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変圧器の学習帳

2024年5月19日

目次

  1. 変圧器の構造
  2. 変圧器の損失
  3. 変圧器の効率
  4. 変圧器の等価回路
  5. 無負荷試験と短絡試験

変圧器

変圧器の原理

変圧器の構造

変圧器の巻線

 変圧器の巻線には軟銅線が用いられる。巻線の方法としては、鉄心に絶縁を施し、その上に巻線を直接巻きつける方法、円筒巻線や板状巻線としてこれを鉄心にはめ込む方法などがある。コイルの電気抵抗に電流が作用して発生する銅損は、コイルに電流が流れやすいように導体の断面積を大きくして低減する。

変圧器の鉄心

 変圧器の鉄心には、飽和磁束密度と比透磁率が大きい電磁鋼板が用いられる。この鋼板は、磁束が作用して鉄心の電気抵抗に発生する渦電流損を低減するためケイ素が数%含有され、抵抗率を高めている。さらに、渦電流損を低減するために、表面が絶縁被膜で覆われた薄板を積層する。ヒステリシス損は、ヒステリシスループの面積分の損失であり、電磁鋼板固有の性質で決まる。

 無負荷の変圧器の一次巻線に正弦波交流電圧を加えると、鉄心には磁気飽和現象やヒステリシス現象が生じるので電流は非正弦波電流となる。この電流を励磁電流といい、第3次をはじめとする多くの次数の高調波を含む。変圧器の励磁電流のうち、一次電圧と同相成分を鉄損電流、\(\displaystyle \frac{\pi}{2}\)[rad]遅れた成分を磁化電流という。

変圧器の冷却方式

 変圧器の冷却方式には用いる冷媒によって、絶縁油を使用する油入式と空気を使用する乾式、さらにガス冷却式などがある。

油入変圧器の構造

 変圧器油は、変圧器本体を浸し、巻線の絶縁耐力を高めるとともに、冷却によって本体の温度上昇を防ぐために用いられる。また、化学的に安定で、引火点が高く、流動性に富み比熱が大きくて冷却効果が大きいなどの性質を備えることが必要となる。

 大型の油入変圧器では、負荷変動に伴い油の温度が変動し、油が膨張・収縮を繰り返すため、外気が変圧器内部に出入りを繰り返す。これを変圧器の呼吸作用といい、油の劣化の原因となる。この劣化を防止するため、本体の外にコンサベータやブリーザを設ける。

変圧器の損失

 変圧器の全損失は無負荷損と負荷損の和で表される。無負荷損は変圧器の二次側を開放し、一次側に定格周波数、定格電圧を加えた無負荷試験において、一次側への入力電力を測定することにより得られる。

 無負荷損は鉄損であると考えられる。鉄損\(P_i\)は磁界の交番により生じる損失であり、主にヒステリシス損と渦電流損がある。磁束密度が同一のとき、周波数にほぼ比例するヒステリシス損\(P_h\)と周波数の2乗にほぼ比例する渦電流損\(P_e\)とに分類される。

 電源の周波数をf、鉄心に用いる電磁鋼板の厚さをtとすると、ヒステリシス損はfに比例し、渦電流損は(f×t)の2乗に比例する。ただし、鉄心の磁束密度を一定とする。

\(P_i=P_h+Pe\)

\(P_h=k_hfB_m^2\)
\(P_e=k_ef^2B_m^2\)

無負荷損の主なものは鉄損\(P_i\)で、電圧と周波数が一定であれば負荷に関係なく\(P_i\)[W]は一定である。

 一方、負荷損は、二次側を短絡し、一次側に定格周波数の定格電流を流した短絡試験において、一次側への入力電力を測定することにより得られる。負荷損を測定したときの電圧はインピーダンス損とも呼ぶ。

 一次側巻線抵抗値と二次側(一次側換算値)巻線抵抗値の合計を\(r=r_1+r_2’\)とすると、銅損(負荷損)\(P_c\)[W]は以下となる。
 \(P_c=I_2^2r\)[W]

 負荷損の主なものは銅損で、負荷電流の2乗に比例する。

 変圧器の全損失\(P_L\)[W]は以下で与えられる。
ここで、鉄損(無負荷損)\(P_i\)[W]、銅損(負荷損)\(P_c\)[W]である。

 \(\displaystyle P_L≒P_i+P_c\)[W]

