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電験3種過去問【2019年電力 問8】

2025年5月19日

【配電】三相短絡事故電流と過電流継電器動作時間の計算《計算問題》

 図 1 のように、定格電圧 66 kV の電源から三相変圧器を介して二次側に遮断器が接続された三相平衡系統がある。三相変圧器は定格容量 7.5 MV・A、変圧比 66kV/6.6kV 、百分率インピーダンスが自己容量基準で 9.5 % である。また、三相変圧器一次側から電源側をみた百分率インピーダンスは基準容量 10 MV・A で 1.9 % である。過電流継電器 (OCR) は変流比 1000 A/ 5 A の計器用変流器 (CT) の二次側に接続されており、整定タップ電流値 5 A、タイムレバー位置 1 に整定されている。図 1 の F 点で三相短絡事故が発生したとき、過電流継電器の動作時間 [s] として最も近いものを次の (1) ~ (5) のうちから一つ選べ。
 ただし、三相変圧器二次側から F 点までのインピーダンス及び負荷は無視する。また、過電流継電器の動作時間は図 2 の限時特性に従い、計器用変流器の磁気飽和は考慮しないものとする。

\(\small{\begin{array}{cccc} (1)0.29&(2)0.34&(3)0.38&(4)0.46&(5)0.56\\ \end{array}}\)


「出典:令和元年度第三種電気主任技術者試験(電力)」

解答と解説はこちら

解答

(3)が正しい。

解説

 三相短絡電流の導出を行ったうえで、変流器二次側での継電器整定値から、動作時間を読み取らなければなりません。実践的な知識を要求している問題です。

 三相変圧器は定格容量 7.5 MV・A で百分率インピーダンスが自己容量基準で 9.5 % である。変圧器の百分率インピーダンスを基準容量 10 MV・A 換算すると、
 \(9.5\times \frac{10}{7.5}=12.67\)[%]
三相変圧器一次側から電源側をみた百分率インピーダンスは基準容量 10 MV・A で 1.9 % である。したがって、図 1 の F 点から電源側をみた百分率インピーダンスの合計は、
 \(%Z=1.9+12.67=14.57\)[%]

  F 点で三相短絡事故が発生したとき、F 点に流れる電流を求めるために、まず基準電流 I [A]を求める。基準容量は 10 MV・A で基準電圧は F 点の定格電圧 6.6 kV とする。
 \(I=\frac{10}{\sqrt3\times6.6}=0.875\)[kA]
以上より、 F 点の三相短絡電流は
 \(I_s=\frac{I}{%Z}\times100\)
  \(=\frac{0.875}{14.57}\times100=6.01\)[kA]

 過電流継電器 (OCR) は変流比 1000 A/ 5 A の計器用変流器 (CT) の二次側に接続されているので、 F 点の三相短絡電流により OCR に流れる電流は、

\(I_{s2}=I_s\times\frac{5}{1000}\\ \ \ =6010\times\frac{5}{1000}\\ \ \ =30.05[A]\)

 OCR の整定タップ電流値 5 A に設定されているので、三相短絡電流により OCR に流れる整定タップ電流の倍数は、
 \(\frac{30.05}{5}=6.01\)

 過電流継電器の動作時間は図 2 の限時特性に従うので、整定タップ電流の倍数 6 での動作時間は約3.8秒と読み取れる。ただし、図 2 はタイムレバー 10 位置での特性であるので、OCR のタイムレバー整定値 1 に換算する必要がある。よって、
 \(3.8\times\frac{1}{10}=0.38\)[s]

 求める過電流継電器の動作時間 [s] の値は、0.38となる。

追加学習は変電所の学習帳(%インピーダンスについて)保護リレーについて(別ページ)、その他配電の学習帳

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