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誘導電動機の学習帳

2023年2月4日

誘導電動機

三相誘導電動機の回転原理

広く知られている、アラゴの円板を例に回転原理を説明する。下図のようなアルミニウムの円板に回転軸を取り付けたものに、磁石を円板に触れないように近づける。この磁石を矢印の向きに動かすと、円板も磁石と同じ向きに力を受ける。したがって、円板の軸は、磁石の移動する向きと同じ方向へ回転する。

※画像をクリックすると動きが見えます

実際の電動機では、磁石を回転させたのと同じ効果があるように工夫がされている。

2極の回転磁界

三相交流の回転磁界を作るには、下図のように3つのコイル(赤色のaコイル、緑色のbコイル、青色のcコイル)を互いに120°ずつずらして配置し、それぞれのコイルに三相交流を流す。

※図をクリックすると合成磁束が回転しながら変化する様子を表示

上図のように、三相交流電源を接続して電流を流したとすると、右ねじの法則に従ってコイルに流れる電流による磁束が発生する。これらの磁束は、図中にしめすような合成磁束となり、N極とS極が存在していると考えてよい。連続的に三相交流を流し続けることによりこの合成磁束は回転していき、磁石を回転させているのと同じ効果となる。(図をクリックすると合成磁束の回転変化が見れます)

このような合成磁束の回転速度を、同期回転速度ns[min-1]という。

三相誘導電動機の基本特性

 巻線形三相誘導電動機の二次端子を開放した状態で、一次巻線に一定周波数\(f_1\)の三相正弦波交流電圧を印加すると、\(\fbox{励磁電流}\)は流れるが、二次電流が流れないので回転子は回転しない。二次端子を短絡すると二次電流が流れ、これと一次電流により発生する\(\fbox{回転磁界}\)とによって、回転子にトルクが発生し、回転子は回転し始める。
 回転子が滑り\(s\)で回転している場合、同期速度を\(n_0\)とすれば回転子の回転速度は\((1-s)n_0\)で表され、このとき、二次巻線に発生する起電力の周波数は\(sf_1\)である。
 回転子に負荷を接続し、その負荷を増大させると回転速度は低下する。すなわち、滑りは\(\fbox{増加すること}\)になり二次巻線に発生する起電力が大きくなる。その結果、二次電流が増加し、負荷トルクと平衡するだけの大きさのトルクを発生する。

三相誘導電動機の同期回転速度

三相誘導電動機の同期回転速度ns[min-1]は、電源の周波数をf[Hz]、極数をpとすると次式で与えられる。

$$n_s= \frac{120f}{p} [min^{-1}]$$

三相誘導電動機の滑り

誘導電動機の同期回転速度ns[min-1]と回転子速度n[min-1]が同じであると、回転子に対して磁束は動いていないことになる。つまり、誘導電動機を回転させるためのトルクも生じない。実際の誘導電動機では同期回転速度ns[min-1]よりも回転子の回転速度n[min-1]は遅くなる。nsに対するnsとnの差は滑りとよばれsで表される。

$$s= \frac{同期速度-回転速度}{同期速度}= \frac{n_s-n}{n_s}$$

三相誘導電動機の回転数

すべりをsとすると、電動機の回転速度n[min-1]は、

$$n=n_s(1-s)= \frac{120f}{p}(1-s) [min^{-1}]$$

電動機の速度制御

三相誘導電動機の簡易等価回路

 図は、三相誘導電動機の1相分のL形等価回路である。ただし、\(r_1\)は一次巻線抵抗、\(r_2’\)は二次巻線抵抗の一次換算値、\(x_1\)は一次漏れリアクタンス、\(x_2’\)は二次漏れリアクタンスの一次換算値、\(b_0及びg_0\)は励磁サセプタンス及び励磁コンダクタンスである。三相交流電源の相電圧の実効値を\(V_1\)、フェーザを\(\dot{V_1}\)とする。また、滑りを\(s\)とし、漏れリアクタンスの和を\(X=x_1+x_2’\)とする。
電動機を交流電源に接続すると、励磁電流は\(\dot{I_0}=\dot{Y}\dot{V_1}\)となり、アドミタンス\(\dot{Y}=g_0-jb_0\)であるので

\(\dot{I_0}=(g_0-jb_0)\dot{V_1}\)となる。

 \(\dot{I_0}\)による損失は\(g_0\)を流れる電流となるので

\(W_I=3g_0V_1^2\)である。

機械損\(W_m\)を無視すると、機械的出力は\(P_O=\displaystyle 3I_1’^2\frac{1-s}{s}r_2’\)である。

ここで、

\(\displaystyle I_1’=\frac{V_1}{\sqrt{\left(r_1+r_2’+\frac{1-s}{s}r_2’\right)^2+\left(x_1+x_2’\right)^2}}\)

