電験3種過去問【2011年機械 問7】
2023年5月7日
【変圧器】変圧器の損失と効率に関する記述《正誤問題》
次の文章は、変圧器の損失と効率に関する記述である。
電圧一定で出力を変化させても、出力一定で電圧を変化させても、変圧器の効率の最大は鉄損と銅損が等しいときに生じる。ただし、変圧器の損失は鉄損と銅損だけとし、負荷の力率は一定とする。
- 出力 1 000 [W] で運転している単相変圧器において鉄損が 40.0 [W] 、銅損が 40.0 [W] 発生している場合、変圧器の効率は\(\fbox{(ア)}\) [%] である。
- 出力電圧一定で出力を 500 [W] に下げた場合の鉄損は 40.0 [W] 、銅損は\(\fbox{(イ)}\) [W] 、効率は \(\fbox{(ウ)}\) [%] となる。
- 出力電圧が 20 [%] 低下した状態で、出力 1 000 [W] の運転をしたとすると鉄損は 25.6 [W] 、銅損は\(\fbox{(エ)}\) [W] 、効率は \(\fbox{(オ)}\) [%] となる。ただし、鉄損は電圧の2乗に比例するものとする。
上記の記述中の空白箇所(ア)~(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
\(\small{\begin{array}{cccc}
&(ア)&(イ)&(ウ)&(エ)&(オ)\\
\hline(1)&94&20.0&89&61.5&91\\
\hline(2)&93&10.0&91&62.5&92\\
\hline(3)&94&20.0&89&63.5&91\\
\hline(4)&93&10.0&91&50.0&93\\
\hline(5)&92&20.0&89&61.5&91\\
\hline\end{array}}\)
解答と解説はこちら
解答
(2)が正しい。
解説
変圧器の効率η[%]は、入力P1[W]、二次定格出力P2[W]、鉄損Pi[W]、銅損Pc[W]とすると
\(\displaystyle \eta=\frac{P_2}{P_1}\times 100=\frac{P_2}{P_2+P_i+P_c}\times 100\) [%]
また、銅損Pc[W]は、出力電圧が一定のままで、負荷を二次定格出力P2[W]のn倍に変化させると、
または、定格二次電流をn倍に変化させると
\(\displaystyle P_{cn}=n^2P_c [W]\)となる。
- 出力 1 000 [W] で運転している単相変圧器において鉄損が 40.0 [W] 、銅損が 40.0 [W] 発生している場合、変圧器の効率は
\(\displaystyle \eta=\frac{P_2}{P_2+P_i+P_c}\times 100\)
\(\displaystyle =\frac{1000}{1000+40+40}\times 100\)
\(=92.59≒93\) [%] である。
※この時この変圧器は、鉄損Pi=銅損Pcであるので、最大効率である。
- 出力電圧一定で出力を 500 [W] に下げた場合の鉄損は 40.0 [W] 、
銅損は、出力P2[W]が0.5倍に変化しているので、
\(\displaystyle (0.5)^2\times40=10\) [W] 、
効率は
\(\displaystyle \eta=\frac{500}{500+40+10}\times 100\)
\(=90.91≒91\) [%] である。
- 出力電圧が 20 [%] 低下(0.8倍)した状態で、出力 1 000 [W] の運転をしたとすると鉄損は 25.6 [W] 、
銅損は、出力電圧が0.8倍となっていにもかかわらず出力 1 000 [W] を維持するには、電流値を\(\displaystyle \frac{1}{0.8}\)倍に変化させる必要があるため
\(\displaystyle \left(\frac{1}{0.8}\right)^2\times40=62.5\) [W] 、
効率は
\(\displaystyle \eta=\frac{1000}{1000+25.6+62.5}\times 100\)
\(=91.90≒92\) [%] である。
ここで、鉄損は電圧の2乗に比例するので
\(\displaystyle \left(0.8\right)^2\times40=25.6\) [W]となっている。
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