発電機一般の学習帳

2021年4月8日

発電機の冷却方式

水素冷却方式

水素ガスは、空気に比べ比熱が大きいため(約14倍)冷却効率が高く、また、空気に比べ比重が小さい(1/14で約7%)ため風損が小さい(空気の10%程度)。
水素ガスは、不活性であるため、絶縁物への劣化影響が少ない。水素ガス圧力を高めると大気圧の空気よりコロナ放電が生じ難くなる。
水素ガスと空気を混合した場合は、水素ガス濃度が一定範囲内になると爆発の危険性があるので、これを防ぐため自動的に水素ガスを濃度を90%以上に維持している(濃度が85%以下で警報を出すことになっている)。
通常運転中は、発電機内の水素ガスが軸に沿って機外に漏れないように軸受けの内側に油膜
によるシール機能を備えており、機内からの水素ガスの漏れを防いでいる。

  • 水素は空気に比べ比重が小さいため、風損を減少することができる。
  • 水素を封入し全閉形となるため、運転中の騒音が少なくなる。
  • 水素は空気より発電機に使われている絶縁物に対して化学反応を起こしにくいため、絶縁物の劣化が減少する。
  • 水素は空気に比べ比熱が大きいため、冷却効果が向上する。
  • 水素の漏れを防ぐため、密封油装置を設けている。
過去問題:
電験3種過去問【2018年電力 問1】(発電機の水素冷却方式)
電験3種過去問【2009年電力 問2】(発電機の水素冷却方式)

密封油装置

過去問題:電験2種過去問【2020年電力 問1】(連続掃気式について)

発電機内の水素ガスが軸に沿って機外に漏れるのを防止する装置。水素冷却発電機は、水素ガスが空気と混じると広い混合比の範囲内で爆発するので、厳重な気密構造とする必要がある。最も外気と接触しやすい部分は軸受部分で、この部分にはオイルシールを施し、水素ガスが軸に沿って機外に漏れるのを防止するとともに空気の侵入を防止するため、油膜による密封装置を備えている。密封油はできるだけ機内ガス純度を下げないように制御する必要があり、常に機内ガス圧より0.05MPa高く保っている。

密封油の処理方法には真空処理式、複流式、連続掃気式がある。

  • 真空処理(単流)式
    真空処理をした油を密封部に送り込む方式で、真空タンク内を高真空に保ち、密封油内部に溶解した空気、水蒸気その他不純ガスの大部分を抽出する。発電機内の水素ガスは、油中に溶け込んで消費され、圧力が低下するので、水素を補給して適正値を保つ。

    真空処理式(単流式)
  • 複流式
    軸封油を介して機内に侵入する空気量を少なくするため、軸封部に行く密封油の回路を空気側と水素側とに分け、密封部で互いに混ざり合うことが少ないようにしたもので、機内へ空気を放出することはなくなり、真空処理装置が省略できる。
    しかし、空気側と水素側の密封油が完全に混ざり合わないように圧力調整を精密に行うことは困難であるので、真空処理式を併用した下図のようなシステムが実用化されている。

    真空処理式(複流式)
  • 連続掃気式
    真空処理しない油を密封部に供給する方式である。密封部と発電機本体間に隔室を設け、未処理油を介し侵入してくる純度の低いガスをこの隔室から一定の割合で機外に放出し、密封油中の空気、水分などが機内に入るのを防止する。機内ガスが圧が下がった分だけ水素を補給する。水素の補給量は僅かで済むため、真空処理式よりもシステムが簡素化でき、小容量機器で採用される。

    連続掃気式(単流式)