// google adsence用 電験2種過去問【2019年理論 問5】 | 電気主任技術者のいろは

電験2種過去問【2019年理論 問5】

2022年7月10日

【電磁気】無限長導体に流れる電流が作る磁界《空所問題》

 次の文章は、電流が作る磁界に関する記述である。文中の\(\fbox{空所欄}\)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。  
 x、y、z軸の直交座標系で表される真空中に、図のようにz軸を中心軸とした半径aの無限長円柱導体が存在している。導体中にはz軸の正の方向に電流が流れており、電流密度i(>0)は場所によらず一定とする。なお、導体の透磁率は真空と同じ\(\mu_0\)とする。
 z軸を中心とした半径\(r=\sqrt{x^2+y^2}\)の円断面中を流れる電流は、導体内部(r≦a)では
\(\fbox{(1)}\) となるので、アンペアの周回積分の法則を用いてz軸から距離rの地点における磁束密度の大きさを求めることができる。導体内部(r≦a)の磁束密度の大きさ\(B_{in}\)は、
 \(B_{in}=\fbox{(2)}\)
導体外部の真空中(r>a)の磁束密度の大きさ\(B_{out}\)は、
 \(B_{out}=\fbox{(3)}\)
となるので、磁束密度の大きさはr=aにおいて、最大値
 \(B_{max}=\fbox{(4)}\)
をとる。磁界は電流を取り巻くようにできることを考慮すると、磁束密度のy方向成分\(B_y\)のx軸に沿った分布の概形は
\(\fbox{(5)}\)のようになる。

[問5の解答群]

\(\small{\begin{array}{ccc}
(イ)&\displaystyle\frac{\mu_0ri}{2}&(ロ)&\displaystyle\frac{\mu_0r^3i}{2a}&(ハ)&\displaystyle\frac{\mu_0i}{2a}\\
(ニ)&\displaystyle\frac{\mu_0a^2i}{2r}&(ホ)&2\pi ri&(ヘ)&\displaystyle\frac{\mu_0i}{2r}\\
(ト)&\pi r^2i&(チ)&\displaystyle\frac{\mu_0ri}{2a^2}&(リ)&\displaystyle\frac{\pi r^3i}{4}\\
(ヌ)&\displaystyle\frac{\mu_0ai}{2}&(ル)&\displaystyle\frac{\mu_0r^2i}{2}&(ヲ)&\displaystyle\frac{\mu_0a^2i}{2}\\
\end{array}}\)

解答と解説はこちら

解答

\(\small{\begin{array}{cc}
\hline(1)&(ト)&\pi r^2i\\
\hline(2)&(イ)&\displaystyle\frac{\mu_0ri}{2}\\
\hline(3)&(ニ)&\displaystyle\frac{\mu_0a^2i}{2r}\\
\hline(4)&(ヌ)&\displaystyle\frac{\mu_0ai}{2}\\
\hline(5)&(カ)&\\
\hline\end{array}}\)

解説

 x、y、z軸の直交座標系で表される真空中に、図のようにz軸を中心軸とした半径aの無限長円柱導体が存在している。導体中にはz軸の正の方向に電流が流れており、電流密度i(>0)は場所によらず一定とする。なお、導体の透磁率は真空と同じ\(\mu_0\)とする。
 z軸を中心とした半径\(r=\sqrt{x^2+y^2}\)の円断面中を流れる電流は、導体内部(r≦a)では
\((ト)\pi r^2i\) となるので、アンペアの周回積分の法則を用いてz軸から距離rの地点における磁束密度の大きさを求めることができる。導体内部(r≦a)の磁束密度の大きさ\(B_{in}\)は、

電流I[A]が流れる無限長導体がr[m]離れた点につくる磁界H[A/m]は

\(\displaystyle H=\frac{I}{2\pi r}\)であるので、

\(\displaystyle H=\frac{\pi r^2i}{2\pi r}=\frac{ri}{2}\)

磁束密度\(B=\mu H\)であるので、

 \(B_{in}=(イ)\displaystyle\frac{\mu_0ri}{2}\)

導体外部の真空中(r>a)の磁束密度の大きさ\(B_{out}\)は、

導体に流れる電流\(I=\pi a^2i\)であるので、

\(\displaystyle H=\frac{I}{2\pi r}=\frac{\pi a^2i}{2\pi r}=\frac{a^2i}{2r}\)

 \(B_{out}=(ニ)\displaystyle\frac{\mu_0a^2i}{2r}\)
となるので、磁束密度の大きさはr=aにおいて、最大値
 \(B_{max}=(ヌ)\displaystyle\frac{\mu_0ai}{2}\)
をとる。磁界は電流を取り巻くようにできることを考慮すると、磁束密度のy方向成分\(B_y\)のx軸に沿った分布の概形は、

右ねじの法則より、x軸上の正方向ではy軸正方向に\(B_y\)が、x軸上の負方向ではy軸負方向に\(B_y\)が生じ、\(\fbox{(カ)}\)のようになる。