// google adsence用 電験3種過去問【2017年理論 問2】 | 電気主任技術者のいろは

電験3種過去問【2017年理論 問2】

2022年4月24日

【電磁気】コンデンサに蓄えられるエネルギー《計算問題》

 極板の面積S[m2]、極板間の距離d[m]の平行板コンデンサA、極板の面積2S[m2]、極板間の距離d[m]の平行板コンデンサB及び極板の面積S[m2]、極板間の距離2d[m]の平行板コンデンサCがある。各コンデンサは、極板間の電界の強さが同じ値となるようにそれぞれ直流電源で充電されている。各コンデンサをそれぞれの直流電源から切り離した後、全コンデンサを同じ極性で並列に接続し、十分時間が経ったとき、各コンデンサに蓄えられる静電エネルギーの総和の値[J]は、並列に接続する前の総和の値[J]の何倍になるか。その倍率として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
 ただし、各コンデンサの極板間の誘電率は同一であり、端効果は無視できるものとする。

(1)0.77 (2)0.91 (3)1.00 (4)1.09 (5)1.31
解答と解説はこちら

解答

(2)

解説

 コンデンサに蓄えられるエネルギーW=(1/2)CV2=(1/2)Q2/C[J]で与えられる。(Cはコンデンサの静電容量、Vはコンデンサに掛かる電圧、Qはコンデンサに蓄えられる電荷)

 問題中の条件では、コンデンサ極板間の電界の強さE=V/d[V/m](Vはコンデンサに掛かる電圧[V]、dはコンデンサの極板間隔[m])は全て等しい。コンデンサAに掛かる電圧をVA[V]、コンデンサBに掛かる電圧をVB[V]、コンデンサCに掛かる電圧をVC[V]とすると、

 E=VA/d=VB/d=VC/(2d)

 すなわち、VA=VB、VC=2VA=2VBの関係が成り立つ。

 コンデンサの静電容量C=εS/d[F](εはコンデンサ極板間の誘電率[F/m]、Sはコンデンサの極板面積[m2]、dはコンデンサの極板間隔[m])で与えられる。コンデンサAの静電容量をCA[F]、コンデンサBの静電容量をCB[F]、コンデンサCの静電容量をCC[F]とすると、

 CA=εS/d[F]

 CB=ε2S/d=2CA[F]

 CC=εS/(2d)=CA/2[F]

 コンデンサAに蓄えられるエネルギーをWA[J]、コンデンサBに蓄えられるエネルギーをWB[J]、コンデンサCに蓄えられるエネルギーをWC[J]とすると、

 WA=(1/2)CAVA2[J]

 WB=(1/2)CBVB2=(1/2)2CAVA2=2WA[J]

 WC=(1/2)CCVC2=(1/2)(CA/2)(2VA)2=2WA[J]

 すなわち、コンデンサ接続前に、各コンデンサに蓄えられるエネルギーの総和WE[J]は

 WE=WA+WB+WC=WA+2WA+2WA=5WA[J]

 接続前に、コンデンサAに蓄えられた電荷をQA[C]、コンデンサBに蓄えられた電荷をQB[C]、コンデンサCに蓄えられた電荷をQC[C]とすると、

 QA=CAVA=εSVA/d[C]

 QB=CBVB=2εSVA/d=2QA[C]

 QC=CCVC=εS2VA/(2d)=εSVA/d=QA[C]

 コンデンサA、B、Cを同一極性で並列接続したときの電荷の総和と、各コンデンサに蓄えられた電荷の総和は等しく、電荷の総和QP[C]は

 QP=QA+QB+QC=QA+2QA+QA=4QA[C]

 コンデンサA、B、Cを並列接続したときの、合成静電容量CP[F]は各コンデンサの静電容量の総和であるので、

 CP=CA+CB+CC=CA+2CA+CA/2=7CA/2[F]

 並列接続後の合成静電容量CP[F]のコンデンサに蓄えられるエネルギーWP[J]は

 WP=(1/2)QP2/CP=(1/2)(4QA)2/(7CA/2)=16QA2/(7CA)=32/7×(1/2)QA2/CA[J]

 WA=(1/2)QA2/CAであるので、

 WP=32/7×WA[J]

 題意より、求めるエネルギー比は

 WP/WE=(32/7×WA)/5WA=32/35=0.91となる。