電験3種過去問【2021年理論 問7】
2022年4月24日
【電気回路】可変抵抗で消費される最大電力《計算問題》
図のように、起電力E[V]、内部抵抗r[Ω]の電池n個と可変抵抗R[Ω]を直列に接続した回路がある。この回路において、可変抵抗R[Ω]で消費される電力が最大になるようにその値[Ω]を調整した。このとき、回路に流れる電流Iの値[A]を表す式として、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) \(\displaystyle \frac{E}{r}\)
(2) \(\displaystyle \frac{nE}{(\frac{1}{n}+n)r}\)
(3) \(\displaystyle \frac{nE}{(1+n)r}\)
(4) \(\displaystyle \frac{E}{2r}\)
(5) \(\displaystyle \frac{nE}{r}\)
(4) 回路に流れる電流I[A]は \(\displaystyle I=\frac{nE}{R+nr}\text{[A]}\) 可変抵抗R[Ω]で消費される電力P[W]は \(\displaystyle P=I^2R=\left(\frac{nE}{R+nr}\right)^2R\) \(\displaystyle =\frac{R(nE)^2}{(R+nr)^2}\) \(\displaystyle =\frac{R(nE)^2}{R^2+2Rnr+(nr)^2}\) \(\displaystyle =\frac{(nE)^2}{R+2nr+\frac{(nr)^2}{R}}\) 上式の分母が最小になるとき、P[W]は最大となる。 つまり、分母をRの変数となる関数f(R)とおくと、 関数f(R)が最小になるとき、P[W]は最大となる。 \(\displaystyle f(R)=R+2nr+\frac{(nr)^2}{R}\) \(\displaystyle R=(\sqrt{R})^2\)として変形すると、 \(\displaystyle f(R)=(\sqrt{R})^2+2nr+\left(\frac{nr}{\sqrt{R}}\right)^2\) \(\displaystyle (a-b)^2\)の形となる数式に変形すると、 \(\displaystyle f(R)=\left(\sqrt{R}-\frac{nr}{\sqrt{R}}\right)^2+4nr\) \(\displaystyle \left(\sqrt{R}-\frac{nr}{\sqrt{R}}\right)^2=0\)となるとき、関数f(R)が最小になるので \(\displaystyle \sqrt{R}-\frac{nr}{\sqrt{R}}=0\)で、関数f(R)は最小となる。つまり \(\displaystyle \sqrt{R}=\frac{nr}{\sqrt{R}}\) \(\displaystyle R=nr\) ★相加相乗平均比較法で\(\displaystyle f(R)=R+2nr+\frac{(nr)^2}{R}\)が最小となる条件を求める a>0,b>0では相加平均\(\displaystyle \frac{a+b}{2}\)は、相乗平均\(\displaystyle \sqrt{ab}\)より常に大きく、 \(\displaystyle \frac{a+b}{2}≧\sqrt{ab}\) \(\displaystyle a+b≧2\sqrt{ab}\) 等号はa=bのときに成り立つ。 つまり、変数f(X)=a+bは\(\displaystyle a=X,b=\frac{1}{X}\)の形をとれば a=bのときに、つまり、\(\displaystyle X=\frac{1}{X}\)のときにf(X)は最小値となる。 ここで、\(\displaystyle R+\frac{(nr)^2}{R}\)が最小であれば、f(R)は最小であるので、 \(\displaystyle R=\frac{(nr)^2}{R}\)のときに、f(R)は最小となる。つまり \(\displaystyle R^2=(nr)^2\) \(\displaystyle R=nr\) ★微分法で\(\displaystyle f(R)=R+2nr+\frac{(nr)^2}{R}\)が最小となる条件を求める 関数f(R)は\(\displaystyle R\)と\(\displaystyle \frac{1}{R}\)の合成であるので、 R>0では、Rが大きくなるにつれて、 f(R)は∞から最小値へ向かい、最小値からRに比例する関数に近づくように増加する。 関数f(R)を微分すると \(\displaystyle f'(R)=1-\frac{(nr)^2}{R^2}\) 関数f’(R)=0は、f(R)の傾きが0となる点、すなわち最小値を示すので \(\displaystyle f'(R)=1-\frac{(nr)^2}{R^2}=0\) \(\displaystyle \frac{(nr)^2}{R^2}=1\) \(\displaystyle R^2=(nr)^2\) \(\displaystyle R=nr\) つまり、R=nr[Ω]のとき、消費電力P[W]は最大となる。このときの電流I[A]は \(\displaystyle I=\frac{nE}{R+nr}\text{[A]}\) 上式に、R=nr[Ω]を代入して \(\displaystyle I=\frac{nE}{nr+nr}=\frac{nE}{2nr}=\frac{E}{2r}\text{[A]}\)解答
解説
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