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電験2種過去問【2020年電力管理 問3】

2024年4月14日

【送電】対称座標法を用いた1線地絡故障計算《論説問題》

 対称座標法を用いた1線地絡故障の計算に関して、次の問に答えよ。
 図のような送受電端の変圧器の中性点をそれぞれ Re の抵抗で接地したこう長 20 km、電圧 66 kV、周波数 50 Hz の三相3線式1回線送電線路がある。
 その a 相1線が Rf の抵抗を通じて地絡を生じた場合の地絡電流を求めたい。

  1.  地絡電流\dot{I}_gを、a 相の無負荷電圧\dot{E}_a、この送電回路の故障点から見た零相インピーダンス\dot{Z}_0、正相インピーダンス\dot{Z}_1、逆相インピーダンス\dot{Z}_2、及び、地絡点の抵抗 Rf で表せ。
     なお、故障点での各相電圧、各相電流を図に示すように\dot{V}_a,\dot{V}_b,\dot{V}_c,\dot{I}_a,\dot{I}_b,\dot{I}_cとし、それを対称成分に変換したものを\dot{V}_0,\dot{V}_1,\dot{V}_2,\dot{I}_0,\dot{I}_1,\dot{I}_2としたとき、以下の関係となる。
      \begin{eqnarray} \dot{V}_0&=&-\dot{Z}_0\dot{I}_0,\\ \dot{V}_1&=&\dot{E}_a-\dot{Z}_1\dot{I}_1,\\ \dot{V}_2&=&-\dot{Z}_2\dot{I}_2 \end{eqnarray}
     また、故障条件から以下の関係となる。
      \dot{I}_b=\dot{I}_c=0,\dot{V}_a=\dot{I}_a\dot{R}_f
  2.  零相インピーダンス\dot{Z}_0、正相インピーダンス\dot{Z}_1、逆相インピーダンス\dot{Z}_2をそれぞれ求めよ。ただし、1線当たりの対地静電容量 C は 0.005 μF/km、変圧器の中性点の抵抗 Re\dfrac{2000}{3}Ωとして、その他のインピーダンス、また負荷電流は無視するものとする。
     なお、π = 3.1416 とする。
  3.  小問 2. の条件に加えて、地絡点の抵抗 Rf が 10 Ωの場合における地絡電流の大きさ|\dot{I}_g| [A] を求めよ。
解答と解説はこちら

解答

公式標準解答(太字は補足

1. 地絡電流\dot{I}_gを、a 相の無負荷電圧\dot{E}_a、この送電回路の故障点から見た零相インピーダンス\dot{Z}_0、正相インピーダンス\dot{Z}_1、逆相インピーダンス\dot{Z}_2、及び、地絡点の抵抗 Rf で表せ。
2. 零相インピーダンス\dot{Z}_0、正相インピーダンス\dot{Z}_1、逆相インピーダンス\dot{Z}_2をそれぞれ求めよ。ただし、1線当たりの対地静電容量 C は 0.005 μF/km、変圧器の中性点の抵抗 Re\dfrac{2000}{3}Ωとして、その他のインピーダンス、また負荷電流は無視するものとする。

 jωC = j×2×π×50×0.005×10-6×20 = j31.416×10-6 から、零相インピーダンス\dot{Z}_0は、

3. 小問 2. の条件に加えて、地絡点の抵抗 Rf が 10 Ωの場合における地絡電流の大きさ|\dot{I}_g| [A] を求めよ。

解説

 対称座標法に関する問題です。二種の試験で出題されるのは稀です。一種の範囲になるので、余裕があれば、この問題に取り組むのもアリです。難しければ、二種では捨てるというのも一考です。


追加学習は対称座標法による故障計算送電の学習帳

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