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電験3種過去問【2019年機械 問5】

2023年5月1日

【同期機】三相同期電動機の入出力とトルク《空所問題》

 次の文章は、星形結線の円筒形三相同期電動機の入力、出力、トルクに関する記述である。
 この三相同期電動機の1相分の誘導起電力\(E\)[V]、電圧\(V\)[V]、電流\(I\)[A]、\(V\)と\(I\)の位相差を\(\theta\)[rad]としたときの1相分の入力\(P_i\)[W]は次式で表される。
$$P_i=VI\cos\theta$$
 また、\(E\)と\(V\)の位相差を\(\delta\)[rad]とすると、1相分の出力\(P_o\)[W]は次式で表される。\(E\)と\(V\)の位相差\(\delta\)は\(\fbox{(ア)}\)といわれる。
$$P_o=EI\cos(\delta-\theta)=\frac{VE}{x}\fbox{(イ)}$$
 ここで\(x\)[Ω]は同期リアクタンスであり、電機子巻線抵抗は無視できるものとする。
 この三相同期電動機の全出力を\(P\)[W]、同期速度を\(n_s\)[min-1]とすると、トルク\(T\)[N・m]とPの関係は次式で表される。
$$P=3P_o=2\pi\frac{n_s}{60}T$$
これから、\(T\)は次式のようになる。
$$T=\frac{60}{2\pi n_s}・3P_o=\frac{60}{2\pi n_s}・\frac{3VE}{x}\fbox{(イ)}$$
以上のことから、\(\displaystyle 0≦\delta≦\frac{\pi}{2}\)の範囲において\(\delta\)が\(\fbox{(ウ)}\)なるに従って\(T\)は\(\fbox{(エ)}\)なり、理論上\(\displaystyle \frac{\pi}{2}\)[rad]のとき\(\fbox{(オ)}\)となる。

 上記の記述中の空白箇所(ア)~(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

\(\small{\begin{array}{cccc} &(ア)&(イ)&(ウ)&(エ)&(オ)\\ \hline(1)&負荷角&\cos\delta&大きく&大きく&最大値\\ \hline(2)&力率角&\cos\delta&大きく&小さく&最小値\\ \hline(3)&力率角&\sin\delta&小さく&小さく&最小値\\ \hline(4)&負荷角&\sin\delta&大きく&大きく&最大値\\ \hline(5)&負荷角&\cos\delta&小さく&小さく&最大値\\ \hline\end{array}}\)

解答と解説はこちら

解答

(4)が正しい

解説

 上図の三相同期電動機の1相分の誘導起電力\(E\)[V]、電圧\(V\)[V]、電流\(I\)[A]、\(V\)と\(I\)の位相差を\(\theta\)[rad]としたときの1相分の入力\(P_i\)[W]は次式で表される。
\(P_i=VI\cos\theta\)
 また、\(E\)と\(V\)の位相差を\(\delta\)[rad]とすると、1相分の出力\(P_o\)[W]は次式で表される。\(E\)と\(V\)の位相差\(\delta\)は(ア)負荷角といわれる。

\(P_o=EI\cos(\delta-\theta)=EI\cos(-\phi)\)
 \(=EI\cos\phi\) ∵通常\(\phi\)は90°より小さい

上図より、\(\displaystyle \cos\phi=\frac{V}{x_sI}\sin\delta\)であるので、

\(\displaystyle P_o=\frac{VE}{x_s}\fbox{(イ)sinδ}\)
 ここで\(x_s\)[Ω]は同期リアクタンスであり、電機子巻線抵抗は無視できるものとする。

 全出力\(P=3P_o\)[W]は、負荷角\(\sin\delta\)に従って、\(\delta=\frac{\pi}{2}=90°\)のとき最大となる。

 この三相同期電動機の全出力を\(P\)[W]、同期速度を\(n_s\)[min-1]とすると、トルク\(T\)[N・m]とPの関係は次式で表される。

\(\displaystyle P=3P_o=2\pi\frac{n_s}{60}T\)
これから、\(T\)は次式のようになる。

\(\displaystyle T=\frac{60}{2\pi n_s}・3P_o=\frac{60}{2\pi n_s}・\frac{3VE}{x_s}\fbox{(イ)sinδ}\)

以上のことから、\(\displaystyle 0≦\delta≦\frac{\pi}{2}\)の範囲において\(\delta\)が(ウ)大きくなるに従って\(T\)は(エ)大きくなり、理論上\(\displaystyle \frac{\pi}{2}\)[rad]のとき(オ)最大値となる。

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