解答
(5)
解説
単相3線式配電方式の特徴
(1)電線1線当たりの抵抗が等しい場合、中性線と各電圧線の間に負荷を分散させることにより、単相2線式と比べて配電線の電圧降下を小さくすることができる。正しい。
上図のように、単相3線式と単相2線式の抵抗R[Ω]に、I2R[W]となる同じ電力を供給する場合を考える。
単相2線式では、電線1線当たりの抵抗r[Ω]であるとき、全電圧降下Vr2[V]は
\(\displaystyle V_{r2}=2\times2I\times r=4Ir\)[V]
単相3線式では、電線1線当たりの抵抗r[Ω]であるとき、全電圧降下Vr3[V]は
\(\displaystyle V_{r3}=2\times I\times r=2Ir\)[V](中性線に電流は流れない)
つまり、単相3線式での電線による電圧降下Vr3[V]は、単相2線式での電線による電圧降下Vr2[V]より小さい。
(2)中性線と各電圧線の間に接続する各負荷の容量が不平衡な状態で中性線が切断されると、容量が大きい側の負荷にかかる電圧は低下し、反対に容量が小さい側の負荷にかかる電圧は高くなる。正しい。
上図のように、単相3線式配電方式で不平衡負荷が接続されていたとする。
中性線を切り離すと、ac間の200Vが不平衡負荷に印加され、容量の小さい側の負荷に100Vを超える大きな電圧が印加され、容量の小さい負荷には100Vに満たない電圧が印加される。
(3)中性線と各電圧線の間に接続する各負荷の容量が不平衡であると、平衡している場合に比べて電力損失が増加する。正しい。
(1)のように平衡負荷であれば、電線路の電圧降下は少ないが、不平衡負荷になると中性線に流れる電流が増大し、電力損失も増加する。
(4)単相100V及び単相200Vの2種類の負荷に同時に供給することができる。正しい。
上図のように、100V/200Vの2種類の負荷に電源を供給できる。
(5)許容電流の大きさが等しい電線を使用した場合、電線1線当たりの供給可能な電力は、単相2線式よりも小さい。誤り。
上図のように、単相3線式と単相2線式の抵抗R[Ω]に、1線あたりの許容電流を流し、I2R[W]となる電力を供給する場合を考える。ただし、1線の許容電流I[A]であるとする。
単相2線式では、電線1線当たりの供給電力P2[W]は
\(\displaystyle P_{2}=\frac{I^2R}{2}\)[W]
単相3線式では、電線1線当たりの供給電力P3[W]は
\(\displaystyle P_{3}=\frac{2I^2R}{3}\)[W]
つまり、単相3線式での電線1線当たりの供給電力P3[W]は、単相2線式での電線1線当たりの供給電力P2[W]より大きい。
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