\(\displaystyle =\frac{V_1}{\sqrt{\left(r_1+\frac{r_2′}{s}\right)^2+X^2}}\)

であるので、

\(P_O=\displaystyle\frac{3\frac{1-s}{s}r_2’V_1^2}{\left(r_1+\frac{r_2′}{s}\right)^2+X^2}\)である。

一方、\(r_1及びr_2’\)に生じる損失は\(W_C=3I_1’^2(r_1+r_2′)\)であるので、

\(W_C=\displaystyle\frac{3(r_1+r_2′)V_1^2}{\left(r_1+\frac{r_2′}{s}\right)^2+X^2}\)となる。

ここで、機械損\(W_m\)を考慮すると、電動機の効率は\(\displaystyle\frac{P_O-W_m}{P_O+W_I+W_C}\)となる。

一次負荷電流I1‘=I2/α(二次電流I2、一次巻線と二次巻線の巻数比α)

二次銅損 $$P_{c2}=I_1’^2 r_2’=sP_2 [W]$$

二次入力 $$P_{2}=P_{c2}+P_{o}= \frac{P_o}{1-s}=I_1’^2 \frac{r_2′}{s} [W]$$

出力 $$P_{o}=I_1’^2 R’=I_1’^2 \left( \frac{1-s}{s} \right) r_2’=(1-s)P_{2} [W]$$

二次入力P2と出力Po及び二次銅損Pc2の比は次の関係となる。

$$P_{2}:P_{o}:P_{c2}=P_{2}:(1-s)P_{2}:sP_2=1:(1-s):s$$

かご形誘導電動機では、回転子の導体に用いる棒の材料を銅から銅合金に変更すれば、等価回路の二次抵抗の値が増大するので、定格負荷時の効率が低下する。

かご形誘導電動機の等価回路定数測定

 以下は、三相かご形誘導電動機の等価回路定数の測定に関する記述である。
 だたし、等価回路としては一次換算した一相分の簡易等価回路(L型等価回路)を対象とする。

(1)一次巻線の抵抗測定は静止状態において直流で行う。巻線抵抗値を換算するための基準巻線温度は絶縁材料の耐熱クラスによって定められており、75℃や115℃などの値が用いられる。

(2)一次巻線の抵抗測定では、電動機の一次巻線の各端子間で測定した測定値の平均値から、基準巻線温度における一次巻線の抵抗値を決められた数式を用いて計算する。

(3)無負荷試験では、電動機の一次巻線に定格周波数の定格一次電圧を印加して無負荷運転し、一次側において電圧[V]、電流[A]及び電力[W]を測定する。

(4)拘束試験では、電動機の回転子を回転しないように拘束して、一次巻線に定格周波数の低電圧を加えて、全負荷電流に近い電流を流し、一次側において端子電圧[V]、電流[A]及び電力[W]を測定する。

(5)励磁回路のサセプタンスは無負荷試験により、一次二次の合成漏れリアクタンスと二次抵抗は拘束試験により求められる。

三相誘導電動機のトルク

電動機のトルクT[N・m]、角速度ω[rad/s]、回転速度n[rpm]とすれば、出力Po[W]は次式となる。

$$P_{o}=ωT= \frac{2 \pi n}{60} T [W]$$

つまり$$T= \frac{60}{2 \pi n} P_{o} [W]$$

Po=(1-s)P2、n=ns(1-s)を代入すると

$$P_{2}= \frac{2 \pi n_s}{60} T [W]$$

\(P_{o}= \frac{2 \pi n}{60} T[W]\)はトルクT[N・m]を発生して回転速度n[rpm]で回転しているときの電力をあらわす。

これに対して、\(P_{2}= \frac{2 \pi n_s}{60} T[W]\)は同じトルクT[N・m]の負荷で、同期速度ns[rpm]で回転しているときの出力電力をあらわしている。これを同期ワットと呼ぶ。

誘導電動機のトルクT[N・m]は、同期ワットP2[W]に比例するので、トルクをあらわすときは出力Po[W]よりも、同期ワットP2[W]で表すことが多い。このときのトルクと同期ワットの関係は次式となる。

$$T= \frac{60}{2 \pi n_s} P_{2}=KP_2 [W]$$

トルク対速度曲線

電動機と負荷の特性を、回転速度を横軸、トルクを縦軸に描く、トルク対速度曲線で考える。電動機と負荷の二つの曲線が、どのように交わるかを見ると、その回転数における運転が、安定か不安定かを判定することができる。

