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変圧器の学習帳

2022年12月8日

変圧器

変圧器の原理

変圧器の構造

(1)変圧器の巻線には軟銅線が用いられる。巻線の方法としては、鉄心に絶縁を施し、その上に巻線を直接巻きつける方法、円筒巻線や板状巻線としてこれを鉄心にはめ込む方法などがある。

(2)変圧器の鉄心には、飽和磁束密度と比透磁率が大きい電磁鋼板が用いられる。この鋼板は、渦電流損を低減するためケイ素が数%含有され、抵抗率を高めている。さらに、渦電流損を低減するために、表面が絶縁被膜で覆われた薄板を積層する。ヒステリシス損は、ヒステリシスループの面積分の損失であり、電磁鋼板固有の性質で決まる。

(3)変圧器の冷却方式には用いる冷媒によって、絶縁油を使用する油入式と空気を使用する乾式、さらにガス冷却式などがある。

(4)変圧器油は、変圧器本体を浸し、巻線の絶縁耐力を高めるとともに、冷却によって本体の温度上昇を防ぐために用いられる。また、化学的に安定で、引火点が高く、流動性に富み比熱が大きくて冷却効果が大きいなどの性質を備えることが必要となる。

(5)大型の油入変圧器では、負荷変動に伴い油の温度が変動し、油が膨張・収縮を繰り返すため、外気が変圧器内部に出入りを繰り返す。これを変圧器の呼吸作用といい、油の劣化の原因となる。この劣化を防止するため、本体の外にコンサベータやブリーザを設ける。

変圧器の効率

 変圧器の全損失は無負荷損と負荷損の和で表される。無負荷損は変圧器の二次側を開放し、一次側に定格周波数、定格電圧を加えた無負荷試験において、一次側への入力電力を測定することにより得られる。無負荷損は\(\fbox{鉄損}\)であると考えられる。\(\fbox{鉄損}\)は磁界の交番により生じる損失であり、磁束密度が同一のとき、周波数にほぼ比例する\(\fbox{ヒステリシス損}\)と周波数の2乗にほぼ比例する\(\fbox{渦電流損}\)とに分類される。
一方、負荷損は、二次側を短絡し、一次側に定格周波数の定格電流を流した短絡試験において、一次側への入力電力を測定することにより得られる。負荷損を測定したときの電圧は\(\fbox{インピーダンス損}\)とも呼ぶ。
 変圧器の効率\(\eta\)は、二次出力\(P_2\)の一次入力\(P_1\)に対する比で表される。一次入力は二次出力と全損失\(P_L\)の和で表されるから、全損失を測定又は算定すれば次式で効率が求められる。これを\(\fbox{規約}\)効率という。
\(\displaystyle\eta=\frac{P_2}{P_2+P_L}\times 100\)[%]

変圧器の効率η[%]は、入力P1[W]、二次定格出力P2[W]、鉄損Pi[W]、銅損Pc[W]とすると

\(\displaystyle η=\frac{P_2}{P_1}\times 100=\frac{P_2}{P_2+P_i+P_c}\times 100\) [%]

変圧器の最大効率

変圧器の効率は\(\displaystyle P_i=P_c\) のとき、最大となる。

等価回路

変圧器の一次側からみた等価回路は下図となる。

したがって、下図のような理想変圧器は、

一次側に換算すると、下回路と等価であるとみなせ、計算が簡略にできる。

電圧変動率

\(\displaystyle ε=pcos\theta+qsin\theta\) [%]

力率cosθ=1であれば、\(\displaystyle ε=p\) [%]

ここで、

百分率抵抗降下pは

\(\displaystyle p=\frac{r_{21}I_{2n}}{V_{2n}}\times100\) [%]

百分率リアクタンス降下qは

\(\displaystyle q=\frac{x_{21}I_{2n}}{V_{2n}}\times100\) [%]

ただし、\(\displaystyle V_{2n}\)と\(\displaystyle I_{2n}\)はそれぞれ、定格時の二次端子電圧と定格二次電流である。\(\displaystyle r_{21}\)と\(\displaystyle x_{21}\)はそれぞれ、二次側に換算した抵抗と漏れリアクタンスである。

過去問題:
電験3種過去問【2021年機械 問9】(変圧器の電圧変動率)

単巻変圧器

変圧器の一次巻線と二次巻線とを別々の巻線にしないで、一次巻線と二次巻線の一部を共用して使用する変圧器を\(\fbox{単巻変圧器}\)といい、この変圧器の一次、二次に共通した巻線を\(\fbox{分路巻線}\)、共通でない部分を\(\fbox{直列巻線}\)という。

過去問題:
電験2種過去問【2021年機械 問4】(単巻変圧器の二次消費電力計算)

三相変圧器

三相変圧器巻線の結線方式にはY結線(星形結線)と、Δ結線(三角結線)の2種類がある。Y-Y結線は、変圧器の一次側、二次側とも巻線をY結線とする方法である。この結線の特長としては、\(\fbox{中性点接地}\)が採用できるので、巻線の絶縁低減が可能となること、事故検出に十分な地絡電流が流れ保護が容易となることが挙げられる。しかしY-Y結線では、変圧器の励磁電流に含まれる第3次調波による近接通信線への電磁誘導障害などが発生する。
 この第3次調波による障害を解決するために、三巻線変圧器を用いてその結線方式を\(\fbox{Y-Y-Δ結線}\)とすることにより第3次調波の影響を小さくすることができる。この結線は超高圧の変圧器に広く適用されている。
 中低圧でよく使われるY-Δ結線とΔ-Y結線は\(\fbox{Δ結線}\)が励磁電流中の第3次調波成分の還流回路として働き、電流のひずみが小さくなる。
 Δ-Δ結線は、日本では主として77kV以下の変圧器に適用される。この結線方式で独立した単相変圧器3台による場合には、1台の単相変圧器が故障しても健全な2台による\(\fbox{V結線}\)として、最大出力は落ちるものの三相電力の伝達ができる利点がある。欠点としてはΔ-Δ結線では\(\fbox{中性点接地}\)が採用できないため、アーク地絡によって異常電圧が発生すること、\(\fbox{不平衡負荷}\)の場合に巻線に流れる循環電流が大きくなることなどが挙げれられる。

計器用変成器

 交流の高電圧又は大電流を測定する場合、変圧器を用いて景気の測定範囲に適した電圧や電流に変換することがある。これらの変圧器を計器用変成器といい、電圧測定用のものを計器用変圧器(VT,PT)、電流測定用のものを変流器(CT)という。計器用変成器の二次側負荷は計器や継電器などであり、線路の一般的な負荷と区別するためこれを負担という。
計器用変成器は、等価回路としては普通の電力用変圧器と同じであるが、変圧比及び変流比の精度を良くするためには、高透磁率の鉄心を使用して
励磁電流を小さくするとともに、一次及び二次巻線の巻線抵抗と漏れリアクタンスを極力小さくする必要がある。実際の計器用変成器では誤差が含まれるため、公称変圧比又は公称変流比と実際の変圧比又は変流比との差を、実際の変圧比又は変流比で除して百分率で表したものを計器用変成器の比誤差という。
 変流器の使用中に二次側に接続されている機器を切り離す場合には、まず、変流器の二次端子を短絡するなどの過電圧対策をしておかなければならない。