電験３種過去問【2016年電力問6】

2016年9月3日2025年6月5日

【変電所】並行運転する変圧器の過負荷率計算《計算問題》

　一次側定格電圧と二次側定格電圧がそれぞれ等しい変圧器 A と変圧器 B がある。変圧器 A は，定格容量 S_A=5 000 kV・A，パーセントインピーダンス %Z_A=9.0 % (自己容量ベース) ，変圧器 B は，定格容量 S_B=1 500 kV・A，パーセントインピーダンス %Z_B=7.5 % (自己容量ベース) である。この変圧器 2 台を並行運転し，6 000 kV・A の負荷に供給する場合，過負荷となる変圧器とその変圧器の過負荷運転状態 [%] (当該変圧器が負担する負荷の大きさをその定格容量に対する百分率で表した値) の組合せとして，正しいものを次の(1)～(5)のうちから一つ選べ。

\(\small{\begin{array}{cccc} &過負荷となる変圧器&過負荷運転状態[％]\\ \hline(1)&変圧器A&101.5\\ \hline(2)&変圧器B&105.9\\ \hline(3)&変圧器A&118.2\\ \hline(4)&変圧器B&137.5\\ \hline(5)&変圧器A&173.5\\ \hline\end{array}}\)

「出典：平成28年度第三種電気主任技術者試験（電力）」

解答と解説はこちら

解答

（2）が正しい。

解説

　変圧器の並行運転に関する計算です。類題も多いのでしっかり理解しておきましょう。

　それぞれの変圧器のパーセントインピーダンスを，簡単のため負荷基準の6 000 kV・A ベースに換算する。
　\(\%Z’_{A}=\%Z_A\times \frac{6000}{5000}=10.8\)[%]
　\(\%Z’_{B}=\%Z_B\times \frac{6000}{1500}=30\)[%]
単位法で表すと，負荷電流 1 p.u. が各変圧器に分流する。各変圧器を流れる電流の分担率はパーセントインピーダンスに反比例するので，変圧器 A に流れる電流 I_A [p.u.] および変圧器 B に流れる電流 I_B [p.u.] は
　\(I_{A}=1\times \frac{\%Z’_{B}}{\%Z’_{A}+\%Z’_{B}}\)
　　\(=\frac{30}{40.8}=0.735\)[p.u.]
　\(I_{B}=1\times \frac{\%Z’_{A}}{\%Z’_{A}+\%Z’_{B}}\)
　　\(=\frac{10.8}{40.8}=0.265\)[p.u.]
　以上より，変圧器 A が負担する負荷容量 S_AL および変圧器 B が負担する負荷容量 S_BL は
　\(S_{AL}=6000\times 0.735=4410\)[kVA]
　\(S_{BL}=6000\times 0.265=1590\)[kVA]
したがって，変圧器 A が負担する負荷容量 S_AL は定格容量 S_A=5 000 kV・A を超えていない。変圧器 B が負担する負荷容量 S_BL は定格容量 S_B=1 500 kV・A を超えており，その過負荷率は
　\(\frac{S_{BL}}{S_B}\times100\)
　\(=\frac{1590}{1500}\times100\)
　\(=106\)[%]