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電験3種過去問【2022年(下期)電力 問4】

2024年1月16日

【原子力発電】原子炉の型と特性に関する記述《空所問題》

 次の文章は、原子炉の型と特性に関する記述である。
 軽水炉は、\(\fbox{(ア)}\)を原子燃料とし、冷却材と\(\fbox{(イ)}\)に軽水を用いた原子炉であり、我が国の商用原子力発電所に広く用いられている。この軽水炉には、蒸気を原子炉の中で直接発生する\(\fbox{(ウ)}\)原子炉と蒸気発生器を介して蒸気を作る\(\fbox{(エ)}\)原子炉とがある。
 軽水炉では、何らかの原因により原子炉の核分裂反応による熱出力が増加して、炉内温度が上昇した場合でも、燃料の温度上昇にともなってウラン238による中性子の吸収が増加する\(\fbox{(オ)}\)により、出力が抑制される。このような働きを原子炉の固有の安全性という。

 上記の記述中の空白箇所(ア)~(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

\(\small{\begin{array}{cccc} &(ア)&(イ)&(ウ)&(エ)&(オ)\\ \hline(1)&低濃縮ウラン&減速材&沸騰水型&加圧水型&ドップラー効果\\ \hline(2)&高濃縮ウラン&減速材&沸騰水型&加圧水型&ボイド効果\\ \hline(3)&プルトニウム&加速材&加圧水型&沸騰水型&ボイド効果\\ \hline(4)&低濃縮ウラン&減速材&加圧水型&沸騰水型&ボイド効果\\ \hline(5)&高濃縮ウラン&加速材&沸騰水型&加圧水型&ドップラー効果\\ \hline\end{array}}\)

解答と解説はこちら

解答

(1)が正しい

解説

 軽水炉は、\(\fbox{(ア)低濃縮ウラン}\)を原子燃料とし、冷却材と\(\fbox{(イ)減速材}\)に軽水を用いた原子炉であり、我が国の商用原子力発電所に広く用いられている。この軽水炉には、蒸気を原子炉の中で直接発生する\(\fbox{(ウ)沸騰水型}\)原子炉と蒸気発生器を介して蒸気を作る\(\fbox{(エ)加圧水型}\)原子炉とがある。
 軽水炉では、何らかの原因により原子炉の核分裂反応による熱出力が増加して、炉内温度が上昇した場合でも、燃料の温度上昇にともなってウラン238による中性子の吸収が増加する\(\fbox{(オ)ドップラー効果}\)により、出力が抑制される。このような働きを原子炉の固有の安全性という。

 ドップラー効果は、一般には波源と観測者が相対運動している場合に波源の振動数と観測される振動数にずれが生じる現象をいう。原子力分野では、原子炉内の温度が上昇した際に物質の原子核の熱運動が活発になって中性子を吸収しやすくなり、炉心の反応度が低下する効果を指す。
 核燃料を構成する主要な核種ウラン238は核燃料の温度上昇とともに相対運動のエネルギーが広がって共鳴吸収の確率が増加するために、中性子の吸収が多くなり、炉心の反応度が低下する。したがって、この効果は原子炉出力に対して抑制として働く。

日本原子力研究開発機構 https://atomica.jaea.go.jp/dic/detail/dic_detail_1120.html

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