// google adsence用 電験3種過去問【2021年理論 問10】 | 電気主任技術者のいろは

電験3種過去問【2021年理論 問10】

2022年4月24日

【電気回路】RL直列回路の過渡現象《正誤問題》

 開放電圧がV[V]で出力抵抗が十分に低い直流電圧源と、インダクタンスがL[H]のコイルが与えられ、抵抗R[Ω]が図1のようにスイッチSを介して接続されている。時刻t=0でスイッチSを閉じ、コイルの電流iL[A]の時間に対する変化を計測して、波形として表す。R=1Ωとしたところ、波形が図2であったとする。R=2Ωであればどのような波形となるか、波形の変化を最も適切に表すものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
 ただし、選択肢の図中の点線は図2と同じ波形を表し、実線はR=2Ωのときの波形を表している。

解答と解説はこちら

解答

(4)

解説

RL直列回路へ、時刻t=0[s]から、直流電源V[V]を与えるとき回路に流れる電流i(t)[A]は、

\(\displaystyle i(t)=\frac{V}{R}(1-e^{-\frac{R}{L}t})\text{[A]}\)

となる。

過渡電流の時間変化の指標となる時定数τは、指数(e)係数の逆数であるので

\(\displaystyle τ=\frac{L}{R}\text{[s]}\)

題意では、過渡電流の時定数は、最終電流\(\displaystyle I=\frac{V}{R}\text{[A]}\)の\(\displaystyle (1-e^{-1})≒0.632\)倍すなわち63.2[%]となる時間である。

 

抵抗値R=1Ωでの最終電流I1[A]は

\(\displaystyle I_1=\frac{V}{R}=V\text{[A]}\)

抵抗値R=2Ωでの最終電流I2[A]は

\(\displaystyle I_2=\frac{V}{R}=\frac{V}{2}\text{[A]}\)

つまり抵抗値R=2Ωでの最終電流I2は、I1の\(\displaystyle\frac{1}{2}\)となる。

 

抵抗値R=1Ωでの時定数τ1[s]は

\(\displaystyle τ_1=\frac{L}{R}=L\text{[s]}\)

抵抗値R=2Ωでの時定数τ2[s]は

\(\displaystyle τ_2=\frac{L}{R}=\frac{L}{2}\text{[s]}\)

つまり抵抗値R=2Ωでの時定数τ2は、τ1の\(\displaystyle\frac{1}{2}\)となる。

 

したがって、R=2Ωとしたとき、R=1Ωのときと比べて、

最終電流iL[A]は\(\displaystyle\frac{1}{2}\)となり、

最終電流の63.2[%]となる時間である、時定数は\(\displaystyle\frac{1}{2}\)となる。つまり過渡電流の時間変化は2倍速い。

以上より(4)が正解となる。