変圧器の効率

 変圧器の効率\(\eta\)は、二次出力\(P_2\)の一次入力\(P_1\)に対する比で表される。一次入力は二次出力と全損失\(P_L\)の和で表されるから、全損失を測定又は算定すれば次式で効率が求められる。これを規約効率という。
\(\displaystyle\eta=\frac{P_2}{P_2+P_L}\times 100\)[%]

変圧器の効率η[%]は、入力P1[W]、二次定格出力P2[W]、鉄損Pi[W]、銅損Pc[W]とすると

\(\displaystyle η=\frac{P_2}{P_1}\times 100=\frac{P_2}{P_2+P_i+P_c}\times 100\) [%]

また、銅損Pc[W]は、出力電圧が一定のままで、負荷を二次定格出力P2[W]のn倍に変化させると、
または、定格二次電流をn倍に変化させると
\(\displaystyle P_{cn}=n^2P_c [W]\)となる。

変圧器の最大効率

 変圧器の損失には主に鉄損\(\displaystyle P_i\)と銅損\(\displaystyle P_c\)があり、両者が等しくなったときに最大効率となる。変圧器の効率は\(\displaystyle P_i=P_c\) のとき、最大となる。

変圧器の等価回路

変圧器の一次側からみた等価回路は下図となる。

 変圧器の等価回路において、励磁回路は励磁コンダクタンスと励磁サセプタンスで構成される。両者を合わせて励磁アドミタンスという。励磁コンダクタンスに流れる電流は一次電圧と同相成分である鉄損電流に対応し、励磁サセプタンスに流れる電流は一次電圧に対して\(\displaystyle \frac{\pi}{2}\)[rad]遅れた成分磁化電流に対応している。

したがって、下図のような理想変圧器は、

一次側に換算すると、下回路と等価であるとみなせ、計算が簡略にできる。

無負荷試験と短絡試験

電圧変動率

\(\displaystyle ε=pcos\theta+qsin\theta\) [%]

力率cosθ=1であれば、\(\displaystyle ε=p\) [%]

ここで、

百分率抵抗降下pは

\(\displaystyle p=\frac{r_{21}I_{2n}}{V_{2n}}\times100\) [%]

百分率リアクタンス降下qは

\(\displaystyle q=\frac{x_{21}I_{2n}}{V_{2n}}\times100\) [%]

ただし、\(\displaystyle V_{2n}\)と\(\displaystyle I_{2n}\)はそれぞれ、定格時の二次端子電圧と定格二次電流である。\(\displaystyle r_{21}\)と\(\displaystyle x_{21}\)はそれぞれ、二次側に換算した抵抗と漏れリアクタンスである。

V結線方式

 単相変圧器3台をΔ-Δ結線として三相給電しているとき、故障等により1台を取り除いて残りの2台で同じ電圧のまま給電する方式をV結線方式という。V結線にすると変圧器の利用率はおよそ0.866倍に減少する。

三相変圧器

三相変圧器巻線の結線方式にはY結線(星形結線)と、Δ結線(三角結線)の2種類がある。Y-Y結線は、変圧器の一次側、二次側とも巻線をY結線とする方法である。この結線の特長としては、中性点接地が採用できるので、巻線の絶縁低減が可能となること、事故検出に十分な地絡電流が流れ保護が容易となることが挙げられる。しかしY-Y結線では、変圧器の励磁電流に含まれる第3次調波による近接通信線への電磁誘導障害などが発生する。
 この第3次調波による障害を解決するために、三巻線変圧器を用いてその結線方式をY-Y-Δ結線とすることにより第3次調波の影響を小さくすることができる。この結線は超高圧の変圧器に広く適用されている。
 中低圧でよく使われるY-Δ結線とΔ-Y結線はΔ結線が励磁電流中の第3次調波成分の還流回路として働き、電流のひずみが小さくなる。
 Δ-Δ結線は、日本では主として77kV以下の変圧器に適用される。この結線方式で独立した単相変圧器3台による場合には、1台の単相変圧器が故障しても健全な2台によるV結線として、最大出力は落ちるものの三相電力の伝達ができる利点がある。欠点としてはΔ-Δ結線では中性点接地が採用できないため、アーク地絡によって異常電圧が発生すること、不平衡負荷の場合に巻線に流れる循環電流が大きくなることなどが挙げれられる。

