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調相設備

2024年2月13日

調相設備は、電圧の調整と送電系統の安定度向上、送電線路の力率改善による電力損失の軽減を目的として設置される。

 送電線路において送電端電圧と受電端電圧が一定であるとすると、負荷の力率が変化すれば受電端電力が変化する。このため、負荷が変動しても力率を調整することによって受電端電圧を一定に保つことができる。

 送電線路での有効電力の損失は電圧に反比例するため、電圧調整により電圧を高めに運用することが損失を減らすために有効である。

これらの調相設備は送電回路に並列に接続され、変圧器の三次側や母線に設置される。

静止器

分路リアクトルや電力用コンデンサは専用の開閉器により開閉するが、その開閉する頻度を変圧器用の開閉器と比べると多頻度である。

電力用コンデンサ

 線路リアクタンスが大きい送電線路では、受電端において進相コンデンサを負荷に並列することで、受電端での進み無効電流を増加させ、受電端電圧を上げることができる。

 電力用コンデンサは遅相分の無効電力を供給し、進相分の無効電力を消費するために使用される。その構造はアルミニウムはく電極と誘電体を交互に重ねたものである。

 電力用コンデンサには、コンデンサによる電圧電流波形ひずみ軽減、過大高調波電流の流入防止、コンデンサ投入時の過渡電流の制限、コンデンサ開放時の再点弧防止などの目的で、直列リアクトルが設けられる。

電力用コンデンサの特徴や保守性

  • シンプルな静止機器で、高調波や突入電流を抑制するために直列リアクトルを接続することがある。
  • 開閉器の開閉操作によって遅れ無効電力を発生(進み無効電力を補償)・停止する。
  • 開閉器の開閉操作により調整するため、電圧や無効電力の変化が段階的となり、きめ細やかな電圧調整や安定度の向上への期待はあまりできず、開閉器操作により系統に急激な変化が生じないよう1台当たりの容量選定に配慮が必要である。
  • シンプルな構造であり、同期調相機やSVCよりも電力損失が小さい。
  • 静止機器であるため保守が容易。

分路リアクトル

分路リアクトルは進相分の無効電力を供給し、遅相分の無効電力を消費するために使用される。その構造には変圧器と同様に鉄心とコイルからなるものと、空心のものがある。

静止形無効電力補償装置(SVC)

 進相コンデンサは無効電力を段階的にしか調整できないが、静止型無効電力補償装置は無効電力の連続的な調整が可能である。

 系統の微小な電圧変動対策や系統の安定度向上対策で高度な制御が要求されるときにサイリスタを使用したSVCが採用される。

静止型無効電力補償装置(SVC)の特徴や保守性

  • リアクトル、電力用コンデンサ、これらを制御するサイリスタで構成する装置。
  • サイリスタの点弧角位相を制御することによりリアクトルや電力用コンデンサの通過電流を連続的に変化させ、無効電力を発生・吸収(進み・遅れ双方を補償)する装置であり、電圧調整の即応性に優れる。
  • リアクトルや電力用コンデンサ電流の大きさを変化させることにより連続的に調整できるため、系統の電圧特性や安定度を向上させる効果がある。
     なお、電力用コンデンサの開閉を行う方式(TSC)では、リアクトル電流の位相制御を行う方式(TCR)と組み合わせることで連続的な調整が可能である。
  • リアクトル、電力用コンデンサ、サイリスタなど複数機器から構成されるため、電力損失は電力用コンデンサよりも大きいが、同期調相機よりも小さい。
  • 静止機器ではあるが、サイリスタ冷却用の装置もあり、保守は電力用コンデンサほど容易ではない。

回転機

 

 電力系統の電圧調整には調相設備と共に、発電機の励磁調整による電圧調整が有効である。

同期調相機

 同期調相機は、同期電動機を無負荷で運転し、界磁電流を調整して電機子電流を遅相にも進相にもすることができる。

同期調相機の特徴や保守性

  • 無負荷状態で運転する同期電動機。
  • 界磁電流の調整により無効電力を発生・吸収(進み・遅れ双方を補償)する装置であり、電圧調整の即応性に優れる。
  • 調整が連続的で、回転子の慣性質量により系統の電圧特性や安定度を向上させる効果がある。
  • 回転機固有の軸受・ブラシの摩擦損や風損、励磁回路損などの影響により、電力用コンデンサやSVCに比べて電力損失が大きい。
  • 回転機であることから、可動部分や補機類があり、電力用コンデンサやSVCに比べて保守に時間と労力が多くかかる。

無効電力の「供給・消費」の表現について

 電力用コンデンサを例にとると、系統電源側からみると、電力用コンデンサには電圧に対して90°進み電流が流れ、「進みの無効電力が消費」されていることは理解しやすい。

 このとき、同様に「遅れの無効電力を供給」していると表現されるのが、どういう意味であるかは理解しづらい。電力用コンデンサを無効電力の供給源としてみた場合を考えてみる。

 一般に、電力用コンデンサが接続される場合は、負荷は遅れ力率(遅れの無効電力を消費している)である。電源側からみて、遅れ力率負荷に、電力用コンデンサを接続したことにより、力率が1となったとする。このとき、電源側は無効電力を供給しておらず、有効電力のみを供給している(とみなすことができる)。すると、電力用コンデンサは、負荷に対して遅れ無効電流を供給している(とみなせる)。