電気材料の学習帳

2021年5月15日

絶縁材料

気体絶縁材料

六ふっ化硫黄(SF6)ガスは、空気と比べて絶縁耐力が高いが、一方で地球温暖化に及ぼす影響が大きいという問題点がある。

気体絶縁材料は液体絶縁材料と比べて、圧力により絶縁耐力が大きく変化する。

アークの消弧能力は、空気よりも優れている。

無色、無臭であるが、化学的に安定で不活性である。

地球温暖化に及ぼす影響は、同じ質量の二酸化炭素と比較してはるかに大きい。

ガス遮断器やガス絶縁変圧器の絶縁媒体として利用される。

絶縁破壊電圧は、同じ圧力の空気と比較すると高い。

ガス遮断器などに使用されているSF6ガスは、同じ圧力の空気と比較して絶縁耐力や消弧能力が高く、反応性が非常に小さく安定した不燃性のガスである。

SF6ガスは、大気中に排出されても、オゾン層破壊への影響がない代替フロンとして開発されたものである。

過去問題:
電験3種過去問【2013年電力 問14】(絶縁材料の特徴)
電験3種過去問【2014年電力 問14】(六ふっ化硫黄ガス)
電験3種過去問【2017年電力 問14】(絶縁材料に関する記述)

 固体絶縁材料

気体絶縁材料は、液体、固体絶縁材料と比較して、一般に電気抵抗率及び誘電率が低いため、固体絶縁材料内部にボイド(空隙、空洞)が含まれると、ボイド部でのトリーによる絶縁破壊が生じる。

気体絶縁材料は、液体、固体絶縁材料と比較して、一般に絶縁破壊強度が低いが、気圧を高めるか、真空状態とすることで絶縁破壊強度を高めることができる性質がある。

内部にボイドを含んだ固体絶縁材料では、固体絶縁材料の絶縁破壊が生じなくても、ボイド内の気体が絶縁破壊することで部分放電が発生する場合がある。

固体絶縁材料は、熱や電界、機械的応力などが長時間加えられることによって、固体絶縁材料内部に微小なボイドが形成されて、部分放電が発生する場合がある。

固体絶縁材料内部で部分放電が発生すると、短時間に固体絶縁材料の絶縁破壊が生じることはなくても、長時間にわたって部分放電が継続的又は断続的に発生することで、固体絶縁材料の絶縁破壊に至る場合がある。

一般に固体絶縁材料には、液体や気体の絶縁材料と比較して、絶縁耐力が高いものが多い。

膨張、収縮による機械的な繰り返しひずみの発生が、劣化の原因となる場合がある。
直射日光により、絶縁物の劣化が生じる場合がある。
電界や熱が長時間加わることで、絶縁強度は低下する傾向がある。
固体絶縁材料は、温度変化による膨張や収縮による機械的ひずみが原因で劣化することがある。

絶縁材料における絶縁劣化では、熱的要因、電気的要因、機械的要因のほかに、化学薬品、放射線、水分などが要因となり得る。

固体絶縁物内部の微小空げきで高電圧印加時のボイド放電が発生すると、劣化の原因となる。

水分は、CVケーブルの水トリー劣化の主原因である。
多くの絶縁材料は湿度が高いほど、絶縁強度の低下や誘電損の増加が生じる。
絶縁材料中の水分が多いほど、絶縁強度は低くなる傾向がある。

硫黄などの化学物質は、固体絶縁材料の変質を引き起こす。

部分放電劣化は、絶縁体外表面や絶縁体内部に発生する。
部分放電は、絶縁物劣化の一要因である。

がいしに使用される絶縁材料には、一般に、磁気、ガラス、ポリマの3種類がある。我が国では磁器がいしが主流であるが、最近では、軽量性や耐衝撃性などの観点から、ポリマがいしの利用が進んでいる。

過去問題:
電験3種過去問【2009年電力 問14】(固体絶縁材料の劣化)
電験3種過去問【2019年電力 問14】(電気絶縁材料)

絶縁油

絶縁油は変圧器やOFケーブルなどに使用されており、一般に絶縁破壊電圧は大気圧の空気と比べて高く、誘電正接は空気よりも大きい。電力用機器の絶縁油として古くから鉱物油が一般的に用いられてきたが、OFケーブルやコンデンサでより優れた低損失性や信頼性が求められる仕様のときには重合炭化水素油が採用される場合もある。

絶縁油は、温度や不純物などにより絶縁性能が影響を受ける。

変圧器の絶縁油には、主に鉱油系絶縁油が使用されており、変圧器内部を絶縁する役割のほかに、変圧器内部で発生する熱を対流などによって放散冷却する役割がある。

絶縁油の誘電正接は、変圧器、電力ケーブルに使用する場合には大きいものが、コンデンサに使用する場合には大きいものが適している。

絶縁油には、一般に熱膨張率、粘度が小さく、比熱、熱伝導率が大きいものが適している。

電力用設備の絶縁油には、一般に古くから鉱油系絶縁油が使用されているが、難燃性や低損失性など、より優れた特性が要求される場合には合成絶縁油が採用されている。また、環境への配慮から植物性絶縁油の採用も進められている。

