// google adsence用 電験2種過去問【2020年理論 問6】 | 電気主任技術者のいろは

電験2種過去問【2020年理論 問6】

2022年6月26日

【電気計測】直流ブリッジを用いた抵抗測定《空所問題》

 次の文章は、直流ブリッジを用いた抵抗測定に関する記述である。文中の\(\fbox{空所欄}\)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。
 図は、ひずみにより微小な抵抗変化を生じるひずみゲージを用いた測定回路である。このような抵抗の測定には、図のような\(\fbox{(1)}\)ブリッジの原理が使用される。
 図において、直流電圧源をE、回路の電流\(I_1,I_2\)とする。ひずみがなく、ひずみゲージの固定抵抗\(R_1\)の変化\(\Delta R_1\)が\(\Delta R_1=0\)の場合、ブリッジの出力電圧\(V_0\)を\(R_1,R,E\)を用いて表すと、
 \(V_0\)=\(\fbox{(2)}\) …①
となる。ただし、周囲温度の変化による各抵抗の変化は無視できるものとする。
 次に、ひずみが生じ、\(R_1\)が\(R_1+\Delta R_1\)になった場合を考える。
\(R_1=R\)となるようなひずみゲージを選べば、①式より\(V_0\)は
 \(V_0\)=\(\fbox{(3)}\) …②
となる。ここで、通常 \(R_1≫\Delta R_1\)であることから、②式より\(V_0\)は
 \(V_0\)≒\(\fbox{(4)}\)
となり、\(\Delta R_1\)に比例した電圧が得られる。
 したがって、\(R_1=R=100\)Ω、E=2Vであるとき、ある大きさのひずみにより、0.2%の抵抗増加が\(R_1\)に生じたとすれば、\(\fbox{(5)}\)mVの出力電圧\(V_0\)が得られる。

[問6の解答群]

\(\small{\begin{array}{ccc}
(イ)&ウィーン&(ロ)&ホイートストン&(ハ)&\displaystyle\frac{R_1-R}{2(R_1+R)}E\\
(ニ)&\displaystyle\frac{\Delta R_1}{(2R_1+\Delta R_1)}E&(ホ)&\displaystyle\frac{R_1}{2(R_1+R_1)}E&(ヘ)&\displaystyle\frac{\Delta R_1}{4R}E\\
(ト)&\displaystyle\frac{\Delta R_1}{(4R+2\Delta R_1)}E&(チ)&\displaystyle\frac{R_1-R}{(R_1+R)}E&(リ)&2.0\\
(ヌ)&\displaystyle\frac{\Delta R_1}{(R+\Delta R_1)}E&(ル)&1.0&(ヲ)&シェーリング\\
(ワ)&20.0&(カ)&\displaystyle\frac{\Delta R_1}{R}E&(ヨ)&\displaystyle\frac{\Delta R_1}{2R}E\\
\end{array}}\)

解答と解説はこちら

解答

\(\small{\begin{array}{cc}
\hline(1)&(ロ)&ホイートストン\\
\hline(2)&(ハ)&\displaystyle\frac{R_1-R}{2(R_1+R)}E\\
\hline(3)&(ト)&\displaystyle\frac{\Delta R_1}{(4R+2\Delta R_1)}E\\
\hline(4)&(ヘ)&\displaystyle\frac{\Delta R_1}{4R}E\\
\hline(5)&(ル)&1.0\\
\hline\end{array}}\)

解説

 図は、ひずみにより微小な抵抗変化を生じるひずみゲージを用いた測定回路である。このような抵抗の測定には、図のような\(\fbox{(ロ)ホイートストン}\)ブリッジの原理が使用される。
 図において、直流電圧源をE、回路の電流\(I_1,I_2\)とする。ひずみがなく、ひずみゲージの固定抵抗\(R_1\)の変化\(\Delta R_1\)が\(\Delta R_1=0\)の場合、ブリッジの出力電圧\(V_0\)を\(R_1,R,E\)を用いて表すと、

\(\displaystyle V_0=\frac{R}{2R}E-\frac{R}{R_1+R}E\)

\(\displaystyle =\left(\frac{1}{2}-\frac{R}{R_1+R}\right)E\)

\(\displaystyle =\frac{(R_1+R)-2R}{2(R_1+R)}E\)

\(\displaystyle =\frac{R_1-R}{2(R_1+R)}E\)

 \(\displaystyle V_0=(ハ)\frac{R_1-R}{2(R_1+R)}E\) …①
となる。ただし、周囲温度の変化による各抵抗の変化は無視できるものとする。
 次に、ひずみが生じ、\(R_1\)が\(R_1+\Delta R_1\)になった場合を考える。
\(R_1=R\)となるようなひずみゲージを選べば、①式より\(V_0\)は

\(\displaystyle V_0=\frac{R_1+\Delta R_1-R}{2(R_1+\Delta R_1+R)}E\)

\(\displaystyle =\frac{R+\Delta R_1-R}{2(R+\Delta R_1+R)}E\)

\(\displaystyle V_0=(ト)\frac{\Delta R_1}{(4R+2\Delta R_1)}E\) …②
となる。ここで、通常 \(R_1≫\Delta R_1\)であることから、②式より\(V_0\)は
\(\displaystyle V_0≒(ヘ)\frac{\Delta R_1}{4R}E\)
となり、\(\Delta R_1\)に比例した電圧が得られる。
 したがって、\(R_1=R=100\)Ω、E=2Vであるとき、ある大きさのひずみにより、0.2%の抵抗増加が\(R_1\)に生じたとすれば、

\(\displaystyle V_0=\frac{\Delta R_1}{4R}E\)

\(\displaystyle =\frac{100\times0.002}{4\times100}2\)

\(\displaystyle =0.001\) [V]

\(\fbox{(ル)1.0}\)mVの出力電圧\(V_0\)が得られる。