// google adsence用 変電所の学習帳 | 電気主任技術者のいろは

変電所の学習帳

2022年8月31日

変電所

変電所とは、発電所から送電線によって送られてきた電気の電圧・電流を変成したり、電気の集中・配分を行う。その他、電気の質をよくするために電圧・電力の調整や無効電力の配分制御を行う。

 変電所は、用途の面から、送電用変電所、配電用変電所などに分類されるが、東日本と西日本の間の連系に用いられる周波数変換所や北海道と本州の連系に用いられる交直変換所も変電所の一種として分類されることがある。

電力系統における変電所の役割と機能

  1. 主に送電効率向上のための昇圧や需要家が必要とする電圧への降圧を行う。構外から送られる電気を、変圧器やその他の電気機械器具により変成し、変成した電気を構外に送る。
  2. 送電線路で短絡や地絡事故が発生したとき、保護継電器により事故を検出し、遮断器にて事故回線を系統から切り離し、事故の波及を防ぐ系統保護の役割を担う。
  3. 送変電設備の局部的な過負荷運転を避けるため、開閉装置により系統切換を行って電力潮流を調整する。
  4. 無効電力調整のための調相設備を有し、重負荷時には電力用コンデンサを投入し、軽負荷時には分路リアクトルを投入して、電圧をほぼ一定に保持する。
  5. 負荷変化に伴う供給電圧の変化時に、負荷時タップ切換変圧器等により電圧を調整する。

開閉設備

断路器

(1)断路器は消弧装置をもたないため、負荷電流の遮断を行うことはできない。

(2)断路器は機器の点検や修理の際、回路を切り離すのに使用する。断路器で回路を開く前に、まず遮断器で故障電流や負荷電流を切る必要がある。

(3)断路器を誤って開くと、接触子間にアークが発生し、焼損や短絡事故を生じることがある。

(4)断路器は種類のいかんによらず、負荷電流の遮断を行ってはならない。

(5)断路器の誤操作防止のため、一般にインタロック装置が設けられている。

 断路器は、発変電所内の回路の保守作業を行う際に安全のために作業箇所を電圧のある回路から切り離すことなどに用いられる。一般的に断路器は、単に電圧が加わっている回路で電流が流れていないときに開閉できるが、変圧器の励磁電流や送電線の充電電流、複母線の場合において甲母線から乙母線に運転を切り替えるときに流れるループ電流などの開閉ならば行うことができる。

遮断器

遮断器は、送電線路の運転・停止、故障電流の遮断などに用いられる。

直流電流には電流零点がないため、交流電流に比べ電流の遮断が困難である。

 遮断器は、平常時は電力の送電及び停止の際に負荷電流を開閉するために用いられており、送配電線や発変電所内の機器に短絡・地絡が発生した際は故障電流を遮断するために用いられる。

ガス遮断器

遮断器では一般的に、電流遮断時にアークが発生する。ガス遮断器では圧縮ガスを吹き付けることで、アークを早く消弧することができる。電圧が高い系統では、真空遮断器に比べてガス遮断器が広く使われている。

六ふっ化硫黄(SF6)ガス

  1. アークの消弧能力は、空気よりも優れている。
  2. 無色、無臭、無毒、腐食性・爆発性・可燃性がなく、化学的に安定しており不活性である。
  3. 地球温暖化に及ぼす影響は、同じ質量の二酸化炭素と比較してはるかに大きい。温室効果ガスであるため、使用量の削減や、保守や廃棄の際、回収することが求められている。
  4. ガス遮断器やガス絶縁変圧器の絶縁媒体として利用される。
  5. 絶縁破壊電圧は、同じ圧力の空気と比較すると高い。大気圧以上のSF6ガスが充填される。(0.3~0.6MPa)

真空遮断器

真空遮断器の開閉電極は、真空バルブ内に密閉され、電極を開閉する操作機構、可動電極が動作しても真空を保つベローズ、回路と接続する導体などで構成されている。
電路を開放した際に発生するアーク生成物は、真空中に拡散するが、その後、絶縁筒内部に付着することで、その濃度が下がる。
真空遮断器は、空気遮断器と比べると動作時の騒音が小さく、機器は小形軽量である。また、真空遮断器はガス遮断器と比べると電圧が低い系統に広く使われている。

ガス絶縁開閉装置(GIS)

ガス絶縁開閉装置(GIS)は、遮断器、断路器、避雷器、変流器等の機器を絶縁性の高いガスが充填された金属容器に収めた開閉装置である。この絶縁ガスとしては、SF6ガスが現在広く用いられている。機器の充電部を密閉した金属容器は接地されるため感電の危険性がほとんどない。また、気中絶縁の設備に比べて装置が小形化する。このようなことから、変電所の体積と面積を大幅に縮小でき、大都市の地下変電所や塩害対策の開閉装置として適している。

