交流励磁機の構造は\(\fbox{回転電機子}\)形であり、その出力は交流励磁機の回転子と同軸上に設置された半導体電力変換器整流されて、主発電機の界磁巻線に供給される。このため、この方式では主発電機及び交流励磁機に界磁電流を給電するための\(\fbox{スリップリング}\)とブラシが不要である。
静止形励磁方式では、サイリスタ素子を使用した電力変換器を使用する方式が近年一般的であり、サイリスタ励磁方式とも呼ばれる。サイリスタ励磁方式では、その電源を励磁変圧器経由で主発電機の出力回路(主回路)から得る\(\fbox{自励方式}\)が多く採用されている。

同期発電機の特性曲線

  1. 無負荷飽和曲線
     同期発電機を定格回転速度、無負荷で運転している場合の界磁電流に対する\(\fbox{端子電圧}\)の関係を示す曲線を無負荷飽和曲線という。界磁電流の増加に伴い鉄心が飽和するため、界磁電流と\(\fbox{端子電圧}\)の関係は比例関係にならず、いわゆる飽和特性を示す曲線になる。
  2. 短絡特性曲線
     同期発電機の端子を短絡し、定格回転速度で運転した場合の、界磁電流に対する\(\fbox{電機子電流}\)の関係を示す曲線を短絡特性曲線という。端子短絡状態では、電機子反作用による\(\fbox{減磁作用}\)で界磁起電力の大部分が打ち消されるため界磁電流を増加させても鉄心は磁気飽和せず、特性曲線はほぼ直線となる。
     無負荷飽和曲線と短絡特性曲線が得られると、同期発電機の短絡比を求めることができ、この短絡比と単位法(p.u.)で表した\(\fbox{同期インピーダンス}\)は互いに逆数の関係になる。
  3. 負荷飽和曲線
     同期発電機を定格回転速度で運転し、電機子電流一定で力率一定の負荷をかけた場合の界磁電流に対する\(\fbox{端子電圧}\)の関係を示す曲線を負荷飽和曲線という。負荷飽和曲線のなかで特に電機子電流値が定格で\(\fbox{零力率}\)の負荷をかけた場合の曲線を\(\fbox{零力率}\)飽和曲線といい、無負荷飽和曲線をポーシェの三角形を用いて平行移動することでもこの飽和曲線を描くことができる。

三相同期電動機

 三相同期電動機が負担を担って回転しているとき、回転子磁極の位置と、固定子の三相巻線によって生じる回転磁界の位置との間には、トルクに応じた角度δ[rad]が発生する。この角度δを\(\fbox{負荷角}\)という。
回転子が円筒形で2極の三相同期電動機の場合、トルクT[N・m]はδが\(\fbox{π/2}\)[rad]のときに最大値になる。さらにδが大きくなると、トルクは減少して電動機は停止する。同期電動機が停止しない最大トルクを
\(\fbox{脱出トルク}\)という。
また、同期電動機の負荷が急変すると、δが変化し、新たなδ’に落ち着こうとするが、回転子の慣性のために、δ’を中心として周期的に変動する。これを\(\fbox{乱調}\)といい、電源の電圧や周波数が変動した場合にも生じる。\(\fbox{乱調}\)を抑制するには、始動巻線も兼ねる\(\fbox{制動巻線}\)を設けたり、はずみ車を取り付けたりする。

同期インピーダンスと百分率同期インピーダンス

定格線間電圧Vn[V]、短絡電流Is[A]とすると、同期インピーダンスZs[Ω]は

\(\displaystyle Z_s=\frac{V_n}{\sqrt3 I_s}\) [Ω]

百分率同期インピーダンスzs[%]は次式で定義する。

\(\displaystyle z_s=\frac{I_n}{I_s}\times100\) [%]

三相同期電動機の始動法

自己始動法

 自己始動法は、回転子に施されている\(\fbox{制動}\)巻線を、誘導電動機の二次巻線として始動トルクを発生させ、同期速度付近に達したとき、界磁巻線に直流励磁を与えて、\(\fbox{引入れ}\)トルクによって同期化する方法である。始動時には、回転磁束により界磁巻線に高電圧を誘導し、その絶縁破壊の恐れがあるため、適当な抵抗を通じて界磁巻線を短絡しておく必要がある。この始動法の場合、定格電圧、定格周波数の電源電圧を直接加えて始動する全電圧始動と、始動時に始動電流を抑制するために、電動機電機子電圧を低減して始動する低減電圧始動がある。

