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電験3種過去問【2019年法規 問13】

2022年4月24日

【電気設備技術基準の解釈】変圧器のB種接地抵抗と接地電流計算《計算問題》

 図は三相3線式高圧電路に変圧器で結合された変圧器低圧側電路を示したものである。低圧側電路の一端子にはB種接地工事が施されている。この電路の一相当たりの対地静電容量をCとし接地抵抗をRBとする。
 低圧側電路の線間電圧200V、周波数50Hz、対地静電容量Cは0.1μFとして、次の(a)及び(b)の問に答えよ。
 ただし、

(ア)変圧器の高圧電路の1線地絡電流は5Aとする。
(イ)高圧側電路の低圧側電路との混触時に低圧電路の対地電圧が150Vを超えた場合は1.3秒で自動的に高圧電路を遮断する装置が設けられているものとする。

(a)変圧器に施された、接地抵抗RBの抵抗値について「電気設備基準の解釈」で許容されている上限の値[Ω]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1)20
(2)30
(3)40
(4)60
(5)100

(b)接地抵抗RBの抵抗値を10Ωとしたときに、RBに常時流れる電流IB値[mA]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
 ただし、記載以外のインピーダンスは無視するものとする。

(1)11
(2)19
(3)33
(4)65
(5)192

解答と解説はこちら

解答 

(a):(4)
(b):(1)

解説

(a)【電気設備技術基準の解釈第17条2項】ではB種接地抵抗値は下記の17-1表の値以下となるように定められている。

接地工事を施す変圧器の種類 当該変圧器の高圧側又は特別高圧側の電路と低圧側の電路との混触により、低圧電路の対地電圧が150Vを超えた場合に、自動的に高圧又は特別高圧の電路を遮断する装置を設ける場合の遮断時間 接地抵抗値(Ω)
下記以外の場合 150/Ig
高圧又は35,000V以下の特別高圧の電路と低圧電路を結合するもの 1秒を超え2秒以下 300/Ig
1秒以下 600/Ig

(備考) Igは、当該変圧器の高圧側又は特別高圧側の電路の1線地絡電流(単位:A)

 題意より、Ig=5Aであり、上表「1秒を超え2秒以下」に当てはまるので、この時の接地抵抗値の上限値は

\(\displaystyle R_B=\frac{300}{I_g}=\frac{300}{5}=\)60[Ω]となる。

 

 (b)RB=10[Ω]、線間電圧200V、周波数50Hz、対地静電容量Cは0.1μFである。鳳テブナンの定理を適用し、下図のようなY回路を考える。接地抵抗RBを取り外した開放端子電圧は、相電圧\(\displaystyle \frac{200}{\sqrt3}\)[V]となる。また、開放端子からみた回路網側の合成抵抗Zは、対地静電容量Cが3相分並列に接続されたものとなるので\(\displaystyle Z=\frac{1}{j3\omega C}\)[Ω]となる。

したがって、開放端子にRB=10[Ω]を接続したときに流れる電流IB[A]は、

\(\displaystyle I_B=\frac{\frac{200}{\sqrt3}}{10-j\frac{1}{3\omega C}}\)

\(\displaystyle 10-j\frac{1}{3\omega C}\)の絶対値をとると、

\(\displaystyle \left|10-j\frac{1}{3\omega C}\right|=\sqrt{10^2+\left(\frac{1}{3\omega C}\right)^2}\)

となるので、

\(\displaystyle I_B=\frac{\frac{200}{\sqrt3}}{\sqrt{10^2+\left(\frac{1}{3\omega C}\right)^2}}\)

\(\displaystyle =0.0109\)[A]

接地抵抗に流れる電流は11[mA]となる。