// google adsence用 電験2種過去問【2020年理論 問3】 | 電気主任技術者のいろは

電験2種過去問【2020年理論 問3】

2023年9月22日

【電気回路】テブナンの定理を用いた最大消費電力計算《空所問題》

 次の文章は、直流回路に関する記述である。文中の\(\fbox{空所欄}\)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。
 図1のように電流源、電圧源及び抵抗を接続した回路がある。図1の破線で囲まれた部分を図2の破線部分に示す抵抗Rと電圧源Eに等価変換すると、R=\(\fbox{(1)}\)Ω、E=\(\fbox{(2)}\)Vとなる。
 図2から、抵抗\(R_1\)に流れる電流\(I_1\)を求めると\(I_1\)=
\(\fbox{(3)}\)[A]となる。また、\(R_1\)で消費される電力Pは\(P=I_1^2R_1\)で求められる。
 したがって、\(R_1\)=\(\fbox{(4)}\)Ωのときに電力Pは最大となり、P=
\(\fbox{(5)}\)Wとなる。 

[問3の解答群]

\(\small{\begin{array}{ccc}
(イ)&9&(ロ)&5&(ハ)&8.3\\
(ニ)&\displaystyle\frac{4}{3}&(ホ)&6&(ヘ)&\displaystyle\frac{24}{3R_1+4}\\
(ト)&\displaystyle\frac{3}{4}&(チ)&\displaystyle\frac{5}{3R_1+4}&(リ)&44.2\\
(ヌ)&2&(ル)&16&(ヲ)&12.0\\
(ワ)&\displaystyle\frac{-5}{3R_1+4}&(カ)&\displaystyle\frac{1}{3}&(ヨ)&4\\
\end{array}}\)

解答と解説はこちら

解答

\(\small{\begin{array}{cc}
\hline(1)&(ヨ)&4\\
\hline(2)&(ル)&16\\
\hline(3)&(ヘ)&\displaystyle\frac{24}{3R_1+4}\\
\hline(4)&(ニ)&\displaystyle\frac{4}{3}\\
\hline(5)&(ヲ)&12.0\\
\hline\end{array}}\)

解説

 テブナンの定理を用いて解く。

 図1の破線で囲まれた部分を切り離し、図2の破線部分に示す抵抗Rと電圧源Eに等価変換する。

電流源を開放除去、電圧源を短絡除去したときの抵抗値R=\(\fbox{(ヨ)4}\)Ω

電流源7Aにより、3Ωの抵抗に係る電圧は21Vとなる。

したがってE=21-5=\(\fbox{(ル)16}\)Vとなる。

 図2から、抵抗\(R_1\)に流れる電流\(I_1\)を重ね合わせの理を用いて求める。

等価電源Eによる回路を考えるため、4V電源を短絡除去すると、合成抵抗\(R_E\)は

\(\displaystyle R_E=R+\frac{2R_1}{2+R_1}\)

\(\displaystyle =4+\frac{2R_1}{2+R_1}\)

\(\displaystyle =\frac{8+6R_1}{2+R_1}\)[Ω]

4V電源除去時の抵抗Rに流れる電流\(I_{ER}\)

\(\displaystyle I_{ER}=\frac{E}{R_E}\)

\(\displaystyle =\frac{16}{\frac{8+6R_1}{2+R_1}}\)

\(\displaystyle =16\times\frac{2+R_1}{2(4+3R_1)}\)

\(\displaystyle =8\times\frac{2+R_1}{4+3R_1}\)

電流の分流則より、4V電源除去時の\(I_1\)部に流れる電流を\(I_{E1}\)とすると

\(\displaystyle I_{E1}=I_{ER}\times\frac{2}{2+R_1}\)

\(\displaystyle =\frac{16}{4+3R_1}\)[A]

同様にして、直流電源4Vによる回路を考えるため、等価電源Eを短絡除去し

等価電源E除去時の\(I_1\)部に流れる電流を\(I_{41}\)として計算すると

\(\displaystyle I_{41}=\frac{8}{4+3R_1}\)[A]

上記2つの回路を合成すると、抵抗\(R_1\)に流れる電流\(I_1\)は

\(\displaystyle I_{1}=I_{E1}+I_{41}\)

\(\displaystyle I_{1}=\frac{16}{4+3R_1}+\frac{8}{4+3R_1}\)

\(\displaystyle I_{1}=\frac{24}{4+3R_1}\)[A]

となる。また、\(R_1\)で消費される電力Pは\(P=I_1^2R_1\)で求められる。

\(\displaystyle P=\left(\frac{24}{4+3R_1}\right)^2 R_1\)

\(\displaystyle =\frac{24^2R_1}{9R_1^2+16+24R_1}\)

\(\displaystyle =\frac{24^2}{9R_1+\frac{16}{R_1}+24}\)

上式の\(\displaystyle 9R_1+\frac{16}{R_1}\)の部分が最小であればPは最大となる。

相加相乗平均の不等式を用いると

\(\displaystyle 9R_1=\frac{16}{R_1}\)であるとき、\(\displaystyle 9R_1+\frac{16}{R_1}\)は最小となるので

\(\displaystyle 9R_1^2=16\)

\(\displaystyle R_1=\frac{4}{3}\)


したがって、\(\displaystyle R_1=\frac{4}{3}\)Ωのときに電力Pは最大となり、このとき

\(\displaystyle P=\left(\frac{24}{4+3R_1}\right)^2 R_1\)

\(\displaystyle =\left(\frac{24}{4+3\frac{4}{3}}\right)^2\frac{4}{3}\)

\(\displaystyle =12\)

P=\(\fbox{(ヲ)12.0}\)Wとなる。 

※相加相乗平均については電験頻出の最小値を求めるパターンで解説しています。