始動電動機法

 主機と同軸に設備した小形の始動電動機(誘導電動機や直流電動機)を用いて、無負荷状態で、同期速度付近まで加速する。次に、界磁を励磁して同期発電機として、三相電源との並列運転状態を実現する。そののち、始動用電動機の電源を遮断して同期電動機として運転する。

 始動電動機として\(\fbox{誘導機}\)を用いる場合は、主機よりも2~4極程度極数が\(\fbox{少ない}\)ものが使われる。

低周波始動法

 \(\fbox{低周波}\)始動法は、始動用電源として可変周波数の電源を使用し、定格周波数の25~30%の周波数で同期化し、その後、定格周波数まで周波数を上昇させてから主電源に同期電源を投入する方法である。

永久磁石同期電動機

 同期電動機の回転子(界磁)は電磁石が一般的であるが、界磁に永久磁石を用いたもの(永久磁石同期電動機。以下、PMモータという)と回転子が鉄心のみで構成されたもの(リラクタンスモータ)もある。PMモータは、回転子に永久磁石を配置しているため、電磁石を用いる方式に比べて\(\fbox{励磁装置}\)が必要なく、かご形誘導電動機と同様にシンプルな構造となる。
PMモータは回転子への磁石の配置方法により、\(\fbox{表面}\)磁石形(SPM)と埋込磁石形(IPM)の二種類に分けられる。SPMは磁石の磁束を有効活用できるので高トルクで\(\fbox{トルクリプル}\)の少ないモータであり、可変速ドライブを行う場合に制御性、応答性の良いモータである。しかし、高速回転時に磁石の剥がれや飛散の可能性があり、構造上の対策を必要とする。一方IPMは磁石が回転子鉄心内部にあるので、回転子鉄心は高速回転時の磁石を保護しているだけでなく、その構造によってリラクタンストルクも得られ、運転速度領域を広くとれる利点がある。しかしその反面、磁石の磁束の有効活用の面ではSPMに比べ劣り、磁極位置による\(\fbox{トルクリプル}\)も増加する。
PMモータは近年発達の著しいネオジム合金等の\(\fbox{希土類}\)永久磁石を用いることで小形・軽量となる利点があることから、家庭用機器、OA機器、電気自動車などに多く用いられてきたが、最近では小型軽量であること活かし鉄道車両用の大出力機への開発も進められている。
 PMモータの可変速運転は、可変電圧・可変周波数の電力変換装置と組み合わせて構成される。このうち高性能な精密可変速運転を目的とするベクトル制御では回転子の角度を検出し1台のインバータで\(\fbox{1台}\)のPMモータを駆動するのが原則となる。

同期機の運転特性

 同期電動機は、定常運転時において、負荷の大小にかかわらず、\(\fbox{極数}\)\(\fbox{電源周波数}\)とで定まる同期速度で回転する交流機であり、一般に定速度電動機として用いられる。同期電動機が一定の負荷にて定速運転を行っているとき、界磁電流を増加させると電機子電流の位相は界磁電流増加前よりも\(\fbox{進み}\)方向に変化し、減少させると逆方向に変化する。これにより、運転力率を任意に調整することができる。
同期電動機を原動機で駆動すれば、同期発電機として動作させることができる。電機子電流及び端子電圧の大きさ並びに回転速度及び回転方向は電動機運転時と変えず、同期発電機として遅れ力率で運転する場合の界磁電流は、遅れ力率で運転していた同期電動機の界磁電流\(\fbox{より大きい}\)
同期電動機は、インバータ電源などを用いて\(\fbox{電源周波数}\)を制御することによって可変速運転を行うことができる。一般に、誘導起電力は回転速度に比例して増減する。したがって、回転速度を定格速度より低くする場合、電源電圧と\(\fbox{電源周波数}\)との比を一定に維持するように制御を行えば、磁束をほぼ一定に保つことができる。
 永久磁石同期電動機で速度制御を行う場合、高速領域で誘導起電力が電源電圧より高くなり、そのままでは回転速度を上げることができなくなるときがある。このような場合に、電機子電流の位相を進み方向に制御し、\(\fbox{電機子反作用}\)によって磁束を弱めるようにすれば、運転領域を高速側に拡大することができる。