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電験1種過去問【2016年電力管理 問4】

2024年2月17日

【送電】架空送電線の絶縁設計《論説問題》

 架空送電線への雷撃に対しては、架空地線などの避雷対策を講ずるものの、フラッシオーバ事故を皆無にすることは事実上不可能である。架空送電線の絶縁設計においては、系統に発生する内部異常電圧によるフラッシオーバ事故を起こさないようにするのが標準的である。次の問に答えよ。

  1.  内部異常電圧とは何か、具体的な例を三つ挙げて説明せよ。また、それぞれの内部異常電圧の特徴と異常電圧の大きさを左右する要因について説明せよ。
  2.  154 kV 以下の電圧階級における磁気がいし一連個数の決定法について説明せよ。
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解答

公式標準解答

  1.  内部異常電圧とは何か、具体的な例を三つ挙げて説明せよ。また、それぞれの内部異常電圧の特徴と異常電圧の大きさを左右する要因について説明せよ。
     内部異常電圧とは、外部より侵入する雷電圧(外雷又は外部異常電圧と呼ぶ。)と区別して、電力系統の内部的原因によって生じる異常電圧のことを意味し、開閉サージ、1線地絡時の健全相電圧上昇や負荷遮断時の異常電圧などがある。
     開閉サージは、遮断器の開閉操作によって生じ、最大数ミリ秒程度継続する過渡的異常電圧である。開閉サージの大きさは、送電線のこう長や高さなどを送電線路の静電容量の大きさ、再閉路時の残留電圧の有無などにより左右される。
     1線地絡時の健全相電圧上昇は、1線地絡事故時に健全相に発生する商用周波数の過電圧である。電圧の大きさは、中性点接地方式などによって左右される。
     負荷遮断時の電圧上昇は、遮断器などで負荷遮断時に発生する商用周波数の過電圧である。電圧の大きさは、負荷遮断前の潮流、発電機の定数、送電線の静電容量などによって左右される。
  2.  154 kV 以下の電圧階級における磁気がいし一連個数の決定法について説明せよ。
     がいし一連個数を決定する場合にも、内部異常電圧によってフラッシオーバが発生しないようにするという原則が有効である。154 kV 以下の電圧階級では、開閉サージ電圧波高値とがいし連の注水時の開閉サージ耐電圧特性及び持続性異常電圧実効値とがいいし連の注水時の商用周波数耐電圧特性の二つから所要連結個数を計算する。両者の計算結果を比較すると後者の絶縁裕度の方が大きく、がいし個数は通常全て開閉サージによって決まる。
     実際には、保守用にがいしを通常1個多く設けることとして最終的な一連個数が決定される。また、臨海部などで塩害が甚だしい場合など、汚損条件下では耐圧特性が低下するので考慮が必要である。

解説

 架空送電線の絶縁設計に関する論説問題です。類題も多く、しっかりと解答できる問題です。とりこぼしのないように、繰り返し論説練習をしておきたい内容です。


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