誘導電動機の学習帳
直流電動機
分巻電動機の特性
負荷に関係なく、回転速度が一定な、定速度電動機である。
上図において、端子電圧V[V]、界磁抵抗Rf[Ω]を一定にすれば、界磁磁束Φ[Wb]は一定であって、電機子の回転速度n[rpm]は次式で表される。
$$n= \frac{V-R_{a}I_{a}}{KΦ}$$
直流電動機の効率
端子電圧V[V]で、負荷電流I[A]が流れると、直流電動機にはPi=VI[W]の電力が供給される。電動機の機械的出力をPo[W]、損失をPl[W]とすると、効率η[%]は次式で与えられる。
$$η= \frac{P_o}{P_i} \times100= \frac{P_i-P_l}{P_i} \times100 [%]$$
誘導電動機
三相誘導電動機の回転原理
広く知られている、アラゴの円板を例に回転原理を説明する。下図のようなアルミニウムの円板に回転軸を取り付けたものに、磁石を円板に触れないように近づける。この磁石を矢印の向きに動かすと、円板も磁石と同じ向きに力を受ける。したがって、円板の軸は、磁石の移動する向きと同じ方向へ回転する。

実際の電動機では、磁石を回転させたのと同じ効果があるように工夫がされている。
2極の回転磁界
三相交流の回転磁界を作るには、下図のように3つのコイル(赤色のaコイル、緑色のbコイル、青色のcコイル)を互いに120°ずつずらして配置し、それぞれのコイルに三相交流を流す。

上図のように、三相交流電源を接続して電流を流したとすると、右ねじの法則に従ってコイルに流れる電流による磁束が発生する。これらの磁束は、図中にしめすような合成磁束となり、N極とS極が存在していると考えてよい。連続的に三相交流を流し続けることによりこの合成磁束は回転していき、磁石を回転させているのと同じ効果となる。(図をクリックすると合成磁束の回転変化が見れます)
このような合成磁束の回転速度を、同期回転速度ns[min-1]という。
三相誘導電動機の同期回転速度
三相誘導電動機の同期回転速度ns[min-1]は、電源の周波数をf[Hz]、極数をpとすると次式で与えられる。
$$n_s= \frac{120f}{p} [min^{-1}]$$
三相誘導電動機の滑り
誘導電動機の同期回転速度ns[min-1]と回転子速度n[min-1]が同じであると、回転子に対して磁束は動いていないことになる。つまり、誘導電動機を回転させるためのトルクも生じない。実際の誘導電動機では同期回転速度ns[min-1]よりも回転子の回転速度n[min-1]は遅くなる。nsに対するnsとnの差は滑りとよばれsで表される。
$$s= \frac{同期速度-回転速度}{同期速度}= \frac{n_s-n}{n_s}$$
三相誘導電動機の回転数
すべりをsとすると、電動機の回転速度n[min-1]は、
$$n=n_s(1-s)= \frac{120f}{p}(1-s) [min^{-1}]$$
電動機の速度(すべり)に関する問題
三相誘導電動機の簡易等価回路
一次負荷電流I1‘=I2/α(二次電流I2、一次巻線と二次巻線の巻数比α)
二次銅損 $$P_{c2}=I_1’^2 r_2’=sP_2 [W]$$
二次入力 $$P_{2}=P_{c2}+P_{o}= \frac{P_o}{1-s}=I_1’^2 \frac{r_2′}{s} [W]$$
出力 $$P_{o}=I_1’^2 R’=I_1’^2 \left( \frac{1-s}{s} \right) r_2’=(1-s)P_{2} [W]$$
二次入力P2と出力Po及び二次銅損Pc2の比は次の関係となる。
$$P_{2}:P_{o}:P_{c2}=P_{2}:(1-s)P_{2}:sP_2=1:(1-s):s$$
三相誘導電動機のトルク
電動機のトルクT[N・m]、角速度ω[rad/s]、回転速度n[rpm]とすれば、出力Po[W]は次式となる。
$$P_{o}=ωT= \frac{2 \pi n}{60} T [W]$$
つまり$$T= \frac{60}{2 \pi n} P_{o} [W]$$
Po=(1-s)P2、n=ns(1-s)を代入すると
$$P_{2}= \frac{2 \pi n_s}{60} T [W]$$
\(P_{o}= \frac{2 \pi n}{60} T[W]\)はトルクT[N・m]を発生して回転速度n[rpm]で回転しているときの電力をあらわす。
これに対して、\(P_{2}= \frac{2 \pi n_s}{60} T[W]\)は同じトルクT[N・m]の負荷で、同期速度ns[rpm]で回転しているときの出力電力をあらわしている。これを同期ワットと呼ぶ。
誘導電動機のトルクT[N・m]は、同期ワットP2[W]に比例するので、トルクをあらわすときは出力Po[W]よりも、同期ワットP2[W]で表すことが多い。このときのトルクと同期ワットの関係は次式となる。
$$T= \frac{60}{2 \pi n_s} P_{2}=KP_2 [W]$$
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