保護リレー

保護リレーは電力系統に事故が発生したとき、事故を検出し、事故の位置や種類を識別して、事故箇所を系統から直ちに切り離す指令を出して遮断器を動作させる制御装置である。

過電流継電器

高圧配電線路に短絡事故が発生した場合、配電用変電所に設けた過電流リレーで事故を検出し、遮断器に切り離し指令を出し事故電流を遮断する。

比率差動継電器

変圧器の保護に最も一般的に適用される電気式リレーは、変圧器の一次側と二次側の電流の差から異常を検出する差動リレーである。

 主要変圧器の保護には比率差動リレーが用いられる。比率差動リレーは変圧器内部事故を検出するもので、巻線間短絡事故などの事故電流が負荷電流よりも小さい事故でも検出することが可能である。なお、励磁突入電流による誤動作を防止するため、励磁突入電流に第二調波成分が多く含有することを利用した誤動作防止機能が付加される。

電流差動式母線保護リレー

 母線の保護には電流差動方式による母線保護リレーが用いられ、外部事故時に交流器が磁気飽和しても誤動作しない高インピーダンス形差動方式による一括保護、又は一括保護と母線切替え時の交流器切替えが容易な低インピーダンス形差動方式による分割保護の組み合わせが適用される。なお、近年のディジタルリレーでは、交流器磁気飽和対策を施し一括保護にも低インピーダンス形差動方式を用いる事が多くなっている。

後備保護

後備保護は、主保護負動作や遮断器不良など、何らかの原因で事故が継続する場合に備え、最終的に事故除去する補完保護である。

保護協調

高圧需要家に構内事故が発生した場合、配電用変電所の保護リレーよりも先に同需要家の保護リレーが動作して遮断器に切り離し指令を出すことで、確実に事故を除去する。

計器用変成器

計器用変成器は、\(\fbox{計器用変圧器}\)と変流器とに分けられ、高電圧あるいは大電流の回路から計器や\(\fbox{保護継電器}\)に必要な適切な電圧や電流を取り出すために設置される。

計器用変成器において、変流器の二次端子は、常に低インピーダンス負荷を接続しておかなければならない。特に、一次電流(負荷電流)がながれている状態では、絶対に二次回路を開路してはならない。これを誤ると、二次側に大きな電圧が発生し鉄損が過大となり、変流器を焼損する恐れがある。また、一次端子のある変流器は、その端子を被測定線路に直列に接続する。

地絡方向継電器

 一般に、多回線配電線路では地絡保護に地絡方向継電器が用いられる。これは、故障時に故障線路と健全線路における地絡電流が逆位相となることを利用し、故障回線を選択するためである。

調相設備

調相設備は、電圧の調整と送電系統の安定度向上、送電線路の力率改善による電力損失の軽減を目的として設置される。

これらの調相設備は送電回路に並列に接続され、変圧器の三次側や母線に設置される。

静止器

分路リアクトルや電力用コンデンサは専用の開閉器により開閉するが、その開閉する頻度を変圧器用の開閉器と比べると多頻度である。

電力用コンデンサ

電力用コンデンサは相分の無効電力を供給し、相分の無効電力を消費するために使用される。その構造はアルミニウムはく電極と誘電体を交互に重ねたものである。

電力用コンデンサには、コンデンサによる電圧電流波形ひずみ軽減、過大高調波電流の流入防止、コンデンサ投入時の過渡電流の制限、コンデンサ開放時の再点弧防止などの目的で、直列リアクトルが設けられる。

分路リアクトル

分路リアクトルは相分の無効電力を供給し、相分の無効電力を消費するために使用される。その構造には変圧器と同様に鉄心とコイルからなるものと、空心のものがある。

静止形無効電力補償装置(SVC)

系統の微小な電圧変動対策や系統の安定度向上対策で高度な制御が要求されるときにサイリスタを使用したSVCが採用される。

回転機

同期調相機

同期調相機は、同期電動機を負荷で運転し、界磁電流を調整して電機子電流を相にも相にもすることができる。

変電所の絶縁設計

変電所の絶縁設計において、支配的な要素となるのが雷サージである。それらについての対策を行う必要がある。

変電所内への直撃雷の防止対策

変電所の変圧器や開閉器などの電力機器を雷の直撃に耐えるように絶縁することは極めて困難であるため、架空地線と避雷鉄塔による変電所内の遮へいと接地を施して、直撃雷の発生を防止する。

送電線からの侵入雷によるサージ低減対策

送電線からの侵入雷は、送電線への直撃雷、鉄塔フラッシオーバ、誘導雷によるものがある。いずれの場合も避雷器を変圧器付近、母線、線路引き込み口、あるいはそれらを組み合わせて接地して、雷サージの低減を行うことにより、保護する機器の絶縁レベルとの協調を行う。

