解答
公式標準解答
- 需要家に設置される進相コンデンサは、JIS C 4902 で直列リアクトルとともに使用することが標準として規定されている。直列リアクトルを設置する理由を二つ説明せよ。
- 直列リアクトルは、高調波に対して進相コンデンサ設備の回路を誘導性にし、進相コンデンサのキャパシタンスと系統の変圧器や線路のリアクタンスとの共振による高調波電流の拡大を防止する。
- コンデンサ投入時の突入電流や異常電圧発生を抑制する。
- 高調波対策設備の一つである LC フィルタについて高調波抑制の原理を説明するとともに、設置に当たり留意すべき点について二つ記載せよ。
【高調波抑制の原理】
LCフィルタは、コンデンサ、リアクトルといった受動(パッシブ)素子を組み合わせて、特定の周波数又は周波数領域で低インピーダンスとなる分路を構成し、高調波電流を吸収する。
【設置に当たり留意すべき点】
下記のような解答が、いずれか2項目記載されていればよい。
- 無負荷時に母線電圧が上昇するため、高調波発生機器の停止時は進み力率を避けるため、LCフィルタを開放することが望ましい。
- 系統反共振点での高調波不安定現象
LCフィルタは、発生する高調波次数に対応した分路を組み合わせるため、分路の次数や低次側に電力系統インピーダンスとの共振点が現れる。共振している次数の高調波が存在すると、その高調波電流が増加して変換装置が運転不能となるため留意する必要がある。
- 遮断器の選定
LCフィルタは、進相コンデンサに比べて高調波電流の流入量が多いため、遮断後の回復電圧が大きくなる。このため、遮断直後の過渡回復電圧抑制用サージアブソーバの設置や1ランク上位の電圧定格をもった遮断器の採用などが必要となる。
- LCフィルタの電流耐量
LCフィルタは電力系統内で第 n 次高調波に対して短絡回路を形成するため、電流耐量に留意する必要がある。
- 励磁突入電流の引き込みが大きい場合には、耐量向上又は運用上の対策が必要となる。
- 同調フィルタの並設時は、それぞれのLCフィルタの同調点をずらしてフィルタインピーダンスを大きくする。
- フリッカの対策法について三つ記載せよ。
下記のような解答が、いずれか3項目記載されていればよい。
- 需要家側の対策
- 静止形無効電力補償装置(SVC、SVG)等を施設する。
- アーク電流が不安定な交流アーク炉に代え、安定した電流が得られる直流アーク炉を採用する。
- 一次側に直列過飽和リアクトルを接続する。
- 供給側の対策
- 変動負荷を専用線あるいは専用変圧器により供給する。
- 高圧配電線の昇圧、電線の太線化など電源側インピーダンスの低減を図る。
解説
高調波やフリッカ現象の対策に関する問題です。高調波対策に関しては、類題も多く、計算問題とともに出題されることが多いです。フリッカ対策についても一般的な対策法を知っていれば解答できます。一種としては易しい内容です。しっかり得点したい問題です。
難易度2(★★☆☆☆)
追加学習は電気施設管理の学習帳で
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