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電験1種過去問【2010年電力管理 問1】

2024年10月19日

【発電機一般】同期発電機の自己励磁現象《論説問題》

 同期発電機の事故励磁現象について、次の問に答えよ。

  1. 自己励磁現象はどのような場合に発生する現象か、説明せよ。
  2. 自己励磁現象によって発生する発電機端子電圧について、発電機の無負荷飽和曲線を用いて説明せよ。
  3. 系統側の条件が同じ場合に、大容量の水力発電機、小容量の水力発電機、大容量の火力発電機、小容量の火力発電機のうちどれが最も自己励磁現象を起こしにくいか、その理由を付して答えよ。
  4. 上記 3. に示した発電機の選択以外に、自己励磁現象を防止するための対策を二つ挙げよ。
解答と解説はこちら

解答

公式標準解答

1.自己励磁現象はどのような場合に発生する現象か、説明せよ。
 回転している同期発電機に、無励磁のままで容量性負荷を接続した場合に発生する現象をいう。

2.自己励磁現象によって発生する発電機端子電圧について、発電機の無負荷飽和曲線を用いて説明せよ。
 残留磁気による電圧が進み電流を生じさせ、この電流がさらに端子電圧を高めて進み電流を増加させ、端子電圧はある極限値に達して安定する。
 容量性負荷の静電容量を C とすれば負荷側から決まる電圧 v と電流 i の関係は i= (2πfC)・v であり、図に示すように直線(M₁:静電容量小、M₂:静電容量大)となり、最終的には無負荷飽和特性Nと直線M₁:あるいはM₂の交点m₁(電圧v₁)あるいはm₂(電圧v₂)に到達し安定する。

3.系統側の条件が同じ場合に、大容量の水力発電機、小容量の水力発電機、大容量の火力発電機、小容量の火力発電機のうちどれが最も自己励磁現象を起こしにくいか、その理由を付して答えよ。
 大容量の水力発電機である。
<理由>
 発電機が自己励磁現象を起こすことなく送電線を充電できる最大充電容量Qは次式より求められる。
\(\displaystyle Q=\frac{v^2}{x_d}\)
 ここで、v:充電電圧、xd:同期リアクタンス(不飽和値)
 水力発電機の自己容量ベースの同期リアクタンスは火力発電機に比べて小さく、また、容量が大きいほど系統からみた同期リアクタンスが小さくなる。そのため最大充電容量が大きくなり最も自己励磁現象を起こしにくい。

4.上記 3. に示した発電機の選択以外に、自己励磁現象を防止するための対策を二つ挙げよ。
➀受電端に並列リアクトルを接続する。
 送電線路の静電容量を補償し、進み電流による自己励磁を減少できる。
➁発電機を複数台、母線に接続する。
 各発電機は容量と短絡比との積に比例して充電電流を分担するので安全に充電できる。(ただし、この場合、界磁電流が小さいため同期化力が小さく並列運転に困難を伴う場合もある。)

解説

 発電機の自己励磁現象に関する問題です。類題も多く、一種としては難しくないとおもいますが、無負荷飽和曲線を用いて定量的に説明することができれば、どのような出題形式にも対応可能になると思います。

難易度2(★★☆☆☆)


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