電験３種過去問【2022年(下期)機械問16】

2023年4月3日2024年1月16日

【パワエレ】IGBTを用いた単相ブリッジ接続電圧形インバータ《計算問題》

　図１は、IGBTを用いた単相ブリッジ接続の電圧形インバータを示す。直流電圧E_d [V]は、一定値と見なせる。出力端子には、インダクタンスL [H]で抵抗R [Ω]の誘導性負荷が接続されている。この電圧形インバータの出力電圧v₀ 、出力電流i₀ が図2のようになった。インバータの動作モードを図2に示す①～④として本モードは周期T [s]で繰り返されるものとする。なお、上下スイッチの短絡を防ぐデッドタイムは考慮しない。
次の(a)及び(b)の問に答えよ。

(a)　図2に示した区間①～④において電流が流れているデバイスの組合せとして正しいものを次の（１）～（５）のうちから一つ選べ。

\(\small{\begin{array}{cccc} &➀&➁&➂&➃&\\ \hline(1)&D_2-D_3&Q_2-Q_3&D_1-D_4&Q_1-Q_4\\ \hline(2)&D_1-D_4&Q_1-Q_4&D_2-D_3&Q_2-Q_3\\ \hline(3)&Q_1-Q_4&Q_1-Q_4&Q_2-Q_3&Q_2-Q_3\\ \hline(4)&Q_1-D_3&Q_1-Q_4&Q_2-D_4&Q_2-Q_3\\ \hline(5)&Q_2-Q_3&Q_2-Q_3&Q_1-Q_4&Q_1-Q_4\\ \hline\end{array}}\)

(b)　電源電圧E_d が 100V 、インダクタンス L を 2mH とし、抵抗 R を 1 Ω とすると、区間①②の電流は -I_q [A] から I_q [A] まで時定数τ [s] で増加する。τ に最も近い値を次の（１）～（５）のうちから一つ選べ。

(1) 0.001　
(2) 0.002　
(3) 0.0032　
(4) 0.0063　
(5) 0.02

解答と解説はこちら

解答

（a）:（2）が正しい。
（b）:（2）が正しい。

解説

(a)　電流が流れるデバイスの組合せは、
➀の区間では、Q₁-Q₄ のIGBT素子が導通するが、➀より前の区間（区間➃に相当する）でインダクタンスに蓄えられたエネルギーにより、前の区間で流れていた（区間➃に相当する）電流が流れ続ける。従って、D₁-D₄ のダイオードに電流が流れる。
➁の区間では、Q₁-Q₄ のIGBT素子が導通しており、これらの素子に電流が流れる。
➂の区間では、Q₂-Q₃ のIGBT素子が導通するが、前の➁区間中でインダクタンスに蓄えられたエネルギーにより、➁の区間で流れていた電流が流れ続ける。従って、D₂-D₃ のダイオードに電流が流れる。
➃の区間では、Q₂-Q₃ のIGBT素子が導通しており、これらの素子に電流が流れる。

(b)　RL直列回路の過渡現象を考える。

RL直列回路へ、時刻t=0[s]から、直流電源V[V]を与えるとき回路に流れる電流i(t)[A]は、
\(\displaystyle i(t)=\frac{V}{R}(1-e^{-\frac{R}{L}t})\text{[A]}\)
過渡電流の時間変化の指標となる時定数τは、指数(e)係数の逆数であるので
\(\displaystyle τ=\frac{L}{R}\text{[s]}\)
で与えられる。

求める時定数τ[s]は
\(\displaystyle τ=\frac{L}{R}\)
\(\displaystyle 　=\frac{0.002}{1}\)
\(\displaystyle 　=0.002\text{[s]}\)

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