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保護リレーと計器用変成器

2024年2月2日

保護リレー

保護リレーは電力系統に事故が発生したとき、事故を検出し、事故の位置や種類を識別して、事故箇所を系統から直ちに切り離す指令を出して遮断器を動作させる制御装置である。

保護リレーの種類

過電流継電器

高圧配電線路に短絡事故が発生した場合、配電用変電所に設けた過電流リレーで事故を検出し、遮断器に切り離し指令を出し事故電流を遮断する。

比率差動継電器

変圧器の保護に最も一般的に適用される電気式リレーは、変圧器の一次側と二次側の電流の差から異常を検出する差動リレーである。

 主要変圧器の保護には比率差動リレーが用いられる。比率差動リレーは変圧器内部事故を検出するもので、巻線間短絡事故などの事故電流が負荷電流よりも小さい事故でも検出することが可能である。なお、励磁突入電流による誤動作を防止するため、励磁突入電流に第二調波成分が多く含有することを利用した誤動作防止機能が付加される。

電流差動式母線保護リレー

 母線の保護には電流差動方式による母線保護リレーが用いられ、外部事故時に交流器が磁気飽和しても誤動作しない高インピーダンス形差動方式による一括保護、又は一括保護と母線切替え時の交流器切替えが容易な低インピーダンス形差動方式による分割保護の組み合わせが適用される。なお、近年のディジタルリレーでは、交流器磁気飽和対策を施し一括保護にも低インピーダンス形差動方式を用いる事が多くなっている。

地絡方向継電器

 一般に、多回線配電線路では地絡保護に地絡方向継電器が用いられる。これは、故障時に故障線路と健全線路における地絡電流が逆位相となることを利用し、故障回線を選択するためである。

後備保護

後備保護は、主保護負動作や遮断器不良など、何らかの原因で事故が継続する場合に備え、最終的に事故除去する補完保護である。

保護リレーの誤動作防止策

  1.  送電線保護に用いられる電流差動リレーが、外部事故時の大電流により誤動作するおそれがある理由と、その防止策。
    • 送電線の外部事故発生時において、故障電流が大電流になると、CTにも大きな電流が流れるため比例分誤差が大きくなる。特にCTの鉄心飽和に伴い電流値の誤差が大きくなると、端子間に不要な差電流が生じて電流差動リレーが誤動作するおそれがある。対策として、電流差動リレーの比率特性を小電流域特性と大電流域特性の二つの要素から構成し、大電流域において誤差が大きくなったときに動作感度を低下させることにより、誤動作を防止する。
  2.  変圧器保護に用いられる比率差動リレーが、変圧器の励磁突入電流により誤動作するおそれがある理由と、その防止策。
    • 変圧器を停止したときに変圧器鉄心に残留磁束が残った状態で、次に変圧器を充電すると、系統電圧の位相によっては大きな励磁突入電流が発生するため差動回路に大きな差電流が発生し、比率差動リレーが誤動作するおそれがある。対策として、励磁突入電流には第二高調波が多く含まれることから、これを検出した場合は差動リレーの抑制量を増やしたり、リレーを短時間ロックすることにより、誤動作を防止する。
  3.  母線保護に用いられる電流差動リレーが、外部至近端事故により誤動作するおそれがある理由と、その防止策。
    • 母線の外部至近端の回線で事故が発生した場合、事故回線のCT一次側に大きな故障電流が流れる。この際、交流電流に過渡直流分が重畳するためCT鉄心に磁気飽和が発生し誤差が生じる。一方、事故回線以外の変流器は飽和せず誤差も生じないため、母線保護リレーが不要な差電流を検出し誤動作するおそれがある。対策として、事故回線のCTの非飽和期間に差電流の無変化を検出した場合は外部事故と判定して、リレーを短時間ロックすることにより、誤動作を防止する。

計器用変成器

計器用変成器は、計器用変圧器と変流器とに分けられ、高電圧あるいは大電流の回路から計器や保護継電器に必要な適切な電圧や電流を取り出すために設置される。

計器用変成器において、変流器の二次端子は、常に低インピーダンス負荷を接続しておかなければならない。特に、一次電流(負荷電流)がながれている状態では、絶対に二次回路を開路してはならない。これを誤ると、二次側に大きな電圧が発生し鉄損が過大となり、変流器を焼損する恐れがある。また、一次端子のある変流器は、その端子を被測定線路に直列に接続する。

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