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電験3種過去問【2023年(下期)電力 問2】

2024年11月20日

【発電機一般】ガバナフリー運転時の発電機出力変化《計算問題》

 定格出力1000MW,速度調定率5%のタービン発電機と,定格出力300MW,速度調定率3%の水車発電機が電力系統に接続され,前者は80%出力,後者は60%出力にて定格周波数(50Hz)でガバナフリー運転を行っている。
 負荷が急変して,系統周波数が0.2Hz低下したとき,タービン発電機と水車発電機の出力[MW]の組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
 ただし,このガバナフリー運転におけるガバナ特性は直線とし,次式で表される速度調定率に従うものとする。また,この系統内で周波数調整を行っている発電機はこの2台のみとする。

速度調停率\(\displaystyle=\frac{\frac{n_2-n_1}{n_n}}{\frac{P_1-P_2}{P_n}}\)×100 [%]

\(\small{\begin{array}{cc} P_1:初期出力[MW]    &n_1:出力P_1における回転速度[min^{-1}]    \\ P_2:変化後の出力[MW]  &n_2:変化後の出力P_2における回転速度[min^{-1}]\\ P_n:定格出力[MW]    &n_n:定格回転速度[min^{-1}]          \\ \end{array}}\)

\(\small{\begin{array}{cccc} &タービン発電機&水車発電機\\ \hline(1)&720MW&140MW\\ \hline(2)&733MW&147MW\\ \hline(3)&867MW&213MW\\ \hline(4)&880MW&220MW\\ \hline(5)&933MW&204MW\\ \hline\end{array}}\)

解答と解説はこちら

解答

(4)が正しい。

解説

電験3種過去問【2015年電力 問15】からの改変出題で、ほぼ同じ問題です。

 発電機の定格回転速度nnは、
 nn=\(\frac{120f_n}{p}\) [min⁻¹]
 出力変化前の発電機の回転速度n₁は、
 n₁=\(\frac{120f_1}{p}\) [min⁻¹]
 また、出力変化後のタービン発電機の回転速度n₂は、
 n₂=\(\frac{120f_2}{p}\) [min⁻¹]
 ここで、fnは定格回転速度での周波数、f₁は変化前の回転速度での周波数、f₂は変化後の回転速度での周波数とする。

速度調停率\(\displaystyle=\frac{\frac{n_2-n_1}{n_n}}{\frac{P_1-P_2}{P_n}}\)×100 [%]

 題意の上式に各回転速度代入すると、次式となる。

速度調停率\(\displaystyle=\frac{\frac{f_2-f_1}{f_n}}{\frac{P_1-P_2}{P_n}}\)×100 [%]…➀

 負荷が急変して、系統周波数が0.2Hz低下しているので、f₂=50-0.2=49.8 [Hz] となる。

 タービン発電機の定格出力Pnは、
 Pn=1000 [MW]
 出力変化前のタービン発電機の出力P₁は、80%出力なので、
 P₁=0.8×1000=800 [MW]

 また、出力変化前の水車発電機の周波数f₁は、
 f₁=50 [Hz]
 以上を➀式に代入すると、

\(\displaystyle 5=\frac{\frac{49.8-50}{50}}{\frac{800-P_2}{1000}}\)×100 [%]

 これを計算すると、タービン発電機の出力P₂= 880[MW] となる。

 同様にして、水車発電機についても各諸量を当てはめると、
 水車発電機の定格出力Pnは、
 Pn=300 [MW]
 出力変化前の水車発電機の出力P₁は、60%出力なので、
 P₁=0.6×300=180 [MW]
 また、出力変化前の水車発電機の周波数f₁は、
 f₁=50 [Hz]

\(\displaystyle 3=\frac{\frac{49.8-50}{50}}{\frac{180-P_2}{300}}\)×100 [%]

 これを計算すると、水車発電機の出力P₂= 220[MW] となる。

追加学習は発電機一般の学習帳

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