解答
(1)直列コンデンサ
線路に直列コンデンサを挿入して、送電線などのリアクタンスを補償し、全体のリアクタンスを小さくすることにより、減速エネルギーを増加させて、過渡安定度を向上させる。
留意点は、発電機・タービン系との軸ねじれ共振(SSR)、無負荷変圧器励磁時の鉄共振、故障電流によるコンデンサ端子電圧での異常電圧の発生などがある。(留意点は系統構成などによりこれ以外も考えられるが、代表的な留意点として挙げている。以下の各項でも同じ。)
(2)励磁方式の応答性と発電機のシーリング電圧の改善
発電機励磁方式を速応化し、かつ、シーリング電圧(頂上電圧)を高電圧化することにより、発電機内部電圧を上昇させることにより、減速エネルギーを増加させて過渡安定度を向上させる。
留意点は、速応化により振動発散現象(負制動現象)が生じやすくなるので、一般にはPSS(電力系統安定化装置)が付加されること、発電機の界磁巻線の絶縁である。
(3)高速遮断と高速再閉路方式
高速な保護リレーによる事故判定と高速な遮断器動作によって事故除去時間を短縮し事故中の加速エネルギーを減少させ、また、高速な再閉路により減速エネルギーを増加させて、過渡安定度を向上させる。
留意点は、高速再閉路に適した動作責務を持った遮断器にすること、発電機ータービン軸間の過大な軸トルクの発生と、消アークイオン時間を考慮した再閉路時間の設定である。
(4)タービン高速バルブ制御
事故を検出して、高速に蒸気弁を閉鎖し、タービン出力を減じることにより、主に事故除去後の減速エネルギーを増加させて、過渡安定度を向上させる。蒸気弁としては、通常はインターセプト弁のみの制御であるが、加減弁を制御することもある。
留意点は、蒸気弁の閉鎖により蒸気圧力が上昇しすぎないこと、タービン出力の急変に対しPSSが正常に動作することを確認することである。
(5)低インダクタンス送電線
送電線を複導体化し、主に複導体の等価半径を大きくして、送電線のリアクタンスを減少させ、主に減速エネルギーを増加させて、過渡安定度を向上させる。
複導体化に伴う留意点は、電気的には静電容量の増加、機械的には荷重の増加、ギャロッピングやサブスパン振動および複導体の稔回(ねじれ)などへの対処である。
解説
なし
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