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電験2種過去問【2022年電力管理 問2】

2024年3月3日

【変電所】ギャップレス避雷器の特徴と絶縁設計時の留意点《論説問題》

 電力系統には雷撃や系統運用における過渡現象などにより異常電圧が発生することがあり、電気施設の絶縁保護を目的に、変電所等に避雷器が設置される。近年は、特に、保護特性の優れた、直列ギャップを使用しない酸化亜鉛(ZnO)を主成分とした酸化亜鉛形避雷器(ギャップレス避雷器)が多く使用されている。変電所に設置される酸化亜鉛形避雷器(ギャップレス避雷器)について、次の問に答えよ。

  1. 変電所における避雷器の設置上の留意点及びその理由を 100 字程度以内で述べよ。
  2. 酸化亜鉛形避雷器(ギャップレス避雷器)の特徴を三つ挙げ、それによるメリットも含めてそれぞれ 50 字程度以内で述べよ。
  3. 酸化亜鉛形避雷器(ギャップレス避雷器)では、保護レベルと機器寿命の関係を定量的に示すのに、常時連続的に印加される電圧ストレスの大きさを示す課電率(通常、連続使用電圧/動作開始電圧)を用いる。そこで、課電率による保護レベル設定と機器寿命の関係について 80 字程度以内で述べよ。
解答と解説はこちら

解答

公式標準解答

  1. 変電所における避雷器の設置上の留意点及びその理由を 100 字程度以内で述べよ。
    以下の避雷器の設置上の留意点及びその理由から一つ記載されていればよい。
    • 避雷器は線路引込口や極力被保護機器近く設置する(約50m以下)ことが望ましく、距離があまり遠くなると被保護機器の端子に加わる異常電圧の値は避雷器の制限電圧に比べて高くなり、これを設置した効果がなくなる。
    • 避雷器と大地間の接地線は極力接地抵抗(インピーダンス)を小さくし、高周波サージに対するインダクタンスを抑えることで、避雷器ー大地間の電圧上昇により保護レベルに影響をおよぼさないようにする。
  2. 酸化亜鉛形避雷器(ギャップレス避雷器)の特徴を三つ挙げ、それによるメリットも含めてそれぞれ 50 字程度以内で述べよ。
    以下の酸化亜鉛形避雷器の特徴とメリットから三つ記載されていればよい。
    • 直列ギャップがないため放電電圧ー時間特性に関係する課題がなく、機器絶縁に対する保護レベルが向上する。
    • 微小電流から大電流サージ領域まで高い非直線抵抗特性を有することで過電圧を抑制することができる。
    • 素子の単位体積当たりの処理エネルギーが大きいので、従来に比べ寸法の小型化と構造の簡素化が実現できる。
    • 並列素子数を増加することにより、許容される吸収エネルギーの増加が図れ、サージに対する耐量が向上する。
    • 無続流のため、多重雷などに対する動作責務に余裕があり温度上昇が少なく、機器の長寿命化が期待できる。
    • 降雨等による汚損及び洗浄時の不均一電位分布などの問題がなく、局部アークの発生を抑制することができる。
  3. 酸化亜鉛形避雷器(ギャップレス避雷器)では、保護レベルと機器寿命の関係を定量的に示すのに、常時連続的に印加される電圧ストレスの大きさを示す課電率(通常、連続使用電圧/動作開始電圧)を用いる。そこで、課電率による保護レベル設定と機器寿命の関係について 80 字程度以内で述べよ。
    • 課電率を高くすることで、保護レベルを低く設定でき、絶縁設計の合理化が実現できるが、機器寿命が短くなるためこの経済バランスを考慮した仕様検討が必要となる。

解説

 変電所における避雷器に関する問題です。三種からでも馴染み深いギャップレス避雷器と絶縁設計時の留意点ですが、類題も多い内容で確実に得点源としたいです。課電率に関して、よく考えれば解答できる内容であるため、試験時間にしっかり記述できるように対策することが大切です。


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