絶縁油は、電力用設備内を絶縁するために使用される以外に、絶縁油の流動性を利用して電力用設備内で生じた熱を外部へ放散するために使用される場合がある。

絶縁油では、不純物や水分などが含まれることにより絶縁性能が大きく影響を受け、部分放電の発生によって分解ガスが生じる場合がある。このため、電力用設備から採油した絶縁油の水分量測定やガス分析等を行うことにより、絶縁油の劣化状態や電力用設備の異常を検知することができる。

過去問題:
電験3種過去問【2010年電力 問14】(絶縁油の特徴と種類)
電験3種過去問【2020年電力 問14】(絶縁油に関する記述)

導電材料(銅)

電線の導電材料の銅は、電気銅を精製したものが用いられる。

CVケーブルの電線の銅導体には、軟銅が一般に用いられる。

軟銅は、硬銅を300~600[℃]で焼きなますことにより得られる。

20[℃]において、最も抵抗率の低い金属は、銀である。安価な銅は銀に続いて低く一般に用いられる。

直流発電機の整流子片には、硬銅が一般に用いられる。

過去問題:
電験3種過去問【2012年電力 問14】(導電材料の銅に関する記述)

送電線路の導体

CVケーブルの絶縁体に使用される架橋ポリエチレンは、ポリエチレンの優れた絶縁特性に加えて、ポリエチレンの分子構造を架橋反応により立体網目状分子構造とすることによって、耐熱変形性を大幅に改善した絶縁材料である。

導体の特性として、一般に導電率は高く引張強さが大きいこと、質量及び線熱膨張率が小さいこと、加工性及び耐食性に優れていることなどが求められる

導体には、一般に銅やアルミニウム又はそれらの合金が用いられ、それらの導体の導電率は、温度や不純物成分、加工条件、熱処理条件などによって異なり、標準軟銅の導電率を100%として比較した百分率で表される。

地中ケーブルの銅導体には、一般に軟銅が用いられ、硬銅と比べて引張強さは小さいが、伸びや可とう性に優れ、導電率が高い。

鋼心アルミより線は、中心に亜鉛めっき鋼より線、その周囲に硬アルミ線をより合わせた電線であり、アルミの軽量かつ高い導電性と、鋼の強い引張強さとをもつ代表的な架空送電線である。

純アルミニウムは、純銅と比較して導電率が2/3程度、比重が1/3程度であるため、電気抵抗と長さが同じ電線の場合、アルミニウム線の質量は銅線のおよそ半分である。

過去問題:
電験3種過去問【2016年電力 問14】(送電線路に用いる導体)

変圧器の鉄心材料

鉄心材料は、同じ体積であれば両面を絶縁加工した薄い材料を積層することで、ヒステリシス損はほとんど変わらないが、渦電流損を低減させることができる。

鉄心材料は、保磁力が小さく、飽和磁束密度は大きく、ヒステリシス損が小さい材料が選ばれる。

鉄心材料に使用されるけい素鋼材は、鉄にけい素を含有させて透磁率と抵抗率とを高めた材料である。

鉄心材料に使用されるアモルファス合金材は、非結晶構造であり、高硬度であるが、加工性に優れず、けい素鋼材と比較して高価である。

鉄心材料に使用されるアモルファス合金材は、けい素鋼材と比較して透磁率と抵抗率はともに高く、鉄損が少ない。

鉄は、炭素の含有量を低減させることにより飽和磁束密度及び透磁率が増加し、保磁力が減少する傾向にあるが、純鉄や低炭素鋼は電気抵抗が小さいため、一般に交流用途の鉄心材料には適さない。

鉄は、けい素含有量の増加に伴って飽和磁束密度及び保磁力が減少し、透磁率及び電気抵抗が増加する傾向がある。そのため、けい素鋼板は交流用途の鉄心材料に広く使用されているが、けい素含有量の増加に伴って加工性や機械的強度が低下するという性質もある。

鉄心材料のヒステリシス損は、ヒステリシス曲線が囲む面積と交番磁界の周波数に比例する。

厚さの薄い鉄心材料を積層した積層鉄心は、積層した鉄心材料間で電流が流れないように鉄心材料の表面に絶縁被膜が施されており、鉄心材料の積層方向(厚さ方向)と磁束方向とが垂直方向となるときに顕著な渦電流損の低減効果が得られる。

鉄心材料に用いられるアモルファス磁性材料は、原子配列に規則性がない非結晶構造を有し、結晶構造を有するけい素鋼材と比較して鉄損が少ない。薄帯形状であることから巻鉄心形の鉄心に適しており、柱上変圧器などに使用されている。

過去問題:
電験3種過去問【2015年電力 問14】(変圧器の鉄心材料)
電験3種過去問【2018年電力 問14】(変圧器の鉄心材料)