計器用変成器

 交流の高電圧又は大電流を測定する場合、変圧器を用いて景気の測定範囲に適した電圧や電流に変換することがある。これらの変圧器を計器用変成器といい、電圧測定用のものを計器用変圧器(VT,PT)、電流測定用のものを変流器(CT)という。計器用変成器の二次側負荷は計器や継電器などであり、線路の一般的な負荷と区別するためこれを負担という。
計器用変成器は、等価回路としては普通の電力用変圧器と同じであるが、変圧比及び変流比の精度を良くするためには、高透磁率の鉄心を使用して励磁電流を小さくするとともに、一次及び二次巻線の巻線抵抗と漏れリアクタンスを極力小さくする必要がある。実際の計器用変成器では誤差が含まれるため、公称変圧比又は公称変流比と実際の変圧比又は変流比との差を、実際の変圧比又は変流比で除して百分率で表したものを計器用変成器の比誤差という。

 計器用変成器は、送配電系統等の高電圧・大電流を低電圧・小電流に変成して指示計器にて計測するためなどに用いられる。このうち、計器用変圧器は、変圧比が1より大きく、定格二次電圧は一般に、110V又は\(\displaystyle\frac{110}{\sqrt3}\)Vに統一されている。

 計器用変成器のうち、変流器は、一次巻線の巻数が少なく、1本の導体を鉄心に貫通させた貫通形と呼ばれるものがある。二次側を開放したままで一次電流を流すと一次電流が全て励磁電流となり、二次端子には高電圧が発生するので、電流計を接続するなど短絡状態で使用する必要がある。変流器の使用中に二次側に接続されている機器を切り離す場合には、まず、変流器の二次端子を短絡するなどの過電圧対策をしておかなければならない。

変圧器の並行運転

  1.  各変圧器の極性が一致していないと、大きな循環電流が流れて巻線の焼損を引き起こす。
  2.  各変圧器の変圧比が一致していないと、負荷の有無にかかわらず循環電流が流れて巻線の過熱を引き起こす。
  3.  一次側と二次側との誘導起電力の位相変位(角変位)が各変圧器で等しくないと、その程度によっては、大きな循環電流が流れて巻線の焼損を引き起こす。したがって、 Δ-Y と Y-Y との並行運転や、 Δ-Δ と Δ-Y との並行運転はできない。
  4.  各変圧器の巻線抵抗と漏れリアクタンスとの比が等しくないと、各変圧器の二次側に流れる電流に位相差が生じ取り出せる電力は各変圧器の出力の和より小さくなり、出力に対する銅損の割合が大きくなって利用率が悪くなる。
  5.  各変圧器の百分率インピーダンス降下が等しくないと、各変圧器が定格容量に応じた負荷を分担することができない。

各種変圧器

単巻変圧器

 変圧器の一次巻線と二次巻線とを別々の巻線にしないで、一次巻線と二次巻線の一部を共用して使用する変圧器を単巻変圧器といい、この変圧器の一次、二次に共通した巻線を分路巻線、共通でない部分を直列巻線という。三相結線にして電力系統の電圧変成などに用いられる。
 無負荷時の二次電圧\(V_2\)に対する一次電圧\(V_1\)の比を\(\displaystyle\frac{V_1}{V_2}(V_1>V_2)\)とすると、電圧比が1に近いほど分路巻線に流れる電流が小さくなり、同じ負荷容量の二次巻線変圧器に比べてサイズが小さく、銅損が少なく、さらに電圧変動率が小さいという利点がある。また、単巻変圧器の自己容量は図示した電圧と電流を用いて\((V_1-V_2)I_1\)または\(V_2(I_2-I_1)\)として表せる。

スコット結線変圧器

 スコット結線変圧器は、M変圧器(主座変圧器)、T変圧器(T座変圧器)と呼ばれる単相変圧器2台を用いる。
 M変圧器の中央タップに片端子を接続したT変圧器の途中の端子(M変圧器の中央端子から\(\displaystyle\frac{\sqrt3}{2}=0.866\)の全巻数となる点)とM変圧器の両端の端子を三相電源の一次側入力端子とする。このように接続すると、二次側端子からは同じ大きさで位相差90度の二つの単相電源が得られる。この変圧器は、電気鉄道の給電などに用いられる。