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電験3種過去問【2016年電力 問16】

2025年6月5日

【送電】送電線事故時の一線地絡電流と三相短絡電流計算《計算問題》

 図に示すように,発電機,変圧器と公称電圧 66 kV で運転される送電線からなる系統があるとき,次の(a)及び(b)の問に答えよ。ただし,中性点接地抵抗は図の変圧器のみに設置され,その値は 300 Ωとする。

(a) A 点で 100 Ω の抵抗を介して一線地絡事故が発生した。このときの地絡電流の値 [A] として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
 ただし,発電機,発電機と変圧器間,変圧器及び送電線のインピーダンスは無視するものとする。

(1)95
(2)127
(3)165
(4)381
(5)508

(b) A 点で三相短絡事故が発生した。このときの三相短絡電流の値 [A] として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
 ただし,発電機の容量は 10 000 kV・A,出力電圧 6.6 kV ,三相短絡時のリアクタンスは自己容量ベースで 25 % ,変圧器容量は 10 000 kV・A,変圧比は 6.6 kV/66 kV ,リアクタンスは自己容量ベースで 10 % ,66 kV 送電線のリアクタンスは,10 000 kV・A ベースで 5 % とする。なお,発電機と変圧器間のインピーダンスは無視する。また,発電機,変圧器及び送電線の抵抗は無視するものとする。

(1)33
(2)219
(3)379
(4)656
(5)3 019


「出典:平成28年度第三種電気主任技術者試験(電力)」

解答と解説はこちら

解答

(a):(1)が最も近い。
(b):(2)が最も近い。

解説

 一線地絡故障電流と,三相短絡故障電流を求める問題です。非常に基本的な内容で,学習にはうってつけの問題です。合格に近づくためには,必ず解けるようにしておきたいです。

(a) A 点での地絡電流の値 [A] を求める。

 A 点で一線地絡事故が発生すると,大地間と A 点の間には相電圧の\(\frac{66\times10^3}{\sqrt3}\) [V] が印加される。
 この電圧は,中性点接地抵抗 300 Ω と,A 点での地絡抵抗 100 Ω の合計である 400 Ω の抵抗に印加されることになる。このとき流れる電流が求める一線地絡電流 I₀ [A] であるので,

\(\ \ \ I_0=\frac{\frac{66\times10^3}{\sqrt3}}{400}\\ \ \ \ \ \ =95.3[A]\\ \)

(b) A 点での三相短絡電流の値 [A] を求める。

 基準容量を10 000 kV・A とする。発電機,変圧器,送電線それぞれの%インピーダンスは全て10 000 kV・A ベースで統一されているので,A 点から電源側をみた%インピーダンスの合計は

\(\ \ \ \%Z=25+10+5\\ \ \ \ \ \ =40[\%]\\ \)

 基準容量 PB=10 000 kV・A ,A 点の基準電圧を VB=66 kV とすると,A 点の基準電流は

\(\ \ \ I_B=\frac{P_B}{\sqrt3 V_B}\\ \ \ \ \ \ =\frac{10\times10^6}{\sqrt3\times66\times10^3}\\ \ \ \ \ \ =87.5[A]\\ \)

 A 点での相短絡電流の値 [A] は

\(\ \ \ I_S=\frac{I_B}{\%Z}\times100\\ \ \ \ \ \ =\frac{87.5}{40}\times100\\ \ \ \ \ \ =218.8[A]\\ \)

追加学習は送電の学習帳パーセントインピーダンスについて

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