// google adsence用 電験3種過去問【2021年機械 問16】 | 電気主任技術者のいろは

電験3種過去問【2021年機械 問16】

2022年4月24日

【パワーエレクトロニクス】単相半波整流回路の動作《計算問題》

 次の文章は、単相半波ダイオード整流回路に関する記述である。
 抵抗RとリアクトルLとを直列接続した負荷に電力を供給する単相半波ダイオード整流回路を図1に示す。また図1に示した回路の交流電源の電圧波形v(t)を破線で、抵抗Rの電圧波形vR(t)を実線で図2に示す。ただし、ダイオードDの電圧降下及びリアクトルLの抵抗は無視する。次の(a)及び(b)の問に答えよ。

 ただし、必要であれば次の計算結果を利用してよい。

\(\displaystyle \int_0^{\alpha}\sin\theta d\theta=1-\cos\alpha\)

\(\displaystyle \int_0^{\alpha}\cos\theta d\theta=\sin\alpha\)

(a)以下の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

 図1の電源電圧v(t)>0の期間においてダイオードDは順方向バイアスとなり導通する。v(t)とvR(t)が等しくなる電源電圧v(t)の位相をωt=θmとすると、出力電流id(t)が増加する電源電圧の位相ωtが0<ωt<θmの期間においては\(\fbox{(ア)}\)、ωt=θm以降については\(\fbox{(イ)}\)となる。出力電流id(t)は電源電圧v(t)が負となってもv(t)=0の点よりもωt=βに相当する時間だけ長く流れ続ける。すなわち、Lの磁気エネルギーが\(\fbox{(ウ)}\)となるωt=π+βで出力電流id(t)が0となる。出力電圧vd(t)の平均値Vdは電源電圧v(t)を0~\(\fbox{(エ)}\)の区間で積分して一周期である2πで除して計算でき、このときLの電圧vL(t)を同区間で積分すれば0となるので、Vdは抵抗Rの電圧vR(t)の平均値VRに等しくなる。

\(\small{\begin{array}{ccccc}
&(ア)&(イ)&(ウ)&(エ)\\
\hline(1)&v_L(t)>0 &v_L(t)<0 &0&\pi+\beta\\
\hline(2)&v_L(t)<0 &v_L(t)>0 &0&\pi+\beta\\
\hline(3)&v_L(t)>0 &v_L(t)<0 &最大&\pi+\beta\\
\hline(4)&v_L(t)<0 &v_L(t)>0 &最大&\beta\\
\hline(5)&v_L(t)>0 &v_L(t)<0 &0&\beta\\
\hline\end{array}}\)

(b)小問(a)において、電源電圧の実効値\(\displaystyle 100V,\beta=\frac{\pi}{6}\)のときの出力電圧vd(t)の平均値Vd[V]として、最も近いものを(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1)3
(2)20
(3)42
(4)45
(5)90

解答と解説はこちら

解答

(a):(1)
(b):(3)

解説

(a)図1の電源電圧v(t)>0の期間においてダイオードDは順方向バイアスとなり導通する。v(t)とvR(t)が等しくなる電源電圧v(t)の位相をωt=θmとすると、出力電流id(t)が増加する電源電圧の位相ωtが0<ωt<θmの期間においては\(\fbox{vL(t)>0}\)、ωt=θm以降については\(\fbox{vL(t)<0}\)となる。出力電流id(t)は電源電圧v(t)が負となってもv(t)=0の点よりもωt=βに相当する時間だけ長く流れ続ける。すなわち、Lの磁気エネルギーが\(\fbox{0}\)となるωt=π+βで出力電流id(t)が0となる。出力電圧vd(t)の平均値Vdは電源電圧v(t)を0~\(\fbox{π+β}\)の区間で積分して一周期である2πで除して計算でき、このときLの電圧vL(t)を同区間で積分すれば0となるので、Vdは抵抗Rの電圧vR(t)の平均値VRに等しくなる。

\(\displaystyle v(t)=v_R(t)+v_L(t)\)なので、\(\displaystyle \theta_m\)で\(\displaystyle v_L(t)=0\)となる。

(b)電源電圧の実効値\(\displaystyle 100V,\beta=\frac{\pi}{6}\)のときの出力電圧vd(t)の平均値Vd[V]を求める。

小問(a)において、出力電圧vd(t)の平均値Vdは電源電圧v(t)を0~π+βの区間で積分して一周期である2πで除して計算できるので、

\(\displaystyle V_d=\frac{1}{2\pi}\int_0^{\pi+\beta}\sqrt2 V\sin\omega td\omega t\)

\(\displaystyle =\frac{\sqrt2 V}{2\pi}\int_0^{\pi+\beta}\sin\omega td\omega t\)

※題意の\(\displaystyle \int_0^{\alpha}\sin\theta d\theta=1-\cos\alpha\)を利用して(1)式は即導出される

\(\displaystyle =\frac{\sqrt2 V}{2\pi}\left[-\cos\omega t \right]_0^{\pi+\beta}\)

\(\displaystyle =\frac{\sqrt2 V}{2\pi}\{-\cos(\pi+\beta)+\cos0\}\)

\(\displaystyle =\frac{\sqrt2 V}{2\pi}\{1-\cos(\pi+\beta)\}\) …(1)

ここで、\(\displaystyle \beta=\frac{\pi}{6}\)であるので、

\(\displaystyle \cos(\pi+\beta)=\cos\frac{7\pi}{6}=-\frac{\sqrt3}{2}\)

\(\displaystyle =\frac{\sqrt2 V}{2\pi}\{1+\frac{\sqrt3}{2}\}\)

\(\displaystyle =\frac{\sqrt2 \times100}{2\pi}(1+\frac{\sqrt3}{2})\)

\(\displaystyle =42\)

※おまけ

(1)式を正弦の加法定理\(\displaystyle \cos(\alpha+\beta)=\cos\alpha\cos\beta-\sin\alpha\sin\beta\)を用いて展開すると

\(\displaystyle V_d=\frac{\sqrt2 V}{2\pi}(1-\cos\pi\cos\beta+\sin\pi\sin\beta)\)

\(\displaystyle =\frac{\sqrt2 V}{2\pi}(1-\cos\pi\cos\beta+\sin\pi\sin\beta)\)

\(\displaystyle =\frac{\sqrt2 V}{2\pi}(1+\cos\beta)\)

\(\displaystyle =\frac{\sqrt2 V}{2\pi}(1+\cos\frac{\pi}{6})\)

\(\displaystyle =\frac{\sqrt2 \times100}{2\pi}(1+\frac{\sqrt3}{2})\)

\(\displaystyle =42\)

平均値の定義について

交流電圧e(t)の絶対値を、その周期Tで積分することで平均値Vaは求められます。

\(\displaystyle V_a=\frac{1}{T}\int_0^{T}|e(t)|dt\)[V]

なぜ(b)問題は、平均値の求め方の定義と違って、絶対値をとらないのでしょうか?明確にわかる方コメントをお願いします。

おそらくですが、問題中に「Lの電圧vL(t)を同区間で積分すれば0となるので」と記載があるとおり、電圧値の正負を磁気エネルギーの正負としてとらえています。絶対値をとらない単に時間に対する平均値(出力電圧vd(t)の平均値Vd)が、結果として抵抗Rの電圧vR(t)の平均値VRに等しくなるため、平均値VRを導出する意図があるのだと思います。