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電験3種過去問【2015年電力 問15】

2024年11月20日

【発電機一般】ガバナフリー運転時の系統周波数と発電機出力変化《計算問題》

 定格出力1000MW,速度調定率5%のタービン発電機と,定格出力300MW,速度調定率3%の水車発電機が周波数調整用に電力系統に接続されており,タービン発電機は80%出力,水車発電機は60%出力をとって, 定格周波数 (60Hz) にてガバナフリー運転を行っている。
 系統の負荷が急変したため,タービン発電機と水車発電機は速度調定率に従って出力を変化させた。次の (a) 及び (b) の問に答えよ。
 ただし,このガバナフリー運転におけるガバナ特性は直線とし,次式で表される速度調定率に従うものとする。また,この系統内で周波数調整を行っている発電機はこの2台のみとする。

速度調停率\displaystyle=\frac{\frac{n_2-n_1}{n_n}}{\frac{P_1-P_2}{P_n}}×100 [%]

\small{\begin{array}{cc} P_1:初期出力[MW]    &n_1:出力P_1における回転速度[min^{-1}]    \\ P_2:変化後の出力[MW]  &n_2:変化後の出力P_2における回転速度[min^{-1}]\\ P_n:定格出力[MW]    &n_n:定格回転速度[min^{-1}]          \\ \end{array}}

(a)出力を変化させ、安定した後のタービン発電機の出力は 900 MW となった。
 このときの系統周波数の値 [Hz] として、最も近いものを次の (1) ~ (5) のうちから一つ選べ。

(1)59.5
(2)59.7
(3)60
(4)60.3
(5)60.5

(b)出力を変化させ、安定した後の水車発電機の出力の値 [MW] として、最も近いものを次の (1) ~ (5) のうちから一つ選べ。

(1)130
(2)150
(3)180
(4)210
(5)230

解答と解説はこちら

解答

(a):(2)
(b):(5)

解説

電験3種過去問【2023年(下期)電力 問2】にほぼ同様の改変出題があります。

(a)出力を変化させ、安定した後のタービン発電機の出力は 900 MW となった。このときの系統周波数の値 [Hz] を求める。

 タービン発電機の定格出力Pnは、
 Pn=1000 [MW]
 また、タービン発電機の定格回転速度nnは、
 nn=\frac{120f_n}{p} [min⁻¹]

 出力変化前のタービン発電機の出力P₁は、80%出力なので、
 P₁=0.8×1000=800 [MW]
 また、出力変化前のタービン発電機の回転速度n₁は、
 n₁=\frac{120f_1}{p} [min⁻¹]

 出力変化後のタービン発電機の出力P₂は、
 P₂=900 [MW]
 また、出力変化後のタービン発電機の回転速度n₂は、
 n₂=\frac{120f_2}{p} [min⁻¹]

 ここで、fnは定格回転速度での周波数、f₁は変化前の回転速度での周波数、f₂は変化後の回転速度での周波数とする。

速度調停率\displaystyle=\frac{\frac{n_2-n_1}{n_n}}{\frac{P_1-P_2}{P_n}}×100 [%]

 タービン発電機の速度調停率 5% と、各数値を上式に代入する。出力変化前のタービン発電機は定格回転数で回転しているので、fn=f₁=60 であるので、

速度調停率\displaystyle=\frac{\frac{f_2-f_1}{f_n}}{\frac{P_1-P_2}{P_n}}×100 [%]

\displaystyle 5=\frac{\frac{f_2-60}{60}}{\frac{800-900}{1000}}×100 [%]

 これを計算すると、安定した後の系統周波数の値はf₂=59.7 [Hz]となる。

(b)出力を変化させ、安定した後の水車発電機の出力の値 [MW] を求める。
 (a)で、安定した後の系統周波数の値はf₂=59.7 [Hz]であったので、下式に各数値を代入する。

速度調停率\displaystyle=\frac{\frac{f_2-f_1}{f_n}}{\frac{P_1-P_2}{P_n}}×100 [%]

 水車発電機の定格出力Pnは、
 Pn=300 [MW]
 出力変化前の水車発電機の出力P₁は、60%出力なので、
 P₁=0.6×300=180 [MW]
 また、出力変化前の水車発電機の周波数f₁は、
 f₁=60 [Hz]

\displaystyle 3=\frac{\frac{59.7-60}{60}}{\frac{180-P_2}{300}}×100 [%]

 これを計算すると、水車発電機の出力P₂= 230[MW] となる。

追加学習は発電機一般の学習帳

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