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電験3種過去問【2015年電力 問13】

2025年6月10日

【配電】同一導体量での三相3線式と単相2線式の最大送電電力比較《計算問題》

 三相 3 線式と単相 2 線式の低圧配電方式について,三相 3 線式の最大送電電力は,単相 2 線式のおよそ何 % となるか。最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
 ただし,三相 3 線式の負荷は平衡しており,両低圧配電方式の線路こう長,低圧配電線に用いられる導体材料や導体量,送電端の線間電圧,力率は等しく,許容電流は導体の断面積に比例するものとする。

(1)67
(2)115
(3)133
(4)173
(5)260


「出典:平成27年度第三種電気主任技術者試験(電力)」

解答と解説はこちら

解答

(2)が正しい。

解説

 なぜ配電線路に三相 3 線式が採用されるかという問題です。配電線路に用いられる導体量が同じ場合、三相 3 線式の方が多くの電力を送電することができます。類題も多いのでしっかり慣れておきたい問題です。

 単相 2 線式と三相 3 線式の線間電圧を V [V] 、単相 2 線式配電線 1 線あたりの許容電流を I [A] とし、 VI [W]となる電力を供給する場合を考える。

 単相2線式では、力率 cosθ とすると、最大供給電力 P₂ [W]は

\(\ \ \ P_{2}=VI\cos\theta\\ \)

 題意より、使用する導体量が等しいので、次式が成り立つ。単相 2 線式の断面積を S₂ [m²] 、三相 3 線式の断面積を S₃ [m²] 、送電線の長さを L [m] とする。

\(\ \ \ 2S_2L=3S_3L\\ \ \ \ \ \ \ ∴\displaystyle S_3=\frac{2}{3}\\ \)

 三相3線式配電線 1 線あたりの導体の断面積は、単相 2 線式配電線と比べて\(\frac{2}{3}\)となる。したがって、許容電流は導体の断面積に比例するので、三相 3 線式配電線 1 線あたりの許容電流は\(\frac{2}{3}I\)となる。三相 3 線式での最大供給電力 P₃ [W]は、力率 cosθ とすると、

\(\ \ \ \displaystyle P_{3}=\sqrt3V\frac{2}{3}I\cos\theta\\ \ \ \ \ \ \ \displaystyle =\frac{2}{\sqrt3}VI\cos\theta\\ \)

つまり、同導体量での三相3線式での最大供給電力 P₃ [W] を、単相2線式での最大供給電力 P₂ [W] の比で表すと、

\(\displaystyle \frac{P_3}{P_2}=\frac{\frac{2}{\sqrt3}VI\cos\theta}{VI\cos\theta}\\ \ \ \ \ \ \ =\displaystyle \frac{2}{\sqrt3}\\ \ \ \ \ \ \ =1.15\\ \)

したがって、同導体量での三相 3 線式の最大供給電力は,単相 2 線式の\(\frac{2}{\sqrt3}\)倍となる。したがって、三相 3 線式の最大送電電力は,単相 2 線式のおよそ 115% となる。

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