(1)負荷トルクよりも電動機トルクが大きいと回転は加速し、反対に電動機トルクよりも負荷トルクが大きと回転は減速する。回転速度一定の運転を続けるには、負荷と電動機のトルクが一致する安定な動作点が必要である。

(2)巻線型誘導電動機では、回転速度の上昇とともにトルクが減少するように、二次抵抗を大きくし、大きな始動トルクを発生させることができる。この電動機に回転速度の上昇とともにトルクが増える負荷を接続すると、両曲線の交点が安定な動作点となる。

(3)電源電圧を一定に保った直流分巻電動機は、回転速度の上昇とともにトルクが減少する。一方、送風機のトルクは、回転速度の上昇とともにトルクが増大する。したがって、直流分巻電動機は安定に送風機を駆動することができる。

(4)かご形誘導電動機は、回転トルクが小さい時点から回転速度を上昇させるとともにトルクが増大、最大トルクを超えるとトルクが減少する。
この電動機に回転速度でトルクが変化しない定トルク負荷を接続すると、電動機と負荷のトルク曲線が2点で交わる場合がある。
この場合、速度上昇とともにトルクが減少する領域で負荷トルクが交わる点が安定な動作点である。速度上昇とともにトルクが増大する領域で負荷トルクが交わる点は不安定な動作点である。

(5)かご形誘導電動機は、最大トルクの速度より高速な領域では回転速度の上昇とともにトルクが減少する。一方、送風機のトルクは、回転速度の上昇とともにトルクが増大する。したがって、かご形誘導電動機は、安定に送風機を駆動することができる。

トルクの比例推移

二次巻線抵抗r2’[Ω]において滑りsであるとき、負荷トルクが一定であれば、二次巻線抵抗r2’[Ω]を2倍とすれば、滑りsも2倍となる。r2’[Ω]を3倍とすれば、滑りsも3倍となる。

トルクTが一定であれば、すべりsは常にr2’[Ω]に比例して推移するので、この変化を比例推移という。

トルクに関する問題

 三相誘導電動機の速度制御としてPWMインバータを用いたV/f一定制御が広く用いられている。ここで、Vは電動機の端子電圧、fは端子電圧の周波数である。V/f一定制御されている誘導電動機の定常状態のトルク特性が、端子電圧の周波数\(f_1,f_2\)に対し、図のように与えられている。また、負荷のトルク特性は回転数Nに関わらず\(T_L\)一定で図のように与えられている。このとき、電動機の回転数はそれぞれ、\(N_1,N_2\)である。今、この電動機が\(f_2\)にて運転中で、回転数が\(N_2\)のときに、周波数\(f_1\)に切り換え、\(N_1\)まで減速して、点Aで負荷トルクと電動機トルクがつりあう。
 \(N_2\)からの減速過程のうち、\(N_0<N<N_2\)では電動機は発電機動作をするので、電動機は負のトルクを発生する。これにより減速する回転系としては、軸受の摩擦などを無視すると、この発電機動作のトルクと負荷トルクの合成が減速トルクとなる。
 続いて、\(N=N_0\)まで減速すると、このとき、電動機は同期速度で運転しているので、負荷トルクのみが減速トルクとなる。
さらに減速して、\(N_1<N<N_0\)となると、電動機は電動機動作をするので、
正のトルクを発生する。この区間では電動機の発生トルクは負荷トルクより小さいので、負荷トルクから電動機トルクを差し引いた差が減速トルクとして働く。

巻線形誘導電動機

巻線形誘導電動機では、外部の可変抵抗器で二次抵抗値を変化させ、大きな始動トルクと定格負荷時高効率の両方を実現することができる。始動電流を制限する効果もあり、回転速度が上昇するに従って抵抗値を減少させる。

巻線形誘導電動機では、トルクの比例推移により、二次抵抗の値を大きくすると、最大トルク(停動トルク)を発生する滑りが大きくなり、始動特性が良くなる。二次抵抗値を大きくとることで、低速起動時のトルク特性が改善するため、起重機クレーンなどの用途に用いられる。

 巻線形誘導電動機では、回転子溝に巻線を納め、その巻線をスリップリングとブラシを介して外部抵抗回路に接続し、二次電流を変化させて特性制御を行う。

かご形誘導電動機

 かご形誘導電動機では、回転子溝に導体棒を納め、短絡環に導体棒を接続する。

特殊かご形誘導機

かご形誘導機の始動特性の特徴として始動電流が大きい割に始動トルクが小さいことがあげられる。始動特性を改良するために二次周波数の変化に対する二次抵抗の変化を利用したのが特殊かご形誘導機である。

