解答
公式標準解答
タービン発電機に逆相電流が流れた場合、回転子に発生する現象とその影響並びに対策について述べよ。
また、タービン発電機に要求される逆相電流の制限値がどのように設定されているかを述べよ。
(現象)
タービン発電機に流れる逆相電流は、発電機内部に回転子と逆方向に回転する磁界を作り、これが界磁巻線に鎖交すると回転子に2倍周波数の電圧が誘起される。このため回転子には同周波数の渦電流(制動電流)が発生する。この電流は、表皮効果により主に回転子のくさびと保持環の間を流れる。
くさびと保持環の接触部などは接触抵抗が大きいため、この部分を通る渦電流によって過熱される。
(影響)
この結果、
・くさびがなまされてせん断破壊を起こす。
・保持環が熱膨張し、焼きばめ部分があまくなってアークが発生し、材料を損傷する。
などの影響を与える。
(対策)
そこで、
・回転子に制動巻線を設け、制動分電流を流す。
・くさびに特殊耐熱材を用いる。
・発電機に逆相電流リレーを設け、警報の発報や発電機の停止を行う。
などの対策が採られる。
(制限値の設定)
タービン発電機に要求される逆相電流の制限値は、JEC(2130-2000)において次のように規定されている。
・連続運転に対しては、定格電流に対する一定の比率
・故障状態での短時間運転に対しては、上記比率の二乗と時間の積
また、これらの制限値は、回転子の冷却方式や発電機容量により、以下のような傾向で定められている。
・間接冷却方式より直接冷却方式の方が小さい。
・直接冷却方式の場合、発電機容量の大きい方が小さくなる。
・短時間運転においては、空冷式より水素冷却式の方が小さい。
解説
発電機に逆相電流が流れた場合に関する問題です。類題も多く、一種受験者であれば、解答できる内容です。ただし、逆相電流の制限値の設定に関しては、知識の有無を問われるところだと思います。
難易度3(★★★☆☆)
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