低圧制御回路におけるケーブル施設時でのサージ低減対策

金属シース付き低圧制御ケーブルを採用しシースを接地する。低圧制御ケーブルを高電圧ケーブルから離すなどを行う。

無効電力の「供給・消費」の表現について

電力用コンデンサを例にとると、系統電源側からみると、電力用コンデンサには電圧に対して90°進み電流が流れ、「進みの無効電力が消費」されていることは理解しやすい。

このとき、同様に「遅れの無効電力を供給」していると表現されるのが、どういう意味であるかは理解しづらい。電力用コンデンサを無効電力の供給源としてみた場合を考えてみる。

一般に、電力用コンデンサが接続される場合は、負荷は遅れ力率(遅れの無効電力を消費している)である。電源側からみて、遅れ力率負荷に、電力用コンデンサを接続したことにより、力率が1となったとする。このとき、電源側は無効電力を供給しておらず、有効電力のみを供給している(とみなすことができる)。すると、電力用コンデンサは、負荷に対して遅れ無効電流を供給している(とみなせる)。

パーセントインピーダンス

 電力系統では定格の異なる多くの機器や線路が接続されている。単位法では、これらの機器などの定数が統一的に記述されるので、取り扱いが容易となる。三相回路の場合には、線間電圧\(V_B\)[V]と三相容量\(P_B\)[V・A]を基準にとると、基準相電流\(I_B\)[A]と基準インピーダンス\(Z_B\)[Ω]は次式となり、インピーダンスZ[Ω]の単位法での値\(Z_{Bpu}\)[p.u.]は①式のように表される。
 \(I_B=\)\(\displaystyle\frac{P_B}{\sqrt3V_B}\)[A] \(Z_B=\)\(\displaystyle\frac{V_B^2}{P_B}\)[Ω] 

 \(\displaystyle Z_{Bpu}=\frac{Z}{Z_B}\)[p.u.] ……①

 多くの電力機器の単位法でのインピーダンスは、機器の定格電圧と定格容量を基準として与えられる。この基準でのインピーダンスは、発電機や変圧器では定格容量や定格電圧によらずほぼ一定値となるので、定数の入力間違いなどの確認に便利である。たとえば、タービン発電機では、直軸過渡リアクタンスはほぼ0.2~0.4p.u.の間になる。
また、変圧器で接続された系統では、2次側のオーム値で表現されたインピーダンス\(Z_2\)[Ω]を、1次側に換算したインピーダンス\(Z_{2(1)}\)[Ω]にするには、変圧比(1次側\(n_1\)、2次側\(n_2\))に応じた換算が②式のように必要である。
 \(Z_{2(1)}=\)\(\displaystyle\left(\frac{n_1}{n_2}\right)^2\)\(Z_{2}\)[Ω] ……②
一方、単位法では、一般に基準電圧として定格電圧が選ばれるので、基準容量が同じであればインピーダンス換算は必要ではない。ただし、異なった容量を基準とした単位法では、容量に応じた換算が必要であり、容量\(P_B\)[V・A]を基準とした単位法でのインピーダンス\(Z_{Bpu}\)[p.u.]は、容量\(P_{R}\)[V・A]を基準とした単位法でのインピーダンス\(Z_{Rpu}\)[p.u.]を用いて③式により求められる
 \(Z_{Bpu}=\)\(\displaystyle\frac{P_B}{P_R}\)\(Z_{Rpu}\)[p.u.] ……③

変圧器の並行運転

 変電所の負荷の増大などに対応するため、複数台の変圧器を並行運転することが必要となる。変圧器の並行運転に必要な条件は、各変圧器が容量に比例した電流を分担し(条件①)、変圧器間の循環電流が実用上問題ないレベルとなる(条件②)ことである。
 条件①を満足するためには、各変圧器の自己容量ベースの短絡インピーダンスが等しくなければならない。各変圧器を流れる電流の分担率は短絡インピーダンスに反比例する。
条件②を満足するためには、変圧比の差が小さいことが必要である。変圧比はタップにより変化するため、定格タップ以外の値についても確認する必要がある。また、結線(星形結線、三角結線など)により二次側電圧に
位相の差が生じるため、これによる循環電流が生じないような結線・接続とする必要がある。

変電所母線の結線方式

単母線方式

所要機器及びスペースが少なくすみ、経済的に有利となる一方で、母線事故があった場合に当該母線が停止となり、また、母線側断路器等の点検のために、全停電となる場合があるなど、供給信頼性は低い。

複母線方式

母線切換のための断路器、鉄構等の設備が増え、所要面積が増加する一方で、機器点検や系統運用が容易となり、母線事故が発生しても、接続されている送電線や変圧器を他の母線に直ちに変更することができるなど、供給信頼性が高い。