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電験3種過去問【2020年機械 問4】

2022年4月24日

【同期機】同期発電機の誘導起電力発生の原理《空所問題》

 次の文章は、回転界磁形三相同期発電機の無負荷誘導起電力に関する記述である。
 回転磁束を担う回転子磁極の周速をv[m/s]、磁束密度の瞬時値をb[T]、磁束と直交する導体の長さをl[m]とすると、1本の導体に生じる誘導起電力e[V]は次式で表される。
  e=vbl
極数をp、固定子内側の直径をD[m]とすると、極ピッチτ[m]はτ=πD/pであるから、f[Hz]の起電力を生じる場合の周速vはv=2πfである。したがって、角周波数ω[rad/s]をω=2πfとして、上述の磁束密度瞬時値b[T]をb(t)=Bmsinωtと表した場合、導体1本あたりの誘導起電力の瞬時値e(t)は、
  e(t)=Emsinωt
  Em=【(ア)】Bml
となる。
 また、回転磁束の空間分布が正弦波でその最大値がBmのとき、1極の磁束密度の【(イ)】B[T]はB=(2/π)Bmであるから、1極の磁束Φ[Wb]はΦ=(2/π)Bmτlである。したがって、1本の導体の生じる起電力の実効値は次のように表すことができる。

  Em/√2=(π/√2)fΦ=2.22fΦ

よって、三相同期発電機の1相あたりの直列に接続された電機子巻線の巻数をNとすると、回転磁束の空間分布が正弦波の場合、1相あたりの誘導起電力(実効値)E[V]は

  E=【(ウ)】fΦN

となる。
 さらに、電機子巻線には一般に短節巻と分布巻が採用されるので、これらを考慮した場合、1相あたりの誘導起電力Eは次のように表される。

  E=【(ウ)】kWfΦN

ここでkWを【(エ)】という。
 上記の記述中の空白個所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  (ア) (イ) (ウ) (エ)
(1) 2τf 平均値 2.22 巻線係数
(2) 2πf 最大値 4.44 短節係数
(3) 2τf 平均値 4.44 巻線係数
(4) 2πf 最大値 2.22 短節係数
(5) 2τf 実効値 2.22 巻線係数

 

解答と解説はこちら

解答 

(3)

解説

(ア)誘導起電力e=vblであるので、誘導起電力の瞬時値e(t)は磁束密度の瞬時値b(t)の関数として表せる。すなわち、e(t)=vb(t)lとなる。同時に、e(t)=Emsinωtと定義されているので、

 e(t)=Emsinωt=vb(t)l=vBmsinωt l

 ∴Em=vBm l

ここで、v=2τfであるので、

 Em(ア)2τfBm l

(イ)回転磁束が正弦波でその最大値がBmのとき、B=(2/π)Bmで表されるとき、B[T]は(イ)平均値である。また、B=(2/√2)Bmで表されるとき、B[T]は実効値である。これは、正弦波の平均値と実効値の定義であるので覚えておく必要がある。

(ウ)1本の導体に生じる起電力の実効値Eは、E=Em/√2=2.22fΦと与えられている。電機子巻線の巻数をNとすると、1巻あたりに起電力を乗じる導体は2本存在するので、1相あたりの誘導起電力はE×N×2=(ウ)4.44fΦNとなる。

(エ)電機子巻線は一般的には、短節巻や分布巻が採用され、実際に合成された誘導起電力は理想的なものより低くなる。つまり1相あたりの誘導起電力EはE=4.44kWfΦN(kWは1以下)と表され、ここでkW(エ)巻線係数という。

【補足】

分布巻・短節巻での誘導起電力は,集中巻・全節巻で得られる誘導起電力の値に、分布係数と短節係数との積である巻線係数を乗じた値となる。

分布巻の場合の集中巻の場合に対する誘導起電力の大きさの比を分布係数といい、短節巻の場合の全節巻に対する誘導起電力の大きさの比を短節係数という。

集中巻とは、1対のスロットに全ての巻線を巻いたもの。対して分布巻とは複数のスロットにわたり巻線を巻いたもの。

全節巻とは電気角を180°ずらして(2極の場合は物理的に180°相対して)巻線を巻いたもの。対して短節巻とは電気角が180°より小さくなるように巻線を巻いたもの。