// google adsence用 電験2種過去問【2021年理論 問2】 | 電気主任技術者のいろは

電験2種過去問【2021年理論 問2】

2022年4月24日

【電磁気】強磁性体の磁気特性(ヒステリシスループ)《空所問題》

 次の文章は、強磁性体の磁気特性に関する記述である。文中の\(\fbox{空所欄}\)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。なお、ここでは、強磁性体に流れる渦電流は無視する。
 強磁性体に一様な交番磁界を印加すると、強磁性体内の磁束密度B[T]は磁界H[A/m]に比例せず、定常状態において図に示すような\(\fbox{(1)}\)の軌跡を描く。これをヒステリシスループと呼ぶ。図中のBr[T]とHc[A/m]は、それぞれ\(\fbox{(2)}\)と保磁力と呼ばれる。強磁性体を永久磁石として用いる場合、\(\fbox{(3)}\)材料が望ましい。
 この特性により生じる損失をヒステリシス損と呼び、それは印加する交番磁界の\(\fbox{(4)}\)に比例する。ヒステリシスループで囲まれた部分の面積S[J/m3]は、交番磁界1周期における強磁性体内で消費される単位体積当たりのエネルギーを表す。ここで、体積1.5×10-33の強磁性体に60Hzの一様な交番磁界を与えたところ、S=5.0×102J/m3であったとする。このときのヒステリシス損は\(\fbox{(5)}\)Wである。

[問2の解答群]

(イ)\(\displaystyle \text{減磁力}\) (ロ)\(\displaystyle \text{時計回り}\) (ハ)\(\displaystyle \text{反時計周り}\)

(ニ)\(\displaystyle B_r\text{が大きく}H_c\text{が小さい}\) (ホ)\(\displaystyle90\) (ヘ)\(\displaystyle \text{周波数の2乗}\)

(ト)\( \displaystyle \text{最大磁束密度}\) (チ)\( \displaystyle\text{周波数}\) (リ)\( \displaystyle 6\)

(ヌ)\(\displaystyle B_r\text{と}H_c\text{の両方が大きい}\) (ル)\( \displaystyle 0.75\) (ヲ)\( \displaystyle \text{周波数の1.6乗}\)

(ワ)\(\displaystyle B_r\text{が小さく}H_c\text{が大きい}\) (カ)\( \displaystyle 45\) (ヨ)\( \displaystyle 残留磁束密度\)

解答と解説はこちら

解答

(1):(ハ)
(2):(ヨ)
(3):(ヌ)
(4):(チ)
(5):(カ)

解説

 強磁性体に一様な交番磁界を印加すると、強磁性体内の磁束密度B[T]は磁界H[A/m]に比例せず、定常状態において図に示すような\(\fbox{時計回り}\)の軌跡を描く。これをヒステリシスループと呼ぶ。図中のBr[T]とHc[A/m]は、それぞれ\(\fbox{残留磁束密度}\)と保磁力と呼ばれる。強磁性体を永久磁石として用いる場合、\(\fbox{Br[T]とHc[A/m]の両方が大きい}\)材料が望ましい。
 この特性により生じる損失をヒステリシス損と呼び、それは印加する交番磁界の\(\fbox{周波数}\)に比例する。ヒステリシスループで囲まれた部分の面積S[J/m3]は、交番磁界1周期における強磁性体内で消費される単位体積当たりのエネルギーを表す。ここで、体積1.5×10-33の強磁性体に60Hzの一様な交番磁界を与えたところ、S=5.0×102J/m3であったとする。このときのヒステリシス損は\(\fbox{45}\)Wである。

(5)全体積における交番磁界1周期のヒステリシス損Wh[J]は

\(\displaystyle W_h=1.5\times10^{-3}\times5.0\times10^2=0.75\text{[J]}\)

60Hzにおけるヒステリシス損Ph[W]は、1秒間に交番磁界60周期であるため

\(\displaystyle P_h=0.75\times60=45\text{[J/s]}=45\text{[W]}\)