二重かご形誘導電動機

二重かご形誘導機の回転子は、二つのかご形導体を有している。回転子表面に近い外側導体は断面積が小さく、抵抗値が大きい。軸に近い内側導体は断面積が大きく、抵抗値が小さい。始動時の二次周波数が高い間は、内側導体が構成する二次回路の漏れインダクタンスが大きいため、二次回路を流れる電流の大部分は外側導体を流れる。そのため、二次抵抗の高い誘導機として始動され、大きな始動トルクを得ることができる。二次周波数の低下に伴い、二次電流の大部分は抵抗の低い内側導体に流れる。

このような二次抵抗の変化を利用し、大きな始動トルクと定格負荷時高効率の両方を実現することができる。

深みぞかご形誘導電動機

深みぞかご形誘導機の回転子には半径方向に長く、幅が狭い平たい二次導体を用いている。始動時の二次周波数が高い間は、二次電流は表皮効果により導体の回転子表面近くに集中し二次抵抗は高くなる。二次周波数の低下に伴い、二次電流が導体の軸に近い部分まで広がるので、二次抵抗は低くなる。

この抵抗値の変化を利用し、大きな始動トルクと定格負荷時高効率の両方を実現することができる。

YーΔ始動法

 Δ結線の一次巻線をY結線に接続を変えて電源電圧を加え始動電流を制限する。回転速度が上昇するとΔ結線に戻す。

誘導電動機の速度制御

 誘導電動機の速度を自由に、かつ広範囲に制御できれば、回転機の可変速制御を必要とする分野で広く応用できる。ここに誘導電動機の同期角速度を\(\omega_{s},極数を2p,\)滑りをs,電源周波数をfとすると、回転角速度\(\omega_{m}\)は、次式のように表現される。
\(\omega_m=\omega_s(1-s)=\displaystyle\frac{2\pi f}{p}(1-s)\) …①
①式より、極数、滑りあるいは周波数のいずれかを変化できれば、誘導電動機の速度は制御できることになる。
極数を変化させる方法はあらかじめ極数が変更できるように巻線の接続法を工夫しておき、必要に応じてスイッチで切り換えることにより変える方法であるが、段階的な制御であり連続した可変速を必要とする用途には不向きである。
滑りを変化させる方式では、誘導電動機の発生トルクが入力電圧の
2乗に比例することを利用する一次電圧制御法がある。
本方式は滑りの増加とともに電動機の効率が悪化するので、電動機の効率を重視する用途には不向きである。
周波数を連続的に制御する方式は、近年の自励式インバータ電源(電力変換器)による駆動が可能となったことにより広く採用されるようになった。例えばオープンループ制御のインバータ電源による駆動ではV/f一定制御が行われ、電動機の
磁束が飽和しないようにしている。さらに精密な回転機の制御が求められる時には、ベクトル制御による高精度制御が行われる。

単相誘導電動機

 三相交流を三相巻線に流すと回転磁界が発生する。この磁界で運転される誘導電動機を三相誘導電動機という。一方、単相交流では交番磁界が発生する。この交番磁界は、正逆両方向の回転磁界が合成されたものと説明される。したがって、コンデンサ始動形単相誘導電動機では、コンデンサで位相を進めた電流を始動巻線に短時間流すことによって始動トルクの発生と回転方向の決定が行われる。

交流整流子モータ

交流整流子モータは、直流直巻電動機に類似した構造となっていて、加える電圧の極性を逆にしても、磁束と電機子電流の向きが共に逆になるので、トルクの向きは変わらない。つまり交流電源を加えても、回転の向きは変化しない。
交流整流子モータは、一般に始動トルクが大きく、回転速度が高速なので、電気ドリル、電気掃除機、小型ミキサなどのモータとして用いられている。なお、小容量のものでは、交流と直流の両方に使用できるものもあり、ユニバーサルモータと呼ばれる。

二重給電誘導電動機

 図示されるように、二重給電誘導機は一次巻線が商用周波数の電源に接続され、二次巻線にはスリップリングを介して電力変換装置によって交流二次電流が供給される。電力変換装置は専用の変圧器を介して二重給電誘導機の一次側と同じ電源に接続される。回転速度の変化に応じて電力変換装置が常に滑り周波数をもつ交流二次電流を供給することで、二重給電誘導機は電源側との同期運転を行うことができる。
 電力変換装置により二次電流の大きさと周波数を制御することによって、電力変換装置と二次巻線との間で双方向に交流電力を制御することが可能である。静止セルビウス方式と比較して同期速度以上}\)での運転が可能なため、この方式は超同期セルビウス方式と呼ばれる。
 電力変換装置としてはサイクロコンバータが一般的であるが、交流間接変換装置も適用される。電力分野への代表的な適用例として、可変速揚水発電システムやエネルギー変換効率向上を意図した可変速風力発電システムなどがある。