// google adsence用 電験2種過去問【2020年理論 問5】 | 電気主任技術者のいろは

電験2種過去問【2020年理論 問5】

2022年6月26日

【電気回路】交流回路の力率とアドミタンス《空所問題》

 次の文章は、交流回路に関する記述である。文中の\(\fbox{空所欄}\)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。

 図1の回路において、負荷の抵抗はR=3Ω、有効電力は600W、力率は0.6である。また、電源の角周波数はωである。
 この負荷の無効電力は
\(\fbox{(1)}\)varであり、負荷のリアクタンスはωL=\(\fbox{(2)}\)Ωである。
 図2のように、図1の回路の端子a-bにキャパシタCを接続すると、電源からみた回路の合成負荷のアドミタンスは
\(\displaystyle \dot{Y}=\frac{R}{R^2+(\omega L)^2}+j\left(\omega C-\frac{\omega L}{R^2+(\omega L)^2}\right)\)となる。図2において電源から見た回路の合成負荷の力率を1とした。このとき、キャパシタCのサセプタンスはωC=\(\fbox{(3)}\)Sである。
 キャパシタCを接続して合成負荷の力率を1にした後に、電源の角周波数ωを\(\displaystyle \frac{1}{2}\)倍にすると、電源からみた回路の合成負荷は、力率
\(\fbox{(4)}\)の\(\fbox{(5)}\)負荷となる。

 

[問5の解答群]

\(\small{\begin{array}{ccc}
(イ)&0.16&(ロ)&0.12&(ハ)&1\\
(ニ)&5&(ホ)&600&(ヘ)&容量性\\
(ト)&6.25&(チ)&誘導性&(リ)&3\\
(ヌ)&4&(ル)&800&(ヲ)&400\\
(ワ)&0.952&(カ)&抵抗&(ヨ)&0.192\\
\end{array}}\)

解答と解説はこちら

解答

\(\small{\begin{array}{cc}
\hline(1)&(ル)&800\\
\hline(2)&(ヌ)&4\\
\hline(3)&(イ)&0.16\\
\hline(4)&(ワ)&0.952\\
\hline(5)&(チ)&誘導性\\
\hline\end{array}}\)

解説

 図1の回路において、負荷の抵抗はR=3Ω、有効電力Pは600W、力率は0.6である。また、電源の角周波数はωである。

この負荷の無効電力Qを求める。

力率\(\displaystyle \cos\theta =0.6=\frac{600}{S}\)であるので、

\(\displaystyle S=1000\) [VA]

\(\displaystyle S^2=P^2+Q^2\)であるので、

\(\displaystyle Q^2=S^2-P^2=1000^2-600^2=640000\)

\(\displaystyle Q=800\) [Var]

この負荷の無効電力は\(\fbox{(ル)800}\)var

負荷のリアクタンスを求めると、

\(\displaystyle R:\omega L=P:Q\)であるので

\(\displaystyle \omega L=\frac{RQ}{P}\)

\(\displaystyle =\frac{3\times800}{600}=4\)

ωL=\(\fbox{(ヌ)4}\)Ωである。

 図2のように、図1の回路の端子a-bにキャパシタCを接続すると、電源からみた回路の合成負荷のアドミタンスは\(\displaystyle \dot{Y}=\frac{R}{R^2+(\omega L)^2}+j\left(\omega C-\frac{\omega L}{R^2+(\omega L)^2}\right)\)となる。

図2において電源から見た回路の合成負荷の力率を1とした。このとき、キャパシタCのサセプタンスは、\(\displaystyle \omega C-\frac{\omega L}{R^2+(\omega L)^2}=0\)であるから

\(\displaystyle \omega C=\frac{\omega L}{R^2+(\omega L)^2}\)

\(\displaystyle =\frac{4}{3^2+4^2}\)

ωC=\(\fbox{(イ)0.16}\)Sである。

 キャパシタCを接続して合成負荷の力率を1にした後に、電源の角周波数ωを\(\displaystyle \frac{1}{2}\)倍にすると、電源からみた回路の合成負荷\(\displaystyle \dot{Y}\)は、

\(\displaystyle \dot{Y}=\frac{R}{R^2+(\frac{1}{2}\omega L)^2}+j\left(\frac{1}{2}\omega C-\frac{\frac{1}{2}\omega L}{R^2+(\frac{1}{2}\omega L)^2}\right)\)

\(\displaystyle =\frac{3}{3^2+(\frac{1}{2}\times4)^2}+j\left(\frac{1}{2}\times0.16-\frac{\frac{1}{2}\times4}{3^2+(\frac{1}{2}\times4)^2}\right)\)

\(\displaystyle =0.231-j0.071\)

つまり\(\displaystyle \tan\theta =\frac{-0.071}{0.231}\)であり、

\(\displaystyle \tan^2\theta+1 =\frac{1}{\cos^2\theta}\)より

\(\displaystyle \cos\theta =0.952\)

回路側からみた合成負荷は、\(\displaystyle \dot{Y}=0.231-j0.071\)であるので、

\(\displaystyle \dot{Z}=\frac{1}{0.231-j0.071}\)

\(\displaystyle =\frac{0.231+j0.071}{(0.231+j0.071)(0.231-j0.071)}\)

\(\displaystyle =\frac{0.231+j0.071}{0.058}\)

つまり、力率\(\fbox{(ワ)0.952}\)の\(\fbox{(チ)誘導性}\)負荷となる。